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テングアツバ

2018年4月4日

塀に,枯葉に擬態したガがとまっていました。
初めて見る種類です。
頭部の先が長く伸びて,葉柄のように見えます。
翅は,黒い斑点が散らばったまだらな汚褐色で,下部はちぎれたように,非対称の凸凹になっています。
まるで,枯葉が風雨にさらされて,色が変わり,ぼろぼろになったように見えます。

考えると,これはよくできた擬態ですね。
今の時期に成虫がいるということは,越冬した個体です。
捕食者に見つからずに,無事に越冬するためには,冬枯れした周りの環境に溶け込む必要があります。
そのためには,枯葉に,それも少しぼろくなった枯葉に擬態するのが一番というわけでしょうか。

採取して持ち帰ろうかと迷ったのですが,ランニングの途中だったのであきらめ,写真だけにしました。
ネットで画像検索したところ,このガは「テングアツバ」のようです。

保育社『原色日本蛾類図鑑』(1971年)には,テングアツバについて次のように書いてありました。

開張47~48mm。下唇鬚はきわめて長く前方に突出している。とくに第2節は長く毛が密生し,先の方は細くみえ,第3節はかなり長く,これはむしろ先の方が大きくみえる。顔にある円錐形の毛塊はよく発達している。

本種は九州彦山で得られた標本にもとづき三宅恒方博士が新種として記載したものであるが,その後各地で得られている。3~4月及び7~8月に出現する。

    
下唇鬚(かしんしゅ)が長いために「テング」の名前がついているといえば,テングチョウもそうですね。
テングチョウ(2013年11月7日)
こちらも,枯葉に擬態しています。

同書には「三宅恒方博士が新種として記載」とあり,学名も「Latirostrum japonicum Miyake」となっています。
しかし,学研教育出版『日本産蛾類標準図鑑2』(2011年)には,次のように書いてありました。

日本産のものにjaponicum Miyake,1909が記載されているが,シノニムとされ使用されない。

学名は「Latirostrum bisacutum Hampsin,1895」となっています。

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