家の周辺でよく見かける,セセリチョウのなかまです。
[写真1]がチャバネセセリ。
[写真2]がイチモンジセセリ。
[写真3]がクロセセリ。
チャバネセセリとイチモンジセセリは,大きさ,形,色ともよく似ています。
イチモンジセセリは名前に「一文字」とあるように,後翅の白斑が一列に並んでいるのが特徴です。
それに対してチャバネセセリの白斑は円形に並んでいます。
チャバネセセリとイチモンジセセリの幼虫は見たことがありませんが,クロセセリの幼虫は毎年家の近くに生えているミョウガの葉で見かけます。
[写真4]は今年7月に見たクロセセリの幼虫です。(2008年7月1日撮影)
毎年10月にもたくさんの幼虫が発生しますが,みんな蛹になる前に寒さで死んでしまいます。
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オナガサナエが歩道にとまっていました。[写真2]
こうやって道にとまっているトンボは,どういう訳か逃げないですね。
手で簡単に捕まえることができます。
動けないわけではなく,手を離すと飛んでゆきます。
朝早いから体が温まっていないのでしょうか。
それとも寿命で弱っている?
黒い体に黄色い紋があり,複眼がくっついていないことからサナエトンボの仲間であることがわかります。[写真3][写真5]
オナガサナエの雄は腹部の先が大きくふくらんでいて,大きな付属器がついているのが特徴です。[写真4]
学習研究社『原色ワイド図鑑 昆虫Ⅰ』には,オナガサナエについて次のように書いてありました。
5月下旬~7月中旬に平地の河川から発生し10月上旬まで見られる。おすの7~9腹節は大きくふくらみ,先端のかぎが長い。このためオナガといわれる。おすは早瀬の転石に止まって縄張りを占有する。めすは単独で早瀬上でホバリングし卵塊を作って放卵する。秋口,老熟個体は河川沿いの電線上で翅を休めている姿がよく観察される。
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アオサギが,落ちている枯れ枝をくわえています。[写真1]
初めて見る行動だったので,どうするつもりなのかしばらく見ていました。
しかし,こちらの視線が気になったのか,枯れ枝をくわえたまま飛びたってしまいました。
飛び去るアオサギを見ながら,巣作りの材料にするつもりかなとも思ったのですが,今は巣作りの時期ではありませんよね。
くわえたまま飛ぶには結構大きな枝です。
100mほど離れた場所に降り立ち枝を地面におきました。
その後,アオサギはもう一度枯れ枝をくわえ水面に落としました。[写真4]
そこは砂が堆積して浅くなっていて,アオサギがよく餌とりをしているところです。
ひょっとして,餌をとるための道具として使うつもりでしょうか。
しかしアオサギはあたりをうろうろするだけで餌とりをする気配がありません。
朝の出勤前で時間がなくて,それ以上観察することができませんでした。
アオサギが餌をとるのに道具を使うことがあるのかどうか気になって,ネットで調べてみました。
すると,アオサギが枯れ枝をくわえて水面をかき回しているところを撮った動画がありました。
小魚を追い出しているところのようです。
また,熊本県熊本市の水前寺公園にいるササゴイは,疑似餌を使って魚を捕ることで有名だそうです。
(Nikon バードランド・ジャパン 野鳥の雑学 道具を使う鳥)より
熊本県熊本市の水前寺公園にいるササゴイは、疑似餌を使って魚を捕ることで有名です。餌には昆虫類やミミズのような生き餌と木の葉、羽毛、発泡スチロール、パンくずなどの疑似餌を使います。魚が食いつかなかった場合には餌を拾い上げ、改めて水面に投げるという行動を繰り返します。そして、餌に魚がよってきたり、気を取られている隙をついて狙い定めた魚に飛びつきます。また、まれなことですが、長めの枝を足の下に敷き、端を小さく折って使うことも観察されています。
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ケヤキの根元にナラタケモドキが発生していました。[写真1]
根元の周囲にぐるっと10個の株があります。[写真5]
ナラタケモドキが出るということは,このケヤキの木はかなり弱ってるのでしょうか。
このあたりで一番大きなケヤキの木ですが,樹皮がところどころはがれていたりして,たしかに樹勢が弱っている感じがします。
ナラタケモドキはナラタケと同じく土壌伝染性病原菌で,樹木の根系に感染し,徐々に樹勢を弱らせ枯死させてしまいます。
ナラタケモドキはナラタケに似ていますが,柄につばがないのが特徴です。[写真2]
ナラタケモドキはナラタケと同様に食用とされるキノコですが,消化が悪いため,たくさん食べると胃腸系の中毒を起こすそうです。
「フィールドベスト図鑑14 日本の毒きのこ」(2003年)には,次のように書いてありました。
ほんのり甘いきのこ臭があり,味もよいため,食用としている地域もある,ときに消化不良を起こすことがあるので,熱を十分に通し,多量に食べないなどの注意が必要である。
