動物園の塀にくっついていたクモ。
最初ヤチグモのなかまかなと思って調べていたのですが,触肢が異常に大きいことに気づきました。
脚が10本あるように見えます。[写真3]
触肢が歩脚と見かけ上区別できず十本足に見えるのは,原始的なクモ類に共通する特徴らしいです。
この特徴をもとに図鑑をもう一度調べなおしてみると,このクモはキシノウエトタテグモの雄だとわかりました。
トタテグモは「戸立て蜘蛛」で,地面に穴を掘り,入り口に扉をつけた巣をつくることから名づけられています。(キシノウエはどういう意味でしょうか。)
新海栄一著「ネイチャーガイド 日本のクモ」には,キシノウエトタテグモについて次のように書いてありました。
『東京,神奈川,名古屋,京都,大阪などの都心部に多産。他の県ではあまり見られない。神社,寺院,学校,公園,人家の庭などに生息し,土台石のわき,土の詰まった石垣や崖,植え込みの縁などの地面に穴を掘り,入口に片開きの扉を付けた住居を作る。クモは扉のすぐ内側にいて,扉の前を通る昆虫,ワラジムシなどを捕らえる。6~7月にかけてクモに寄生したクモタケが住居の入口から生えていることがある。』
「都心部に多産」と書いてありますが,環境省の準絶滅危惧種に指定され,京都府でも準絶滅危惧種に指定されています。
京都府レッドデータブックには次のように書いてありました。
『<選定理由>
環境省の準絶滅危惧種に指定されており,京都府でも個体数が減少していると思われるため。
<形態>
体長メス10~15mm,オス8~10mm。頭胸部は茶褐色,腹部は褐色である。
<分布>
本種はLatouchia typicaという日本固有のトタテグモであったが,最近Latouchia swinhoei(オキナワトタテグモ)の亜種とされた。分布地は本州(東北地方南部以南),四国,九州。京都府では,京都市,長岡京市,宇治市,八幡市,乙訓郡,久世郡。京都府の南部地域で生息が確認されている。
<生態的特性>
人家近くの崖地や,神社・仏閣の石垣の間,旧家の庭先などに,横穴を掘って棲む。横穴の入口には,糸で裏打ちされた開閉式の蓋がある。近くを通る昆虫やワラジムシを捕獲し,住居に引き込んで摂食する。東京,横浜,京都など大都市の中心部に多く,郊外に行くに従って減少する。愛知県では名古屋市,犬山市,岡崎市の標高60m以下の地域に分布する。
<生息地の現状>
神社・仏閣や旧家が多い京都には比較的多数生息している。しかし,近年はコンクリートで固められた石垣が多く,そのような場所に本種は生息できない。また,再開発によって京都市の伝統的な町並みが破壊され旧家がどんどん減少していること,除草剤などを散布する寺社が多いことなどから,本種の個体数は激減していると思われる。
<その他>
日本固有亜種 』
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飼育ケースのなかのクロコノマチョウの幼虫2頭が同時に蛹になりました。[写真4]
別々の日に採取したのですが,同じ場所だったので,おそらく一緒に産みつけられたものだと思います。
クロコノマチョウは1か所に3~10個くらいの卵をかためて産みつけるそうです。
前蛹になったのに気づいたのが10月4日夜で[写真1],翌日の朝6時頃に見た時にはすでに蛹になっていました。
終齢幼虫になったのが,9月25日。[写真3]
終齢幼虫になって11日間で蛹になったことになります。
前蛹[写真1]は変わった形をしていますね。
尾部を固定し逆さ吊りになる垂蛹型なのですが,頭を持ち上げ丸まるような体勢をとっています。
ウサギの耳のような頭部角状突起をもつ2頭が並んでぶら下がっている姿は,なかなかかわいらしいものです。
学習研究社「日本産幼虫図鑑」には,幼虫の特徴について次のように書いてありました。(文中の「前種」とはウスイロコノマチョウ)
