もう散ってしまいましたが,1週間ほど前まで,色々なところにアケビの花が咲いていました。
いわゆるアケビには,小葉が5枚のアケビと,3枚のミツバアケビの2種類があります。
食用にする果実はよく似ていますが,花の見た目はかなり違います。
どちらも花びらのない花なのですが,アケビの花には白い大きな萼があり,かなり目立ちます。[写真1]
一方,ミツバアケビの花は小さくて,萼の色も濃い黒紫色で,見過ごしてしまいそうなほど地味な花です。[写真5]

アケビ科の花は単性で雌雄同株,つまり一つの木に雄花と雌花が別々に咲きます。
平凡社『改訂新版 日本の野生植物』(2016年)には,アケビの花について次のように書いてありました。

花期は4~5月。花序は散房状または総状で下垂し,先の方に数個の雄花,基部に1~2個の雌花をつける。雄花は淡紫色,長さ1~2cmの花柄があり,径10~16mm,萼片は3枚,長さ7~8mm,雄蕊は6個,中央部に雌蕊の痕跡がある。雌花は紅紫色,長さ4~5cmの花柄があってやや下垂し,径25~30mm,萼片は3枚,長さ15~20mm,雌蕊は3~6個,円柱形で紅紫色,周囲に雄蕊の痕跡がある。

ミツバアケビの花については,次のように書いてありました。

花期は4~5月。花序は総状で下垂ないし下曲し,先の方に十数個の小型の雄花をやや密につけ,基部に1~3個の大型の雌花をつける。雄花は濃紫色,径4~5mm,花柄は短く約3mm,萼片は楕円形ないし広楕円形で長さ約2mm,萼片とほぼ同長の6個の雄蕊と,中央部に雌蕊の痕跡がある。雌花は濃紫色,径約15mm,花柄は長く2~4cm,開出し,萼片は長さ7~10mm,雌蕊は3~6個で短い円柱形,周囲に雄蕊の痕跡がある。

どちらの花も,雌花には「中央部に雌蕊の痕跡」,雄花には「周囲に雄蕊の痕跡」があります。
本来,両性花だったものが,雄しべ,雌しべが退化して単性花になったと考えられます。
自家受粉を防ぐための戦略でしょうか。
[写真4]が,アケビの雌花〈雄しべ痕跡〉。
[写真7]が,ミツバアケビの雌花〈雄しべ痕跡〉。
[写真11]が,ミツバアケビの雄花〈雌しべ痕跡〉。

[写真8]は,ミツバアケビの花後の状況。
子房が膨らみ始めています。

アケビの小葉は5枚,ミツバアケビの小葉は3枚。(写真13)
アケビの小葉は全縁ですが,ミツバアケビの小葉には波状の鋸歯があります。
アケビとミツバアケビの雑種はゴヨウアケビといわれ,子葉の数はアケビの特徴である5枚,葉縁にはミツバアケビの特徴である波状の鋸歯があります。
前書には,ゴヨウアケビについて次のように書いてありました。

本種とアケビの雑種と患われるものがあり,ゴヨウアケビ A.×pentaphylla Makino var.pentaphylla (PL.61) といわれる。小葉はふつう5枚 ときに3枚,形はミツバアケビに似ていて少数の波状鋸歯がある。花もミツバアケビに近いが,ふつう色は淡い。

ゴヨウアケビの小葉は5枚とは限らないようで,「ときに3枚」のこともあるようです。
2006年4月29日に書いたミツバアケビは,写真をよく見返してみると,ゴヨウアケビだったようです。
小葉の数が,ひとつの株で5枚のものと3枚のものが混在していただけでなく,雌花も雄花も,色はミツバアケビに似ているものの,萼がアケビに似た大きな形をしています。[写真14]
現物を確認しようと思ったのですが,12年前のことなので,どこにあったのか場所を特定できませんでした。