ヒメオドリコソウの花が咲いていました。
毎年春早く,他の草々が花をつける前に咲き始めます。
明治時代に日本へ入ってきた帰化植物で,広く雑草化しています。
保育社「原色日本帰化植物図鑑」(1976年)には,次のように書いてありました。
欧州原産。明治26年(1893),松村任三”東京駒場ニ於テ検出”以来徐々に分布域が広がり,現在東京都や長野県では害草化している。茎頂の包葉が紫紅色を帯びるのは著しい特徴で遠くからみてもそれと知られる。
「牧野新日本植物図鑑」(1970年)には,ヒメオドリコソウについて次のように書いてありました。
ヨーロッパ,小アジア原産の小形の1~2年草で,東アジア,北米に帰化し,主に都会地附近に雑草となっている。茎は基部から分れ高さ10~25cm,四角形で短かい毛があり,太く軟い葉は対生し長い柄があり,丸味のある卵形で長さ2cm位,基部は心臓形でふちには鈍きょ歯がある。上面は葉脈が網状にくぼみちぢんでみえ,両面に軟かい毛が密生する。茎の上部の葉は柄が短かく密に集ってつき,しばしば暗紅色をおびる。早春から開花し,上部の葉のわきに暗紅色の小さな唇形花を1~3個輪状につける。がくは長さ約5mm,針状にとがた5片があり,ふちには毛がある。花冠は長さ8~10mm,オドリコソウの花を小さくしたような形である。果実は4個の分果からなり,分果は広倒卵形,長さ1.5mmほどである。〔日本名〕姫踊子草の意味である。
[写真3]は茎の断面。四角形をしています。
[写真4]は本家のオドリコソウ。
タグ: | ヒメオドリコソウ
インクラインの草地に鳥が集まっていました。
・[写真1]…ジョウビタキ
・[写真2]…ツグミ
・[写真3左]…イカル
・[写真3右]…スズメ
スズメとイカルは地面に落ちている草の実をついばみ,ジョウビタキとツグミは虫を捕えていました。
ジョウビタキとツグミは冬鳥で,暖かくなると北の国へ帰ってゆきます。
ジョウビタキについて,「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」に次のように書いてありました。
冬の庭に縄張りを構える,翼に白い斑のある鳥。中国西部からウスリー,サハリンにかけての地方で繁殖し,日本には冬鳥として全国に普通に渡来し,主に積雪の少ない地方で越冬する。春はツグミなどより早く渡去し,4月にはほとんど姿を見ない。
ツグミについては,「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」に次のように書いてありました。
翼を下げ,胸を反らせて地面に立つ赤茶色の鳥。シベリア東部からカムチャッカにかけての地域で繁殖し,冬鳥として全国に渡来する。
イカルは京都では留鳥らしいですが,冬の鳥というイメージがあります。
冬の朝,数十羽のイカルがパキパキと音をたてて,エノキの実をついばんでいる姿をよく見ます。
イカルについて,「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」に次のように書いてありました
繁殖期は主に低山帯の落葉広葉樹林に棲息する。樹冠部で行動し,ヤマザクラなどの実を食べるが,ガの幼虫や甲虫類などの昆虫も捕える。つがいで生活するが,縄張りとして防衛するのは巣の周りの狭い範囲だけで,数つがいが隣接してコロニー状に営巣することが多い。木の枝の上に,枯れ枝やつるで椀形の巣を作る。産卵期は5~7月,卵数は3~4個,抱卵日数は14日位,巣立ちまでの日数は14日位である。非繁殖期には数羽から数十羽の群れで生活し,明るい林を移動しながら,ヌルデなどの木の実を食べる。
オオイヌノフグリの花が咲いています。
オオイヌノフグリは明治期に渡来した外来植物で,在来種であるイヌノフグリの仲間です。
全体的にイヌノフグリより大きいのでオオイヌノフグリの名がついています。
イヌノフグリの名は果実の形が犬の陰茎(古名ふぐり)に似ていることからきており,オオイヌノフグリも似た果実をつけます。[写真5]
保育社「原色日本帰化植物図鑑」(1976年)には,次のように書いてありました。
西アジア原産。明治20年(1887)頃,東京に帰化していることが牧野富太郎,大久保三郎などによって認められた。その後大正初期にはすでに全国的に広布,今日ではいたるところに多く,早春の風物詩となっている。イヌノフグリは花が小さく淡紅色の別の品だが,俳句のほうではオオイヌノフグリをイヌノフグリと詠む。