『終齢における前種「( )内」との区別点は,体長がより長く胴太である(短く細い),頭部角状突起が太く鈍頭で前方で左右にやや広がる(やや小さく広がらない),同突起の色が顔面の黒色部と同色(突起の方がより淡色),胴部の背線,気門線,気門下線が不明瞭(明瞭)。以上の特徴は,若齢と中齢でもある程度認められる。蛹は,側面からみて胸部と腹部の高まりが目立つダルマ型(やや細長い感じ)。色は両種とも緑色型のみ。』
食草については,学習研究社「日本産蝶類標準図鑑」に詳しく載っていました。
『幼虫の野外におけるおもな食草はススキ・アブラススキ・ジュズダマ・アシ・ツルヨシ・ダンチク・ササクサ(別名ササキビ)・マコモ・オギ・ハネガヤ・カリヤスモドキ・メヒシバなどのイネ科,シラスゲ(カヤツリグサ科)。そのほかチヂミザサ・ヒメシバ・アワ・ナルコビエ・トウモロコシ・メダケ・ミヤコザサ(イネ科)などでも幼虫が発見され,チガヤ・アシボソ・チョウセンガリヤス(イネ科)にも産卵が観察されている。飼育の際に与えれば各種のイネ科を食べる。』
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ジョロウグモが目立つ季節になりました。
これはまだ幼体の雌です。[写真1]
ジョロウグモは卵で越冬し,5月頃孵化します。
雄は7回脱皮して8月頃に成体となり,雌は8回脱皮して9~11月頃に成体となります。
今の時期,幼体のものもいれば,[写真2]のように既に十分成熟した個体もいます。
[写真3]は成体腹部,糸いぼまわりの模様です。
この色合いはきれいというより,不気味ですね。
保育社「原色日本クモ類図鑑」には,ジョロウグモについて次のように書いてありました。
『体長♀17-25mm,♂6-8mm。一見して明瞭なクモで,黄と緑青色の荒い横縞がある。秋に成熟し,複雑な三角網を張る。横糸は五線紙状で数本ごとに足場糸の残りが見られる。糸は金色,成熟した個体の糸器付近は真赤になる。夏の終わり頃出現する♂は大きいが,秋おそく出る♂は小さい。♂は大体7回,♀は8回脱皮して成体になるが,栄養がよいと回数がふえる傾向があり,10回脱皮した例もある。コガネグモをジョロウグモという地方がある。分布:本州,四国,九州,南西諸島。』
[[写真4]は卵を産んだあとの雌(2005/10/12撮影)。おなかがほっそりとしています。
ということは,[写真2]のおなか中には卵が詰まっているのでしょうか。
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ミョウガの葉にクロセセリの幼虫がいました。[写真1]
クロセセリの幼虫は,ミョウガなどショウガ科の植物の葉を糸で綴り合せて巣をつくります。[写真5]
閉じてある葉を開くと,急いで糸を吐き出し,葉を綴りあわせます。
頭を左右に大きく振るたびに,細い1本の糸がしだいに太くなり,徐々に葉同士が引き寄せられてくっついてきます。[写真2][写真3][写真4]
一昨年,昨年と幼虫を採取して,羽化までの飼育を試みているのですが,幼虫が越冬できずに死んでしまいます。
年3回ほど発生するそうなので,もっと早い時期に幼虫を採取したいと思うのですが,昨年も今年も今の時期まで発生しませんでした。
(5~6年前には夏に幼虫を見たことがあります。お盆前に草取りをしているとき,ミョウガの葉にくるまっている幼虫がいました。その時は何の幼虫か気にしなかったのですが,今考えるとクロセセリだったと思います。)
学習研究社「日本産幼虫図鑑」(2005年)には,クロセセリの幼虫について次のように書いてありました。
『特徴:体色は白緑色で透明感があり,オスでは背面に精巣が透視できる。巣は1枚の葉全体を縦に筒状に閉じたもので,葉柄に噛み傷をつけるために下垂している。老熟幼虫はそれまでの巣を出て,食草の葉裏やほかの植物の葉裏に簡単な巣を作るか,造巣しないで蛹化する。蛹は半透明の淡緑色。卵は葉表ときに葉裏に1個ずつ産卵され,プリン形で底の縁がつば状に突出している。弱い縦条があり,次種に比べて高さが高く,半球形に近い。
