インクラインに生えていたゴキヅルが,きれいに除草されていました。
雑草は雑草なのですが……。
実をたくさんつけていたので,少し残念です。
ゴキヅルは「合器蔓」で,実が熟すると果皮が横に割れて,ちょうど蓋がとれるように上下二つに分かれます。
本当によくできた,小さなお椀という感じです。
こんな面白い実が人知れずたくさんなっているのを見ると,もったいないなという感じがします。
何かに利用できないものでしょうか。
ウリ科なので,中に魚のすり身を入れて,お吸い物の具にするとか。
『朝日百科 植物の世界』(1997年)には,「中国名は『盒子草』で,種子と全草が利尿,解毒などの薬用とされる。」と書いてあります。
ネットで「盒子草」を検索してみました。
当然のことながら中国語のページがたくさん表示されました。
ほとんどのページには,漢方薬としての効能が記されています。
味は「苦,寒」と書いてあるので,苦いのでしょう。
効能は,利尿,解熱,解毒。毒蛇の咬傷,腎炎の浮腫,湿疹にも効くようです。
「盒子草有小毒」。少し毒があるというのは,漢方薬として使われるのであれば当然ですね。
食用にするのは無理なようです。
「牧野新日本植物図鑑」(昭和45年)には,ゴキヅルについて次のように書いてありました。
葉は柄があり,互生(もともと対生だが片方の葉は巻ひげに変形),葉身は三角状皮針形で先端とがり,下部は3~5の出っ張りがあり,長さ5~10cm,幅2.5~7cm,ときに3~5の浅中裂するものもある(これをモミジバゴキズルという)。晩夏から秋にかけて葉脇から多数の黄緑小花を出す。雄花冠はほとんど5全裂し,裂片は細長でとがる。同形のがくもほとんど5全裂。雄花序は総状,雌花は雄花序の基部に単生し,1cmぐらいの糸状の柄があり,花後,楕円体の緑色の果実を下垂し,熟すると下半の果皮が脱落して,同時に大形の黒色種子が2個落下する。
葉身は「三角状皮針形で先端とがり,下部は3~5の出っ張りがあり,長さ5~10cm,幅2.5~7cm,ときに3~5の浅中裂するものもある(これをモミジバゴキズルという)」とあります。
掲載されている図の葉の部分
[写真6]の葉を上図と比べてみると,縁の形が少し違います。
「3~5の出っ張り」というよりは,「3~5の浅中裂」です。
インクラインに生えているゴキヅルは,通常のゴキヅルではなく,モミジのように切れ込んだ葉をしている「モミジバゴキヅル」のようです。
タグ: | ゴキヅル
自宅近くの斜面に,ホコリタケが一つだけポツンと出ていました。[写真1]~[写真3]
かなりの老菌です。
胞子を出しつくした後の孔が,大きく口を開けています。
成熟したホコリタケは,指で押したり靴で踏むと,煙のように胞子を吹き出します。
このことがホコリタケの名前の由来となっています。
自然の状態でも,動物や風などの物理的な刺激を受けないと胞子を放出することができないそうです。
[写真2]を見ると,外皮の表面は変化にとんだおもしろいマチエールをしていますね。
あばた状に幾何学模様が連続し(フラクタル?),下にゆくにつれ棘状の突起に変化しています。
この意匠のまま,陶器か鋳物にできれば立派な芸術作品です。
別名キツネノチャブクロ。
チャブクロは「茶袋」で,茶を煎じる時に茶葉をいれる袋のことです。
丸い形と,最初は白くて,すぐに茶色に変色することにかけているのでしょうか。
すぐに色が変わるたとえに茶袋を使うのは定番らしく,「小娘と茶袋」という言葉もあります。
どちらもあっという間に色気づくという意味だとか。
[写真4]~[写真6]は,2004年4月に写したホコリタケの若い菌です。
[写真6]のように,中身が白い幼菌は食べることができます。
軽くゆでてから皮をむき,お吸い物にいれました。
味は淡白で,生麩のような上品な食感。
特別においしいというものではありませんが,意外性のある食材としてはおもしろいと思います。
高級料亭でだせば,高級食材に化けそうです。
『原色日本新菌類図鑑(Ⅱ)』(保育社。1989年)には,ホコリタケについて次のように書いてありました。
