春先,石垣にへばりつくように開く巨大なロゼット葉を見つけました。
日に日に展開してゆき,どんな花が咲くのだろうと楽しみにしていたのですが,ある日なくなっていました。除草されたようです。
葉は20cmほどあり,軟らかくて温かそうな綿毛に覆われていました。
1月ほど経って,すぐ近くの道脇に同じ植物が茎を伸ばしているのを発見しました。
ぐんぐんと背が伸び,花茎に花も咲き始めました。
それから2か月ほどがたち,茎の高さも2mほどになったところで,ついにこの場所も除草されてしまいました。
名前を調べるとビロードモウズイカという外来種でした。
『日本の野生植物』(2016年)にも掲載されているので,かなり広く分布しているようです。
1.ビロードモウズイカ
Verbascum thapsus L.
全体灰白色の綿毛でおおわれ,高さ1-2m。葉は狭倒卵形,長さ10-30cm,縁に先の円い鋸歯がある。8-9月,枝先に長さ20-50cmの総状花序をつくり,密に花をつけるため花序軸は見えない。苞の腋に1花がつき,花柄は短くて長さ1-5mm,太い。花冠は黄色で,径1.5-2cm,外面に星状毛が散生する。雄蕊5個のうち3個は短く,その花糸には白色の長毛が密に生える。蒴果は球形,密に灰白色の毛でおおわれる。ヨーロッパ〜西アジア原産で世界に広く野生化し,日本でも路傍や荒れ地によく見られる。和名は〈毛蕊花〉で,雄蕊に長毛が生え,全体が灰白色のビロード状の毛でおおわれるのでついた。モウズイカV.blattariaL.はほとんど無毛で,総状花序はまばらに淡黄色をつけ,花序軸が見える。花柄は長さ7-15mm。白花品も見られる。アレチモウズイカV.virgatumStokesはモウズイカによく似ているが,花柄が短く,長さ1-3mmである。
「モウズイカ」という名前は,原産地の呼び名をそのままつけたのかと思いましたが,意外なことに日本語でした。「和名は〈毛蕊花〉で,雄蕊に長毛が生え,全体が灰白色のビロード状の毛でおおわれるのでついた。」とあります。
確かに雄蕊の花糸には長い毛が密生しています。随分細かいところを見て名前を付けたものです。
・葉は狭倒卵形,長さ10-30cm,縁に先の円い鋸歯がある。
・8-9月,枝先に長さ20-50cmの総状花序をつくり,密に花をつけるため花序軸は見えない。
今回の花期は6月~7月でした。
全高の上半分に花が咲いています。この部分が総状花序のようです。
・苞の腋に1花がつき,花柄は短くて長さ1-5mm,太い。
・花冠は黄色で,径1.5-2cm,外面に星状毛が散生する。
・雄蕊5個のうち3個は短く,その花糸には白色の長毛が密に生える。
・蒴果は球形,密に灰白色の毛でおおわれる。
果実はまだ未熟でした。