食物:ショウガ科ハナミョウガ,アオノクマタケラン,ゲットウ,タマタケラン,シュクシャ,ミョウガ,ショウガなど。
分布:九州,南西諸島には古くから分布。近年本州(近畿地方まで)と四国(愛媛県まで)に侵入し,北上中。』
「分布」のところに書いてあるように,元々は南方系のチョウで,近年北へ分布をひろげているようです。
クロセセリの分布域拡大に関して,学習研究社「日本産蝶類標準図鑑」(2006年)には次のように書いてありました。
『本種は分布の東北進が目立つチョウである。本州で最初に見つかったのは下関市内で1978年のことであるが1999年には山口県のほぼ全市町村に発生が確認された。1991年島根県に侵入し,現在は六日市町まで生息。広島県には1997年に侵入し,呉市まで生息している。四国では2000年に初記録,おそらく2000年以前に上陸したと思われ,現在は愛媛県大洲市,八幡浜市,三瓶町,宇和町,松山市,丹原町などに生息している。九州からの分散と思われるが,中国地方から分散した可能性もある。それから飛び離れて,1986年京都府亀岡市で採取され,現在までに大阪府高槻市,京都府八木町,京都市,滋賀県大津市で記録されているが,自然分布とは考えにくく,人為的な移入と思われる。』
分布図をみると確かに,中国地方から遠く離れた京都,大阪に飛び地的に分布しているのは不自然な感じがします。
しかし1,2頭放したくらいでは定着するはずもありません。
「人為的な移入」とは何なのでしょうか。
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糸でグルグル巻きにされた獲物にしがみついているクモがいました。
捕えられた獲物をよく見ると,こちらもクモです。[写真1]
捕えられたクモは10月2日に書いたキシノウエトタテグモで,捕らえた方のクモはヒメグモのなかま,オオヒメグモではないかと思います。
オオヒメグモは名前に「オオ」とついていますが,体長1cmにも満たない小さなクモです。
オオヒメグモについて,新海栄一著「ネイチャーガイド 日本のクモ」(2006年)には次のように書いてありました。
『日本で最も普通に見られるクモ。都市部~高山まで広く生息。建物の内外に多く,部屋の隅,縁の下,ベランダの隅や下側,外階段の下,塀,石灯籠,生け垣などに不規則網を張る。野外では,立看板,側溝,公園のトイレ,山地の崖地,石垣,渓流沿いなどの樹木の枝葉間などにも生息。不規則網の中央部に枯れ葉や土を吊して住居を作る個体も見られる。色彩。斑紋には変異が多い。』
クモがクモを捕えるのは意外な感じがします。
例えばカマキリなど,昆虫が昆虫をとらえて餌にすることはよくあることなので,クモがクモを捕えることは別段変ではないはずですが,でも何か違和感があります。
クモがクモの巣にひっかかってしまうなんて変ですよね。
ウィキペディア「ヒメグモ科」の項目には,次のように書いてありました。
『オオヒメグモのカゴ網の場合、大部分の糸には粘液がついていない。その代わりに、糸が土台に付着する部分の狭い範囲に粘液がついている。これは、土台の部分を歩いている虫がくっつくようになっているものである。歩いている虫がここに粘りつき、暴れると土台のところで糸が切れ、糸は張力で引き上げられる。そうすると、虫はそれに引かれて吊り上げられてしまう。したがって、オオヒメグモの網には、往々にして地上性の昆虫が捕らえられている。』
保育社「原色日本クモ類図鑑」には,オオヒメグモについて次のように書いてありました。
