動物園南,疎水にかかる橋のたもとにキンクロハジロが死んでいました。
3年前の2007年1月3日にも,同じ場所にキンクロハジロが死んでいました。→2007年01月08日
不思議なことに,同じ場所に鳥の雛が落ちていた(?)ことも2回あります。
何の雛かは分からないのですが,まわりに巣があるような場所でないので奇妙です。
昨年の4月16日のものは死んでいましたが,4年前の雛は生きていました。→2006年06月05日
[写真1]はくちばしを裏から撮ったもの。
くちばしの縁にギザギザの歯のようなものが見えます。
これは板歯といわれるもので,板「歯」とついていますが生物学的な歯ではありません。
鳥には歯がないのです。
飛ぶために重い歯を退化させたといわれています。
平凡社『世界大百科事典』(2007年)には,「くちばし」について次のように書いてありました。
鳥の顎骨の構成は爬虫類のそれと基本的に同様だが,歯は完全に失っている.そのため食物に対して切断やそしゃくは行わず,つつくこと,ついばむこと,かみつくこと,くわえること,引っ張ること,吸うことなどに使われる.くちばしの外形は種子食,果実食,肉食,魚食,昆虫食,花蜜食などの食性に適応して,いくつかの型に分化している.
下くちばしの中央には舌がある.あご関節は,祖先にあたる爬虫類と同じく上の方形骨と下くちばしの関節骨の間にある.これらの骨格の外表面(後端の一部を除く)を覆う厚い角質は表皮の変形したもので,骨の表面に固く結合している.鳥のくちばしは鋭敏な触覚をもっていて,人の手のように多様な作業を器用にこなすことができる.
[写真5]は,くちばしを開けてみたところ。
こんなに長い舌を持っているとは,しりませんでした。
『山渓カラー名鑑 日本の野鳥』(1996年)には,キンクロハジロについて次のように書いてあります。
長い冠羽を垂らし,金色の目をした黒と白の海ガモ類。ユーラシア大陸の亜寒帯で広く繁殖し, 日本には主に冬鳥として多数が渡来する。北海道では少数が繁殖している。狩猟鳥。
生活 越冬地では湖沼,広い川,池などで生活し,ホシハジロと同じ場所で見られることが多く,市街地の公園にも渡来する。数羽から数十羽の群れで見られ,海に出ることは少ない。水中に潜って貝,小魚などの動物質の餌をよくとるが,水草などの植物質も食べる。岸辺や氷上に立って休むことも多い。繁殖地では水辺近くの草むらの地上に,草の葉や茎で皿形の巣を作る。自身の羽毛を敷いた上に6~12卵を産む。産卵期は5~ 6月,抱卵日数は23~ 25日位である。
見分け方 オスは全身黒く腹部だけが白い。メスは全身褐色で短い冠羽を持ち,目は金色,くちばしの基部に細い白色部が出ることがある。オス,メスともに飛ぶと,翼の広い白い翼帯が目立つ。
この個体は,腹部が白色なので雄ですね。[写真3]
[写真4]は頭部を拡大したもの。
死んでいるので少し気味が悪いですが,長い冠羽と金色の目がキンクロハジロの特徴です。
[写真6]は,泳いでいるキンクロハジロのつがい。
上がオス,下がメスです。
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朝,外に出ると木々の上や屋根に雪が積もっていました。
地面には積もっていません。
今冬はまだ道路に積もるような雪は降っていません。
雪ダルマを作ることもなく,このまま冬は終わりそうな感じがします。
気象庁の気象データによると
今日(2月7日)の最低気温は,0.1度,降雪は3cm。
昨日(2月6日)の最低気温は,-0.4度,降雪は1cmでした。
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南禅寺の境内にあるクロガネモチに,赤い実がたくさんついています。[写真1]
モチノキとばかり思っていましたが,調べてみるとクロガネモチでした。
モチノキとクロガネモチは,革質の葉も赤い実もよく似ています。
一番大きな違いはモチノキの方が実が大きいことです。
