ソメイヨシノの蕾が開花する様子を,定点撮影してみました。
場所は,南禅寺橋のたもと。
いずれも朝7時頃の様子です。

・3月26日[写真1]
花芽がだいぶ膨らんできました。
3日前に京都地方気象台の開花発表があったものの,ここ数日寒い日が続き,開花が足踏みしています。
植物の芽は,花になる花芽(かが),葉になる葉芽(ようが),葉と花になる混芽(こんが)に分けられます。
サクラの芽は,花芽と葉芽が明確に分かれています。
[写真13]は,昨年12月29日の花芽と葉芽。(→2015年12月30日

・3月31日[写真2]
4個の蕾が一固まりになって,出てきました。
ソメイヨシノは,一つの花芽から咲かせる花の数が多いほど,元気な木らしいです。

ソメイヨシノの場合、一つのつぼみに対して花数6個以上なら”とっても健康”、4~5個は”健康”、3個以下は”お疲れモード”と、花数が多いほど健康状態は良いとのこと。2008年の調査では、西日本の平均花数は3.8個、東日本は平均4個前後と”西低東高”の桜の元気度となったほか、全国平均の花数は3.84個と”やや元気が無い”との結果となった。(「今年の桜の元気度は? – 桜の健康診断「花数調査」開始、ウェザーニューズ」)

・4月2日[写真3],4月3日[写真4]
花柄がだいぶ伸びましたが,まだ開花していません。
葉芽には変化がありません。
翌4月4日は雨。

・4月5日[写真5],4月6日[写真6]
蕾が一斉に開き,満開です。
葉芽は開かず,花だけが咲き誇っています。
これがソメイヨシノの美しさの秘密ですね。

・4月8日[写真7]
前日の4月7日は一日雨。
4月8日朝には,散り始めていました。
代わって,葉芽が伸び始めています。

・4月10日[写真8],4月13日[写真9]
花びらが次々に抜け落ち,代わりに葉がぐんぐんと伸びてゆきます。

・4月16日[写真11],4月18日[写真11]
本来だと,花後には子房が膨らんで果実を形成するはずですが,ソメイヨシノは実をむすびません。
子房は膨らむことなく,しぼんで次々に脱落してゆきます。
何のために美しく咲いたのか……

・4月23日[写真12]
花がらは全て脱落しました。
葉がひろがり,生きるために日の光をしっかりと受け止めています。

ソメイヨシノの花を見るたびに,ヒトを楽しませるためだけに作りだされた,美しいクローンの種族の物語を夢想してしまいます。