『ヒメグモ科中最大で,体長♀7-8mm,♂4-5mm。腹部は球形で黒・白・褐・黄色の組み合わさった複雑な斑紋がある。個体により黒色型・褐色型・緑色型などがある。成体は立体的な篭網を作るが,幼体はアヤトリ状の網を張る。屋内に多く,高層ビルの高所にも見られ,新築家屋に真先に侵入してくるのも本種である。野外では崖のくぼみ,洞穴などにもいる。野外性のものでは網に木の葉や土粒で屋根をつけているものもある。6~7月に成熟し,数個の卵のうを網に吊るす。網の一部の柱糸先端近くに粘球があり,これに触れた虫を吊り上げる。』
[写真4]は,別の網に付いていた卵のうです。
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ゴキヅルの実がなっていました。
ゴキヅルは「合器蔓」で,名前は実の形に由来します。
[写真1]の実に上下の裂け目ができていることからわかるように,実が熟すると下側の果皮が種子と一緒に脱落します。
実の中には黒色の種子が2個入っています。[写真2][写真3]
花には雄花と雌花があり,同じ株に両方の花が咲きます。
雄花[写真4]は総状花序(そうじょうかじょ)で,花軸に柄をもつ花がいくつもついて,順次咲いてゆきます。花弁は5つに裂けて細長くとがり,がくも同じ形をしているので,花びらが10枚あるようにみえます。
雌花は雄花序の基部に一つだけつきます。
雌花も雄花と同じような形をしているのですが,今の時期,花をつけているものは見当たらなくてみな子房がふくらみ始めています。[写真5]
葉は三角状皮針形。[写真6]
もともと対生ですが,片方の葉が巻きひげに変形しているため,互生となっています。
「牧野新日本植物図鑑」(昭和45年)には,ゴキヅルについて次のように書いてありました。(表記はゴキズルとなっていました)
『本州,四国,九州をふくむ東亜の暖,熱帯(琉球に欠ける)の水辺にはえる一年生のつる草で,茎は長さ2mばかり,巻きひげがあって他物にからまる。葉は柄があり,互生(もともと対生だが片方の葉が巻きひげに変形),葉身は三角状皮針形で先端とがり,下部は3~5の出っ張りがあり,長さ5~10cm,幅2.5~7cm,ときに3~5の浅中裂するものもある(これをモミジバゴキズルという)。晩夏から秋にかけて葉腋から多数の黄緑小花を出す。雄花冠はほとんど5全裂し,裂片は細長でとがる。同形のがくもほとんど5全裂。雄花序は総状,雌花は雄花序の基部に単生し,1cmぐらいの糸状の柄があり,花後,楕円体の緑色の果実を下垂し,熟すると下半の果皮が脱落して,同時に大形の黒色種子が2個落下する。[日本名]合器蔓の意味で果実の蓋がとれる形式を合器すなわちかぶせ蓋の容器にたとえた。』
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道の真中でウスバキトンボがじっとしていました。
とまっているのか,死んでいるのか。
指でつつくと脚が動いたので,生きているようです。
手にひらに乗せ写真を撮りました。
「ウスバ(薄翅)」の名前のとおり,薄く透明な翅をしています。
翅は体の割には大きく,とくに後翅が幅広くなっています。
体はうすいオレンジ色。頭部胸部はほとんど無班で,腹部の背中側に黒い縦線があります。
福岡に住んでいた子供のころ,お盆の時期に群れをなして飛んでいた「赤トンボ」は,今から考えるとこのウスバキトンボだったようです。
黄色いのにどうしてアカトンボというのか不思議でした。
アキアカネやナツアカネは秋になると赤く色づきますが,ウスバキトンボは赤くはなりません。
山内りゅう著「田んぼの生き物図鑑」には,ウスバキトンボについて次のように書いてありました。
『亜熱帯から飛来 体長は45~52mm。複眼が大きく体色は薄いオレンジ色。全体に翅は大きいが,後翅はとくに幅広い。故郷は沖縄以南の亜熱帯地方で,本州へは4~5月頃に飛来し,その後各地で世代交代を繰り返しながら日本全国に広がっていく。幼虫の成長は早く,そのため水溜まりのような一時的な水域でも生育できる。夏以降に,利用されない学校のプールなどで発生することもある。しかし,寒さに弱く,本州以北での越冬は困難である。