モチノキの実は1cm程の大きさがあるのに対して,クロガネモチの実は半分の5mm程の大きさしかありません。
『牧野新日本植物図鑑』(1970年)には,クロガネモチについて次のように書いてありました。
関東以西の本州,四国,九州など暖地の山地に分布する雌雄異株の常緑高木.高さは10m位にもなる。互生の葉は広楕円形で長さ5~8cm,幅3.5~4.5cm,毛はなく平滑で革質。全縁であり,先端は鈍く尖るか,あるいは鋭く尖っている。基部は鈍くとがり,葉柄は長い。葉は乾くと黒っぼい色になる。5月頃,小さく淡紫色をした花を開く。これは単性花で柄をもった集散花序をしていて,腋生。花序は葉より短かい。がく片は4~5,浅裂し,裂片は広い三角形をしている。花弁は4~5個,楕円形でがくよりも長い。雄しべは4~5本ある。これは雄花では花弁と同じ長さであり,雌花では小形である。雌花では,雌しベの子房は緑色で球形をしている。核果は小さく,集まってつき,球形で熟すと赤くなり,しばしば枝一杯になり美しい。実の直径は3~5mm位である.〔日本名〕黒鉄モチは,黒みがかった枝や葉の様子に基ずいてつけられたものであろう。あるいは乾くと鉄色になるのをいったものか。
・「雌雄異株の常緑高木」なので,実は雌株にしか生りません。
庭木には実のなる雌株が植えられることが多いようです。
・「高さは10m位にもなる」
かなり大きくなり,樹形もいいですね。[写真4」[写真5]
・「葉は広楕円形」「毛はなく平滑で革質」「全縁」「先端は鈍く尖るか,あるいは鋭く尖っている」。
モチノキの葉が倒卵状楕円形なのに対して,クロガネモチの葉は少し丸い広楕円形です。[写真3](スキャナーで読み込んだので,先端が折れ曲がってしまいました。)
・「核果は小さく,集まってつき,球形で熟すと赤くなり,しばしば枝一杯になり美しい。実の直径は3~5mm位である」
大きな木になるほど,実のつき方も良いようです。[写真2]
・「黒鉄モチは,黒みがかった枝や葉の様子に基ずいてつけられたものであろう」
「モチ」の名は,樹皮から「とりもち」をつくることからきています。
モチノキからとれる「とりもち」より品質がやや劣るため,モチノキからとった「とりもち」を「本もち」というのに対し,コガネモチからとったものを「青もち」というそうです。
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秋にはたわわに実っていたソヨゴの赤い実も,かなり落ちて今はまばらです。
残っている実もかなり傷んでいる感じがします。[写真1][写真2]
[写真3]は夏の青い実。(2003年9月12日)
ソヨゴの名は,「戦ぐ(そよぐ)という意味で硬い葉が風にゆれてザワザワと音をたてるので名付けられたもの」です。
このサワサワという乾いた音は心地よい音ですね。
よく似た葉をもつ,同じモチノキ科のクロガネモチ(→2010年2月14日)の葉を振ってもこのような音はでませんでした。
私はこの音を聞くたびに,神主さんがお祓いをするときの音を連想します。
木の棒につけられた紙垂(しで)が,右に左に振られるたびに発する音です。
ソヨゴの小枝をもつと,ついお祓いのまねをしたくなります。
『牧野新日本植物図鑑』(1970年)には,ソヨゴについて次のように書いてありました。
長野,山梨両県より西の本州,四国,九州の暖地の山地にはえる常緑の低木または小高木で,高さ2~3mになる。互生の葉は枝に密に着き,長い柄をもち,卵状楕円形で長さ5~10cm,幅3~4cmである。全縁で先は鋭く尖り基部は鈍く尖るか円くなっている。硬質で表面に光沢がある。雌雄異株。6月に小さな白い花を開く。雄花は沢山集って集散状をなし雌花は通常葉腋に単生する。がくは4裂し裂片はやや三角形に近い。4本の雄しべは雄花では花弁と同じ長さであり,雌花では短かい。子房は卵状球形.核果は球形で長い柄をもち,熟すと紅色となり緑の葉の間に美しくみえる。直径は6~9mm。〔日本名〕ソヨゴは戦ぐ(そよぐ)という意味で硬い葉が風にゆれてザワザワと音をたてるので名付けられたもの。膨ら柴は葉が火熱にあうと葉内の水分が水蒸気となり,表皮のクチクラが丈夫なために中にこもって膨らむことからついた。