子実体は洋ごま形で径2~6cm,高さ3~6cm。頭部は球形~類球形で,項部は中丘となり,下部には縦じわがあって発達する無性基部がつく。幼菌時は白色で,しだいに黄~黄褐色となり,外皮頂部は長短ある円錐状の刺に密におおわれ,側面や下部では粒状~疣状物におおわれる。また,柄部は疣状~粉状物が付着する。刺はしだいに赤褐色~暗褐色となり剥落して,内皮に明瞭な網目~あばた模様を残す。内皮の頂部に孔口が開く。基本体は最初白色であるが,しだいにオリーブ褐色となって臭気の強い液汁を出し,ついには暗褐色の粉状胞子塊となる。
梅雨から秋に,林地や草地に群生する
タグ: | ホコリタケ
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動物園南の疎水に,珍しくダイサギがいました。
この場所で見かけるサギ類は,普段はほとんどアオサギです。
アオサギを見慣れた目には,ダイサギの白い姿態がまばゆく感じられますね。
しかしもう少しすると,この場所でもダイサギの姿を頻繁に見かけるようになります。
冬鳥としてやってくるというのではなくて,1月,2月になると疏水の水位が下がるためです。
浅くなり水の中を歩き回れるようになると,ダイサギやコサギといった普段とは違う鳥たちがやってきます。
このあたりには白川が注ぎ込んでおり,流れ込んだ白川砂が厚く堆積しています。
白川の名は川底に堆積した砂が白く見えることに由来するように,上流から風化した花こう岩が砂となって大量に運ばれてくるのです。
1年に1回,1月から2月にかけて,水位を下げて,ブルドーザーで砂が取り除かれます。
(一旦疎水と合流した白川は,400mほど西の,平安神宮大鳥居の南あたりで疎水と分かれ,再び白川となります。この流れが祇園へと続いています。)
[写真3]は,水位が下がっている時の様子。
左がダイサギ,右がコサギです。
ダイサギ,コサギはいわゆるシラサギの一種です。
シラサギは白いサギの総称で,大きさによってダイサギ,チュウサギ,コサギに分けられます。
「第4回自然環境保全基礎調査 鳥類の集団繁殖地及び集団ねぐらの全国分布調査」に掲載されていた,3種の形態と特徴は次のとおりです。
ダイサギ | チュウサギ | コサギ | |
全長 | 90cm | 70cm | 60cm |
体重 | 930g | 540g | 420g |
くちばしの色 | 黄(黒) | 黄(黒) | 黄(黒) |
目先の色 | 緑(青緑) | 黄 | 黄(青緑) |
虹彩 | 暗黄 | 暗黄 | 黄 |
特徴 | 繁殖期には肩や胸に飾り羽が伸びる。白いサギのなかで最大の大きさである。 | 繁殖期には肩や胸に飾り羽が伸びる。コサギに比べて体はやや大きく,くちばしは短く,頭は丸くずんぐりしている。 | 繁殖期には後頭部から数本の飾り羽が伸び,背や胸にも飾り羽がはえる。 |
ダイサギとチュウサギは紛らわしいですが,チュウサギは京都府へは夏鳥としてやってくるそうなので,今回のサギがチュウサギであるということはないと思います。
『山渓カラー名鑑 日本の野鳥』(1996年)には,ダイサギについて次のように書いてありました。
くちばしと首がひときわ長い大きなシラサギ類。世界中の熱帯から温帯で広く繁殖する。日本では関東地方から九州までの各地で繁殖し,冬は大部分が南方へ移動する。また体の大きい別亜種が冬鳥として渡来し,本州以南で越冬する。
生活 川,池沼,干潟などで生活し,水の中をゆっくり歩いて餌を探す。コサギなどより脚が長いので,より深い水の中を餌場として利用することができる。餌を見つけると,S字形に曲げた首を瞬間的に伸ばして,くちばしではさみとる。魚が大きいと鋭く尖ったくちばしで突き刺して捕えることが多い。
見分け方 大形で首が長い。夏羽のくちばしは黒く,目先は繰青色。冬羽では,くちばしは黄色い。
オオバアカメガシワの木に,何かわからないものがくっついていました。[写真1][写真2]
冬芽か実かなと思ったのですが,違います。
(冬芽は[写真3])
木の枝でつっつくと,簡単に取れます。
虫かなと思ったのですが,動きません。
でも,何となく気持ち悪い感じがして,それ以上詮索するのはやめました。
葉っぱは黄色く色づき,すでにかなり落ちています。[写真4][写真5]
タグ: | オオバベニガシワ