夏に多い「盆トンボ」 本種が田んぼでとくに多く発生する時期は,ちょうどアキアカネがいっせいに羽化して高地に移動し,田んぼが一時的に空白になる時期と重なる。おそらく,外から飛来する本種にとって,在来種と競合せずに利用できる時期をうまく選んでいるのだろう。本種も「アカトンボ」と呼ばれることがあるが,体色は赤くはならない。地方によっては「盆トンボ」と呼ばれることもあり,群れをなして田んぼや池などの上ゆっくりと飛ぶ姿がちょうどお盆の頃に目につくようになる。秋になると,水辺と関係のない空き地やグラウンドなどでも目にする機会が増える。』
写真を数枚撮ったところで,翅を震わせ,手のひらからふわりと浮きあがると,元気に飛んでゆきました。
翅を震わせたときに手に伝わってきた震動が,しばらくの間ここちよい感触として残っていました。
タグ: | ウスバキトンボ
10月17日と19日,クロコノマチョウの蛹が次々に羽化しました。[写真1]
1頭目は気がつくといつの間にか飼育ケースの中に成虫が。
2頭目は羽化の瞬間を撮影しようと気をつけてみていました。
18日の夜,蛹の体色が黒ずみ羽化が近そうです。[写真3]
[写真2]は蛹化したばかりの10月5日の様子。
幼虫と同じ薄緑色をした,みずみずしい体表をしています。
蛹化から12日目と14日目に羽化したことになります。
[写真4]は19日朝5時50分に写したもの。
前夜の状態より全体に黒ずみ,殻が浮き上がったように白くなった部分があります。
白い部分は徐々にひろがってゆき,7時過ぎには全体が白っぽくなりました。
羽化の瞬間を今か今かと待っていたのですが,出勤の時間が迫り写真に撮るのをあきらめました。
[写真5]は7時52分の状態。
家人に聞くと10時ごろに羽化したそうです。
羽化した成虫はこのまま冬を越し,4~5月に活動を開始して産卵,
学習研究社「日本産蝶類標準図鑑」には,クロコノマチョウの生態について次のように書いてありました。
『成虫越冬。越年したチョウは4~5月にあらわれて産卵,第1化(夏型)は6~7月より出現,第2化(秋型)は9~10月に羽化し,越冬にはいる。以上は分布の北限に近い地域や山地帯での発生過程で,暖地(たとえば九州の平地から低山地帯)ではさらに発生回数を増し,夏型は2回にわたって出現する。すなわち第2化は8月中・下旬より第2回目の夏型として出現,第3化が初めて秋型となり10~11月に羽化する。日中は林間・林縁の薄暗い場所に静止しており驚かさなければ飛び立たないが,夕暮れには活発に飛翔し,家屋内などに飛び込むものを見ることがある。草原には決してこのチョウはいない。森や木立で,林内にほとんど日光がとおらず下草の生え方がまばらか,あるいは林縁,疎林で食草のあるところが生息地となっている。越冬は下草がほとんど生えず,落ち葉が地上に堆積しているような場所で行う。飛び立ったチョウはあまり遠くには逃げず,間もなく地上に静止する。秋季のチョウは日光の直射をきらい日光の直射する場所には決して止まらないが,越冬後早春にあらわれるものは日光の直射する場所にも止まることがある。記録された最大産卵数は434個。産卵のときは母チョウは食草の葉にぶらさがるように止まり,卵は3~10個くらい1か所にかためて産みつけられる。』
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陸橋のフェンスにからみついているトケイソウに花が咲き,実も付いていました。[写真1][写真5]
実を2つに切ってみると,中身は空っぽです。[写真2]
トケイソウは英名でパッションフラワー。その実はパッションフルーツと呼ばれ食用になります。
トケイソウの仲間にはたくさんの品種があり,果実栽培用の品種もいろいろあるようです。
「朝日百科 世界の植物」には次のように書いてありました。