ソヨゴの別名を「フクラシバ」というそうです。
「膨ら柴は葉が火熱にあうと葉内の水分が水蒸気となり,表皮のクチクラが丈夫なために中にこもって膨らむことからついた。」と書いてあります。
本当に膨らむのかどうか,ガスコンロの火であぶってみました。
葉全体がおもちのように膨らむのかと思っていたのですが,そうはならず,パチンと葉裏がはじけました。[写真6]
円内が葉裏のはじけた痕です。
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野村碧雲荘南の小川。[写真6]
年に1回,水量が極端に減ります。
疎水のメンテナンスの関係でしょうか。
200m程にわたって,川底に点々と魚が取り残されていました。
口をパクパクしているものもいましたが,ほとんどは死んでいます。
約50匹の内の大部分はブルーギルでした。[写真3][写真4]
オオクチバスが数匹,ニゴイが1匹。[写真1][写真2][写真5]
水は疎水を通じて琵琶湖からきているので,魚相も琵琶湖の今を反映しているようです。
そういえば,この川で子供が遊んでいる姿を見たことがありません。
40~50年前の日本中に子供があふれていた時代には,きっとこの川でも子供たちが川遊びをしていたことと思います。
その時代のこの川にはどんな魚たちがいたのでしょうか。
アユ,ドジョウ,ウナギ,ナマズ,フナ,コイ・・・。
琵琶湖固有種の魚も多く流れてきていたと思われます。
池田清彦監修『外来生物事典』(2006年)には,琵琶湖の外来魚について次のように書いてありました。
琵琶湖では1974年に初めてオオクチバスの生息が確認された。1980年代以降急速に増殖し,一方,琵琶湖の固有種で鮒鮨の材料となるニゴロブナや,アユ,ホンモロコなどの漁獲量が激減した。ニゴロブナは40年前にはおよそ500トンの漁獲量があったが,1989年には178トン,2003年には29トンと著しく減少している。
琵琶湖の在来魚の減少については,水質悪化や環境の人工的な改変など,さまざまな要因が指摘されているが,ブラックバスやブルーギルなど外来魚による大量の捕食が最大の原因であるとされている。また環境の変化が,外来魚の生態に適合していたのではないかとの指摘もある。
滋賀県水産課の試算によると,水温18℃の条件下で,オオクチバスは体重1kgを増やすために約10kgの魚や甲殻類を捕食する。また産卵期の重なるコイやフナが,他の魚類より減少傾向にあることから,餌をめぐって競合している可能性がある。
1984年,滋賀県は漁業者に委託して外来魚の駆除に着手し,1985年度には450万円の予算を計上した。しかし琵琶湖の外来魚は年々増加の一途をたどり,2003年度の駆除費用は1億5500万円に達している。
1960年代初頭に,琵琶湖周辺でブルーギルを真珠の養殖に利用する試みが行われた。淡水真珠母貝であるイケチョウガイの幼生の寄生相手として導入されたが,ラッドという別の魚に取って替られ,結果的にブルーギルはほとんど利用されなかった。現在,ブラックバスを駆逐する勢いで繁殖している。 滋賀県では琵琶湖のブルーギルを「ビワコダイ」と名づけ,鮒鮨にならったなれ鮨などを試作し,食材としての活用を模索している。
「ビワコダイ」の名は,風味がタイに似ていることから付けられたそうですが,[写真4]をみると姿も何となく小鯛に似ている感じがしますね。
ちなみにブルーギルの「ギルgill」とは「えら」を意味し,えらぶたの後端から突き出している部分が濃紺色であることから名付けられたそうです。
写真を見た時には,ゴミがはさまっているとばかり思っていました
塀にとまっていたクサカゲロウのなかま。
今の時期に成虫の姿でいるということは,成虫越冬したようです。
クサカゲロウには多くの種類があり,写真だけでは名前はわかりませんでした。
