京都九条山の自然観察日記

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2007年08月10日 (金)

ヒグラシとセミヤドリガ

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ヒグラシ
ヒグラシ
ヒグラシ
ヒグラシ
石段にヒグラシがとまっていました。
逃げるかなと思いながら,息をとめてすばやく手で押さえました。
捕まえたもののヒグラシには元気がなく,肢だけを動かしています。
もう寿命なのでしょうか。

セミの成虫の寿命は2~3週間とされています。
橋本洽二著「セミの生活史」には次のように書いてありました。
『親ゼミの寿命はだいたい2~3週間で,雄と雌では,雌の方がやや長いことがわかりました。1番長く生きたのは,糸つなぎ式で飼育したツクツクボウシの雌で,36日間。自然状態でも,マーキングされた1匹の雌アブラが,最低31日間生きているのをたしかめました。しかし平均からいうと,30日以上生きるセミは,例外的とみたほうがよさそうです。
 羽化してから成熟するまで4~5日間。そのあと雄は毎日を鳴きくらし,雌は産卵をしながら,10日あまりをすごすのです。枯枝の中で1ヶ月半あるいは10ヶ月をすごす卵の期間。数年間のひっそりとした土中生活。最後に2,3週間のはなやかな地上生活。これがふつうのセミの一生です。』

寿命だったようです。しばらくすると肢も動かさなくなりました。

頭部をよくみると,赤茶色の丸いものが額に3個ついています。[写真2]
これは単眼です。
大きな複眼に目がいって,小さな単眼にはなかなか気がつきませんが,昆虫は通常複眼と単眼をあわせ持っています。
学研「原色ワイド図鑑 昆虫Ⅰ」には次のように書いてありました。
『昆虫は,光の刺激を主に頭部の両側にある複眼と額にある単眼から得ている。単眼は,基本的には3個あり,明暗を感じる。複眼は,個眼という小さな単位が集まってできている。』

腹部背中側に,セミヤドリガの幼虫が1匹くっついていました。[写真3]
セミヤドリガは名前のとおり,セミに寄生するガの仲間です。
とくにヒグラシに多く寄生するようです。

学研「日本産幼虫図鑑」には,次のように書いてありました。
『ガの仲間としては珍しく寄生性。幼虫はずんぐりしていて,シワが目立つ。幼虫は7~8月に現れ,約7日で蛹化する。成虫は樹皮の間に産卵し,卵で冬を越す。ふ化した幼虫はセミにつき,小さい間は胸部の節間にいて,その後外に出て大きくなる。寄主のセミが生きているうちに変態を完了させるため,幼虫期はとても短い。終齢幼虫はロウ状の物質で覆われ,奇主から落ちて離れて繭を作って蛹になる。
食物:セミの体液。ヒグラシのほか,ツクツクボウシ,アブラゼミ,ミンミンゼミなどにもつく。』

[写真4]はヒグラシの雌に寄生している終齢幼虫。(2005/8/10 撮影)

タグ:  | セミヤドリガ  | ヒグラシ

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