カキドオシの花が咲いていました。垣をこえて蔓をのばすので「垣通し」の名がついています。不思議なことに,私がこの花を見つけるのは,いつも名前のとおり垣根越しに伸びてきたものです。
「疳取草(カントリソウ)」の別名があり,昔から子どもの疳をとる民間薬として親しまれてきました。でも「疳」って何でしょう。時おり耳にする言葉ですが,何となく漠然としていて意味がよく分からないですね。
平凡社「世界大百科事典」の「病気」の項に,「疳」について次のように書いてありました。
『また,日本の小児について,疳(かん)というのがある。中国の医書によると,脾疳(ひかん),すなわち慢性の消化器障害や腹部の膨満,そして異常な食欲などを示す状態をいうが,日本の場合,疳の虫といわれるのは,夜泣き,過敏性,ひきつけなど,家庭内の静けさを過度に乱すと感じられる逸脱で,これを異常または病気として,虫封じ,疳押えなど治療の対象とする。』
ネットで「カキドオシ」を検索すると,健康食品のページがたくさん表示されます。今でも薬用として重宝されているようです。
実際にカキドオシを採取して,薬として用いるにはどのようにするのでしょうか。
馬場篤/大貫茂著「薬草500種」には次のように書いてありました。
『<採取・調整法>茎の下方の花は終わっても,上方の花がまだ残っているころ,茎を切りよく水洗いし,蔓の10~20を束ね,風通しのよい軒下に吊るして陰干しします。
<薬効・効用>小児の疳の薬として知られています。疳の強い子や腺病質の子に用います。糖尿病,泌尿器病,強壮。
<利用法>小児の疳には年齢,成長状態により加減します。1日量は1~2歳で3g,5~6歳で10gです。全草10gを水500ccで半量に煎じ,苦いので甘味を加えて数回に分けて服用します。大人は15gを水400ccで半量に煎じ,1日3回に分服します。』