『クダモノトケイソウ P.edulis はブラジル南部に自生し,世界中の温暖な地域で広く栽培される。果実は長さ6センチほどの球形または卵形で,和名のとおり,生食もされるが,主にジュースの原料となる。トケイソウの仲間では,ほかにも数種が果実の利用を目的に栽培され,野生を加えると40種ほどが食用にされる。それらは「パッション・フルーツ」と総称され,なかでも大形で長さ20~30センチにもなる果実を産するオオミノトケイソウ P.quadrangularis やミズレモン(ウオーター・レモン) P.laurifolis は,広く栽培される。とくに前者は多汁で風味がよい南西諸島で野生化したホホズキトケイソウ P.foetida の果実は小さいが,食べられる。』
お店で売っているパッションフルーツと比べてみました。[写真3]
このパッションフルーツは大きさからしてクダモノトケイソウンのようです。
半分に切ってみました(皮は結構硬いです)。[写真4]
オレンジ色のゼリー状をした果肉のなかに黒い種子がたくさん入っています。
パッションフルーツを食べるのは初めてなので,どこを食べればよいのかわかりません。
とりあえずスプーンで,果肉を種ごと食べてみました。
スプーンを差し入れただけで果汁があふれ出てきます。
生食用よりもジュース用として利用されることが多いのがうなずけます。
この甘酸っぱい濃厚な味はどこかで味わった感じがします。
生のフルーツとしてはまだ一般的ではないですが,加工されたものは広く出回っていて,既に馴染みのある味になっているようです。
今年6月10日の日記にもトケイソウの花をとりあげ,「時の記念日」(6月10日)の頃に咲くと書きましたが,秋にも花が咲くのですね。
6月に咲いていたトケイソウを見にいったら花は咲いていませんでした。
熱帯では1年中,日本では夏から秋に開花するそうです。
ひさしぶりにアカタテハの飼育ケースを覗いてみると,食痕のない,新しいカラムシの葉を綴り合わせて閉じこもっています。[写真1]
普段は同じように巣を作っても,葉は一部が食べられて萎びた感じになっているのですが。
ハサミで葉を切って中を覗いてみました。
蛹になり,尾部を固定してぶら下がっています。[写真2]
脱ぎ捨てられた脱皮殻も下に落ちていました。
[写真3]は10月10日に幼虫を見つけた時の状況です。
葉柄に噛み傷を付けてから葉を綴っているので,葉は萎びています。
でもどうしてわざわざ葉を枯らすようなことをするのでしょうか。
捕食者の目を欺くためでしょうか。
幼虫は巣の中から自分を包み込んでいる葉を食べるので,幼虫が食べるのは新鮮な葉ではなく枯れかかった葉ということになります。
新鮮なものの方がおいしいだろうにと思うのですが。
[写真4]は巣の中を覗いたところ。
幼虫が葉を綴り合わせて巣を作るのは中齢以降です。
若齢幼虫は葉に糸を吐いて隠れ家としています。
学習研究社「日本産幼虫図鑑」(2005年)には,アカタテハの幼虫について次のように書いてありました。
『幼虫は造巣性が強く,若齢は葉面に吐糸して隠れ家とし,中齢以降は葉柄に噛み傷をつけた後,葉を内側に折りたたんで柏餅形の巣を作る。巣とした葉を食べ,次々に新巣を作っていく。蛹化は食痕のない新巣中でなされることが多い。卵は1個ずつ食草の新芽や若葉表に産みつけられる。』
幼虫の食草について,学習研究社「日本産蝶類標準図鑑」(2006年)には次のように書いてありました。
『幼虫の食草はイラクサ・ホソバイラクサ・エゾイラクサ・ミヤマイラクサ・アカソ・コアカソ・カラムシ・ナンバンカラムシ(別名マオ,ラミー)・ヤブマオ・サイカイヤブマオ・ハマヤブマオ・メヤブマオ・ニオウヤブマオ(ニオウマオウ)・カテンソウ・ラセイタソウ・オオイワガネなどのイラクサ科。寒冷地ではハルニレ・マンシュウニレ・オヒョウ・ケヤキ(ツキノキ)などのニレ科を食べることも多く,またアオイ科のタチアオイ,クワ科カナムグラ・カラハナソウ・アサ・ホップ・カジノキについた例も報告されている。』
タグ: | アカタテハ