シャガの葉について,『新訂・図解生物観察事典』(1996年・地人書館)には次のように書いてありました。
(1)葉は光沢があって斜めに立ちあがり,直立することがない。葉の上面は緑が濃く,つやがあるが,下面にはつやがない。
(2)葉の内側の新芽を包んだところの最上部にくびれがあるが,これは本種のいちじるしい特徴である。
(6)葉の両面とも起源的には裏に当る(単葉面という)。しかし,斜面に生えていたり,葉が傾いているものであれば,二次的に下面には気孔の多いことが観察できる。
おもしろいですね。
シャガの葉は,両面とも裏だというのです。
これはシャガに限ったことではなく,アヤメ科全体の特徴のようです。
『原色野草観察検索図鑑』(1981年・長田武正著)には次のように書いてありました。
アヤメ科の葉はほとんどが剣状葉とか跨状葉(こじょうよう)とかよばれる形になる。もともと上向きであったはずの葉片が中央で縦に二つ折りとなり,上方では左右両片が合生している。つまり,二つ折りの葉の上面がゆ著して,下面だけが外に出ているわけで,葉の下方ではそれがゆ着せず左右から抱き合っている。
[写真3]は,葉の付け根の部分で茎を抱いている状況。
白線部分で切断した断面が[写真4]です。
「葉の下方ではそれがゆ着せず左右から抱き合っている」ことがわかります。
[写真5]は,葉の上方部を切断したところ。
完全に一体になっていて,二つ折りの葉がゆ着しているようには見えません。
両面が裏であるにも関わらず,生えている葉には上面下面で明らかな違いがあります。
上面はつやつやとしていて濃い緑色,下面はつやがなく,薄い色をしています。[写真6]