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すこし前まで,ぽつりぽつりとしか咲いていなかったウメの花が,いつの間にか,きれいに咲き誇っています。
新聞にも,今まで気づきませんでしたが「梅だより」が載っています。
いつから載っていたのか調べてみたところ,10日も前の2月14日から載っていました。
今日(2月24日)の朝刊では,「五分咲き」が北野天満宮,二条城,梅宮大社,「ちらほら咲き」が京都御苑は,「つぼみふくらむ」が随心院となっています。
ウメの花は,何かにつけサクラの花と比べられることが多いですよね。
江戸小唄に「梅は咲いたか 桜はまだかいな 柳なよなよ風次第」と唄われているように,サクラの花より1月ほど早く咲きます。
しかしサクラの代表であるソメイヨシノが一斉に咲くのと違い,ウメの花が咲く時期にはかなり幅があります。
サクラが咲いている時にも,サクラ並木に1本だけウメの花が咲いていたりします。
そうなると,同じバラ科で花が似ているので,ウメなのかサクラなのかよく見わけがつきません。
ウメとサクラの違いは,花のつき方にあります。
[写真4]がウメ,[写真5]がサクラです。
ウメの花が枝にくっつくように咲いているのに対し,サクラの花は長い花柄があり,垂れ下がって咲きます。
この違いは実になってもそのままで,梅干しに柄がないのに対しサクランボには長い柄がついています。
梅干しとサクランボに象徴されるように,ウメは地味,古臭いイメージがあるのに対し,サクラははなやかな若々しいイメージがありますね。
ウメという名前でイメージするのは年寄りで,サクラという名前では若い女性をイメージしてしまいます。
ウメの名の由来について,『朝日百科 植物の世界』(1997年)には,次のように書いてありました。
ウメの花は万葉の昔から人びとに愛され,花見(観梅)の対象にされてきた。果実も梅干しのほか,漬物,梅酒,シロップ作り,さらに漢方薬の原料などで,曰本人と深いかかわりをもっている。種小名のムメ(mume)もシーポルト(P・Siebold)が初めて来日したとき(1823~30年)に和名にちなんでつけたものである。
このためウメは日本原産と思われがちだが,じつは中国原産で,日本には古くに渡来した植物である。中国最古の詩集『詩経』にも歌われて,古くから果実に薬用,食用などの面で関心がもたれ,花も前漢から唐代にかけて観賞されるようになっていたとされる。日本への渡来は,『古事記』や『日本書紀』にはウメの記述がなく,文献上は『万葉集』に初めて登場することから,7世紀後半ではないかと推測される。ウメの中国での生薬としての名前は「烏梅」といい,「ウメイ」と発音する。この呼び名で日本に渡来し,その後「ウメ」または「ムメ」と訛って発音されるようになったと考えられている。明治時代まではウメとムメ両方でよばれていたが,どちらが主流だったかははっきりしていない。
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クチベニマイマイが,道の真ん中をゆっくりと横切っていました。
カタツムリは冬の間,木の葉や草むらに隠れて冬眠しています。
このところ暖かい日が続いているので,動き出したようです。
今朝の最低気温は8.5度,昨日の最低気温は13.6度もありました。
平年値が1.7度ですから,かなり暖かい日が続いています。
カタツムリは陸に上がった巻貝の仲間です。
乾燥が苦手なのは分かりますが,寒さにも弱いのでしょうか。
冷たい海にも貝類はたくさん棲んでいます。
寒さに強いカタツムリがいてもよいような気がしますが。
実はカタツムリは寒さに強いということが次のサイトに書いてありました。
→低温での生と死―カタツムリを凍結させて蘇らせる方法
これによると,カタツムリを水に入れて凍らせた後,解凍するとまた動きだすとのことです。
今度,実験してみたいと思います。
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