マツの切り株に,あざやかなオレンジ色のキノコが群生していました。
雨上がりだったので粘菌が出てきたのかなと思いましたが,近づいて見るとへら形をした小さなキノコでした。
枯れた木肌の黒褐色に,オレンジ色が目立ちます。

ほとんどのキノコが地味な色をしているなかで,時折り,目立つ色合いのキノコがあります。
花や虫であれば,美しい色であれ,地味な色であれ,種ごとに様々な理由付けが考えられますが,キノコの場合は子実体の色にどんな意味があるのかさっぱりわかりません。

図鑑で調べると,名前はツノマタタケ。
針葉樹の枯木などに生える,キクラゲの仲間です。
『山渓カラー名鑑 日本のキノコ』(1988年)には,ツノマタタケについて次のように書いてありました。

ツノマタタケ属。有柄でへら形~扇形,高さ4~7mm,径2~7mm,軟骨状にかわ質,多少ぬめりがある。子実層は片面に生じ,橙黄色平滑,反対側は無性で短毛を生じる。担子器は1室,上部はY字形。胞子は卵型,黄色,1隔膜をもつ。枯幹上に生じる。汎世界的。

アカキクラゲ目アカキクラゲ科ツノマタタケ属。