塀にとまっていたガ。
調べたのですが,名前がわかりません。
翅の模様や反り返り方が,枯葉を思わせます。
後翅には目玉様の模様があります。
翅を開いて,目玉模様を見せているこのポーズは平常時のものでしょうか,それとも威嚇しているのでしょうか。
例えばアケビコノハは普段は翅を閉じて枯葉に擬態していますが,危険を感じると前翅を開いて,後翅のオレンジ色と黒色の派手な模様を見せて相手を驚かします。
さて,どちらでしょうか。
竹垣にからみついた蔦に花が咲いていました。
野草の図鑑で調べても載っていなかったのネットで検索することにしました。
花の感じがヒヨドリジョウゴやワルナスビに似ていたのでナス科だろうと見当をつけ,とりあえず「蔦 花 なす科」で検索してみました。
すると一発でヒット。
名前は「ツルハナナス」。(そのままです)
園芸品種でした。
ネットで花や虫の名前を調べるのは,以外に困難です。
情報はあふれるようにあるのに,なかなかそこに行き着くことができません。
今の検索システムはテキストベースでしかマッチングさせることができません。
例えば調べたい花の画像を示して,同じような形をした花の画像を検索するといったことはできません。
動画を含めた画像,音楽を含めた音といったテキスト以外の要素で検索する技術を早く確立させて欲しいですね。
ツルハナナスについて,NHK出版 実用セレクション「つる植物で庭を彩る」(2008年)には次のように書いてありました。
ツルハナナス Solanum jasminoides
ナス科ナス属 半耐寒性常緑つる性木本
ブラジル原産。おう盛につるを伸ばし,初夏から秋口にかけて花径2.5cmほどの星形の花を次々と咲かせます。咲き始めは淡紫色ですが,次第に白くなるため,2色の花が咲いているように見えます。花には甘い香りがあります。比較的耐寒性にも富み,関東地方南部以西の暖地では露地で越冬します。ヤマホロシの名で出回ることがありますが,ヤマホロシは日本に自生する植物で,まったく別種です。
「咲き始めは淡紫色」と書いてありますが,この花はつぼみも咲き始めの花も白色です。
その辺が気になるのですが,園芸品種なので微妙な違いはあるだろうと,勝手に「ツルハナナスで決まり」としました。
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塀にセグロアシナガバチがとまっていました。[写真1][写真2]
越冬前の雌だろうと思っていましたが,雄バチでした。
以前にも同じように塀にとまっているセグロアシナガバチを撮っています。[写真3][写真4](2007年5月5日撮影)
よく似ていますが,写した時期が5月なので,これは越冬した雌バチです。
(雄バチは秋に交尾した後すべて死んでしまいます)
セグロアシナガバチの雌雄の違いについて色々と調べた結果,まとめると次のようになりました。
・雄の顔は白っぽい(灰色)。
・雄の体は黒っぽい。
・雄の腹は,雌より1節多い(7節)。
・雄の触覚は,雌より1節多い(13節)。
・雄の触覚はとがっている。
・雄は刺さない。
調べている時にややこしかったのが,腹節の数え方です。
雄の腹節は雌より1節多いのはわかったものの,雄の腹節の数を7節と書いてあるものと,8節と書いてあるものがあります。
これは,セグロアシナガバチが属する細腰亜目のハチは,腹部の第1節目と第2節目がくびれているため,見かけ上の腹部が第2節から始まっているためです。
千葉県立中央博物館のサイトには次のように書いてありました。
ハチの科名一覧では、まずハチを広腰亜目(ひろこしあもく、こうようあもく)と細腰亜目(ほそこしあもく、さいようあもく)に分けています。広腰亜目のハチは胸部と腹部がほぼ同じ幅でつながっています。これに対して、細腰亜目のハチでは、腹部の付け根がくびれて、大変細くなっています。「ハチ腰」とは、女性のくびれた腰をさす言葉ですね。
さて、このくびれですが、実は胸部と腹部の間がくびれているのではないのです。腹部の大1節と2節の間がくびれているのです。腹部の第1節は胸部と融合してしまい、見かけ上胸部の一部となっています。外見上腹部の第1節と見えるのは実は腹部の第2節なのです。このような状態を正確に表す場合には、胸部と融合した腹部第1節を「前伸腹節」と呼び、腹部第2節以下を「膨腹部」と呼びます。胸部と前伸腹節を合わせたものは「中体」と呼びます。
しかし、一般的には中体を「胸部」と呼び、膨腹部を「腹部」と呼ぶことがほとんどです。図鑑などで「腹部は6節からなる」と書いてある場合には、見かけ上の腹部、正確には膨腹部が6節からなることを意味します。
ハチの胸部と腹部は色々な呼び方がされているようです。
いわゆる胸部=中体節=胸部+前伸腹節(=腹部第1節)
いわゆる腹部=後体節=膨腹部=腹部-腹部第1節(=前伸腹節)
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キチジョウソウの花が咲いています。[写真1] [写真2]
キチジョウソウとは「吉祥草」と書き,めったに花を咲かせることがなく,咲くとその家に幸福が訪れるという古事からきています。
キチジョウソウの名前の由来について,「牧野新日本植物図鑑」(1970年)には次のように書いてありました。
〔日本名〕漢名の字音をつかったものである。この草は常には花がなく,若しその栽植している家に吉事があると花が開くという伝説から,吉祥とはめでたいことをいうので,吉祥草とつけたという。〔漢名〕吉祥草
平凡社「世界大百科事典」(1988年)には,次のように書いてありました。
和名はこの植物はめったに花をつけず,花をつけたときには吉事があるという言い伝えに由来すると言われる。このような言い伝えが生まれた理由の一つは,花が秋遅くに咲き,葉にかくれて目だちにくいことによるものであろう。
花茎の長さが葉よりかなり短いので,確かに目立ちにくいですね。
花茎の上部に雄花,下部に両性花をつけます。
ということは最初に両性花を咲かせ,次に雄花を咲かせることになります。
全部両性花でもよいと思うのですが,どうしてわざわざ雌しべを退化させた雄花を咲かせるのでしょうか。
わざわざではなく,必要ないから雌しべが成熟しないだけかな?
[写真3]は雌花,[写真4]は雄花。
[写真5]は雌花の断面。
「牧野新日本植物図鑑」(1970年)には,花の構造について次のように書いてありました。
晩秋葉束の間に短い花茎を出し,まばらに淡紫色の小花を総状につけ,直立するが葉よりずっと短い。花ごとに小花柄及び小包葉をつけ,花被片6個の下半は筒になり,上半は分れて外に反っている。花序の下部にある花は両性花で雄しべ6個と3室をもつ上位子房とがある。花柱は長く糸状でやくの上に出る。花序の上部にある花は雄しべ6本だけあり,花糸は糸状,やくは長い。花のあとに紅紫色の球状液果を結び,翌年になっても残っている。
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