花は朝方閉じており,日が当りだすとともに開き始め,夕方になるとしぼみます。
[写真3]は,朝の状態。
[写真4]は,夕方しぼみ始めた時の状態。
[写真4]をみると,雄しべが雌しべにからみつくような状態になっています。
これは,日中に虫が訪れなくて受粉できなかった花が,同花受粉するための仕組みです。
地人書館「新訂 図解生物観察事典」に次のように書いてありました。
花を訪れる昆虫は,ナガヒメヒラタアブ,ヒメハナバエ,ハナアブ,オオクロバエなどで,それらの虫がとまると花が傾くので,虫は必然的に雄しべにしがみつく状態になる。その結果,葯と柱頭が触れ合い,花粉が柱頭や虫につく。日中はこのように昆虫の助けをかりて同花受粉や他花受粉を行うが,日がかげりだすとゆるやかな運動によって葯と柱頭とが接近してお互いに触れ合い,自動的に同花受粉をする。
日中に十分開いている花を一輪取り,カメラを近づけて雄しべ雌しべの写真を撮っていると,開ききっていたはずの花弁がすぼまっていて,撮影の邪魔になります。花弁は完全に開いていたはずなのに,おかしいなと思っていたのですが,これも習性のようです。
地人書館「新訂 図解生物観察事典」に次のように書いてありました。
開いた花に触れると,萼が閉じて花弁が押し出されるように落ちる。昆虫による受粉が行われても1~2時間で落ちる。雌雄同熟。
タグ: | オオイヌノフグリ
イカルが集まって,地面に落ちている何かをついばんでいます。[写真1][写真2]
イカルが飛び立ったあとに調べてみると,ジュズダマの実がたくさん落ちていました。[写真3]
タグ: | イカル
動物園南の疎水にいた大きなコイ。
疏水の水は冬の間水位が下げられ,水もきれいなので泳いでいる魚がよく見えます。
この写真は昨日の朝,撮ったものです。
今朝は水が元の水位に戻っていました。
タグ: | コイ
一気に暖かくなったせいか,ナツフジとネムノキの豆果が割れ,道にたくさん落ちています。
大きいほうがナツフジ[写真1],小さいほうがネムノキ[写真2]です。
(2010年7月8日追記:小さい方はネムノキの豆果ではないかもしれません)
最近この水路を歩きまわるセグロセキレイをよく見ます。
石の隙間を覗き込んでは,虫を探しています。
セグロセキレイについて,「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」には次のように書いてありました。
日本特産種で,北海道から九州まで留鳥として普通に分布し,積雪地でも冬に留まるものが多い。
川や湖の岸に棲息するが,もっとも典型的な棲息環境は中流域の礫川原で,小川や渓流のキセキレイ,下流や海辺のハクセキレイと不明瞭ながら棲み分けている。水辺を活発に歩きながら地面や水面をついばんだり,空中に飛び上がって昆虫類を捕える。繁殖期はつがいで縄張りを持ち,オスは冬の間からさえずり始める。川岸の植物や岩の下,崖地などの物陰に,枯れ草や細い根で椀形の巣を作る。建物の屋根のすき間などもよく利用し,その方が巣立ちに成功する率が高いという。産卵期は3~7月,卵数は4~6個,抱卵日数は11~13日位,巣立ちまでの日数は約14日である。非繁殖期もつがいで縄張りを持つが,繁殖期とは個体の組み合わせが変わることが多いという。縄張り性は強く,他のセキレイ類同様,車のフェンダーミラーに写った自分の姿を攻撃する。
鏡に写った自分の姿に攻撃するということなので,水路に鏡をおいたらどうするか,見てみたい気がします。
タグ: | セグロセキレイ
アミガサタケが出ていました。
おいしいキノコなので毎年楽しみにしているのですが,発生量が少なく今日は4本しか採取できませんでした。
発生量が少ないのは,昨秋イノシシがあたりの土を掘り返してしまったからだと思います。
以前にもイノシシに掘り返されたことがあり,その時は発生量が回復するまでに数年かかりました。
保育社「原色日本新菌類図鑑(Ⅱ)」によると,アミガサタケの仲間は,頭部と柄との接着の仕方によって,3型に分けらます。
頭部と柄の接着の3型
a) 直生型
b) 隔生型
c) 帽子型
[写真4]の断面は,どの型にあてはまるのでしょうか。
直生型?隔生型?