「山渓カラー名鑑 日本のきのこ」(1995年)には,ナラタケモドキについて次のように書いてありました。
ナラタケに似ているが,柄につばがない点で区別される。傘は径4~6cm,蜜色で中央部に小鱗片が密集する。柄は長さ5~8cm,繊維状,傘とほぼ同色であるが,下部は暗色。
夏~秋,広葉樹の倒木や生立ち木の根際に多数が束生する。
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マツの根元にハナビラタケが出ていました。
この場所には,毎年今の時分になるとハナビラタケが発生します。
食用になるのですが,雨が降った後に採ると,飛びはねた泥粒がひだの間に入り込んでいて,洗い流すのに苦労します。
風味はさっぱりとしていて,栽培品のマイタケ(野生品は食べたことがありません)のような感じでしょうか。
歯ごたえが独特で,形も面白いので,それをいかせば食材としていろいろと使えそうです。
今回,ネットでハナビラタケを検索して驚きました。
ハナビラタケに関するたくさんのページが表示されます。
どうやらβグルカンという成分が含まれていて,健康食品としてブームになっているようです。
その説明の中には,ハナビラタケをいかにも「幻のキノコ」であるかのように書いてあるものもありました。
この辺りではよく見る,普通のキノコなのですが。
「山渓カラー名鑑 日本のきのこ」には,ハナビラタケについて次のように書いてありました。
白いハボタン状の大形のキノコ。柄はくり返して枝を分けるが,枝は花びら状に薄く,波打つ。子実層はこの花びら状の枝の地面側にだけ発達するが,本質的に表裏の別はない。
針葉樹の根もとや切り株に生え,枝に褐色ぐされを起こす。食。
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オニグルミの実がたくさん落ちていました。
持って帰っても食べるわけではないのですが,うれしくて拾い集めてしまいます。
オニグルミの実は[写真5]のように,ひとつの果序に5~11個ついています。
堅果は偽果に包まれていて,そのまま落下します。
[写真4]は落ちていた偽果。
靴で踏んで転がすと,中から真黒になった堅果が現れます。[写真3]
見慣れているクルミと違ってずいぶん汚く見えますが,これは果皮に含まれるタンニンが酸化して黒くなったものです。
この液汁は黒色の染料につかわれるそうです。
[写真2]は洗った後のオニグルミ。
見慣れたクルミの姿になりました。
オニグルミは殻が固いので,中身を取り出すのがまた一苦労です。
縄文時代は石でたたき割っていたようですが,現代では電子レンジを使うと比較的簡単です。
電子レンジで加熱すると,殻の一部が口をあけるので,そこからこじ開けます。
[写真1]は,殻を二つに割ったところ。
白い部分が種子です。脂肪分を豊富に含んだ2枚の子葉から成り立っています。
クルミの実は人間ばかりでなく,ネズミやリスなどのげっ歯類が好んで食べます。
リスなどは餌を貯蔵する習性があるので,食べ残しのクルミが貯蔵場所で発芽し,結局は種子散布に協力することになります。
「朝日百科 植物の世界」(1997年)には,クルミの種子散布について次のように書いてありました。
クルミ属やペカン属の堅果を割ると出てくる大きな種子は,多量の脂肪を含んでいて栄養価が高く,ネズミやリスなどのげっ歯類が好んで食べる。これらの小動物は,秋になると冬越しのために果実を木のうろや落ち葉の下に隠す貯食性があるが,食べ残したか忘れ去られた果実が次の年に芽生えることがよくあり,果実の散布に重要な役割を果たしている。動物散布の場合は,親木からどれだけ遠くに運ばれるかが問題になるが,小型発信装置をつけたオニグルミの堅果を運ばせた実験では,ニホンリスが60メートルの距離を運んだことが確認されている。クルミ科の植物の多くは沢沿いや河川沿いに生えていて,しかも堅果の壁の内側に空洞があるために水に浮きやすくなっており,流水による散布も分布域を広げる有効な手段になっていると考えられる。
[写真6]はオニグルミの雌花です。(2004年5月5日撮影)
花弁はなく,子房の先に赤い柱頭が2本,水平に伸びています。
オニグルミは雌雄同株で,花は穂状花序(ほじょうかじょ)を構成しています。
雄花序(ゆうかじょ)は前年の枝の葉腋(ようえき)から垂れ下がり,雌花序(しかじょ)は新しい枝に枝先に直立します。
子房以外の部分が肥大した,見かけ上の果実を偽果(ぎか)といいます。
クルミ科の花が偽果をつくる過程を,前書には次のように書いてありました。
雄花序は大量の花粉を生産し,花粉は風によって運ばれる。雌花の子房を包んでいる花床(かしょう),がく片,1枚の苞,2枚の小苞は花が終わったあと発達し,子房が成熟してできた堅果を包んで偽果(ぎか)となる。
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