よくわかりません。
このキノコは,今までトガリアミガサタケだと思っていましたが,図鑑の説明をよく読んでみると,アシボソアミガサタケかもしれないと思うようになってきました。
トガリアミガサタケについて,保育社「原色日本新菌類図鑑(Ⅱ)」には次のように書いてあります。
トガリアミガサタケ Morchella conica Pers.
中形菌で高さは通常10cm内外,ときには16cmに及ぶことがある。
頭部は円錐形,卵状円錐形あるいは円錐状円筒形,先端は鈍頭あるいは鋭頭,下縁は茎からわずかに離れ隔生する。
肋脈は縦脈がよく発達し多少平行する傾向があり,横脈は少なく,その発達も不良なのでくぼみは長味をおびて狭い。肋脈の稜は初め軟毛を生じ,後に黒色となる。子実層面は帯褐色あるいはオリーブ褐色を呈する。
茎は円筒形でほぼ同幅で長さは頭部の長さとほぼ同長,上方は頭部の幅の約2/3内外,
基部はふくれてわずかに縦溝があり,また顆粒体がある。
アシボソアミガサタケについては,次のように書いてありました。
アシボソアミガサタケ Morechella deliciosa Fr.
小形菌で高さ5cm内外,
頭部は楕円形あるいは類円筒形,先端はやや鋭頭,下縁はわずかに茎から離れ隔生する。
肋脈はよく発達し多少平行状,横脈はわずかに発達し,くぼみは狭く長い。脈の稜は暗褐色~黒味をおび,子実層面は褐色~オリーブ色を呈する。
茎は円筒形,頭部より短くあるいはほぼ同長,上方はその幅頭部の1/2内外,
基部はしばしば膨大してわずかに凹孔があり,幾分粉状,白色あるいは帯黄色。
まず,このキノコは大きさが5~7cmのものが多い。
茎の長さが,頭部より短い。
茎の上方の幅が,頭部の幅の1/2内外。
以上のことから,アシボソアミガサタケではないかと思います。
タグ: | アシボソアミガサタケ | トガリアミガサタケ
ヤマネコノメソウの花が咲いています。
花びらのない,小さな花なので目立ちません。
雄しべは萼から生えているのがわかるのですが,雌しべはよく見てもなかなかどこにあるのかわかりません。
雌しべは,半透明のような花床から角のように2本突き出している出っ張りがそれです。
花床と同じ色なので分かりづらいですね。
[写真3]は花の断面です。
変な花だと思っていましたが,こう見ると,花弁がないだけで普通の花と変わりありません。(当たり前ですが)
「牧野新日本植物図鑑」(1970年)には,ヤマネコノメソウについて次のように書いてありました。
各地の人家附近の日かげ,あるいは石垣の間などにはえる多年生草本。全体に長い毛が散生し,うす緑色,著しく液汁に富み,もろい。根元に長さ2~3mmのよごれた紫色の肉芽をつける特性があり,ほふく枝はない。3~4枚の根生葉は円形,基部は心臓形,長い柄があり,ふちに低い鈍きょ歯がある。茎は高さ10~15cm,3~4の鋭い稜があり,小形の葉を2~3枚互生する。早春に茎の先に花弁のない細かい緑色の花を開く。花の下に倒卵形あるいは卵円形の葉状の包葉がある。がく片は4個,広卵形,先端は鈍形,開出して緑色。雄しべは8本で花糸は短い。2個の花柱は平板状の子房上壁に互にそり返って立つ。さく果は初め2角状であるが,5月頃開裂し,低く平らな4個の小片が開いて,さかずき状となり,径5mmに達し,底に暗褐色の小さい種子を現わす。種子は楕円形,片側に脈があり,ルーペでみると全面に微小の毛がある。日本では本属の種類は多いが,ほとんど対生葉で,互生の種類は少ない。
[写真4]は,さく果。(2007年4月11日撮影)
さく果が裂けた様子を猫の目にたとえて,ネコノメソウの名がついています。
タグ: | ヤマネコノメソウ