2024年8月19日
鮮やかな紅紫色をした小さな花が咲いていました。
見覚えがあるのですが,名前が出てきません。
もやもやしたまま家に帰り,調べるとゲンノショウコでした。
何度も調べているのに,いつも名前が出てこないのは何故なのか考えてみると,(歳のせいは別として)名前が花の特徴を表していないからではないでしょうか。
別名のミコシグサは,種を飛ばした後の実の様子を神輿に例えているので,こちらは実の形を見れば思い出しそうです(多分)。
しかし花は紅紫色が鮮やかで印象的なものの,意外に特徴のない花です。
『日本の野生植物』(2016年)にはゲンノショウコについて次のように書いてありました。
山野の草地に生える高さ30-50cmの多年草。茎や葉柄に開出毛と下向きの屈毛があり,ときに上部に腺毛が混じる。根出葉は花期にはないかあっても少ない。茎葉の葉身は腎形~円形,幅1-8cm,下部の葉は5中~深裂,上部の葉は3深裂し,裂片は卵形~倒卵形で2-6個の粗い鋸歯があり,上面および下面脈上に伏毛が生え,葉柄は長さ10cm。托葉は膜質,離生し,三角形,長さ3-5mm。花期は7-10月。花は茎頂や枝先に2個ずつつき,紅紫色~淡紅紫色~白色,径1-1.5cm,花序柄と花柄に開出毛と腺毛が密生する。萼片は長さ5-6mm,花弁より少し短く,3脈があり,先端は芒状にとがり,外面の脈上に開出毛と腺毛が密生する。葯は青色~青紫色~淡紅紫色。雌蕊は長さ約5mm。花柱分枝は長さ約2mm。分果は長さ約2cm,短毛と腺毛が密生する。
花が紅紫色のものは西日本に,白色のものは東日本に多く,同一地点に両方の花色の株が見られるところもある。白花品はシロバナゲンノショウコf.pallidum(NakaiexH.Hara)Murataの名がある。八重咲品はヤエザキゲンノショウコf.plenum(Iwata)Murataという。別名のミコシグサとは,種子を飛ばした後,5個の分果が中軸を中心に並んだ様子が神輿に似ているため。
ゲンノショウコは日本の代表的な民間薬の1つであり,江戸時代から用いられるようになった。古くから下痢止めとして用い,煎じて飲むと,薬効がただちに現れたことから,〈現の証拠〉の和名があるという。
・上部の葉は3深裂し,裂片は卵形~倒卵形で2-6個の粗い鋸歯があり,上面および下面脈上に伏毛が生え,葉柄は長さ10cm。
・托葉は膜質,離生し,三角形,長さ3-5mm。
・花期は7-10月。花は茎頂や枝先に2個ずつつき,紅紫色~淡紅紫色~白色,径1-1.5cm,花序柄と花柄に開出毛と腺毛が密生する。
・萼片は長さ5-6mm,花弁より少し短く,3脈があり,先端は芒状にとがり,外面の脈上に開出毛と腺毛が密生する。
・葯は青色~青紫色~淡紅紫色。雌蕊は長さ約5mm。花柱分枝は長さ約2mm。
雄性先熟らしく,雄しべが青紫色をしている時には花柱はまだ分岐していません。
花柱が分岐している花の雄しべは,葯が褐色に変色しています。
・花が紅紫色のものは西日本に,白色のものは東日本に多く,同一地点に両方の花色の株が見られるところもある。
九条山の花は紅紫色です。白色のものは見たことがありません。
2023年9月5日
ゲンノショウコの花が咲いていました。小さな花ですが,濃い紅紫色の花弁が鮮やかです。
ネットで見るとゲンノショウコとして真っ白な花が載っていて,まったく別の花のように見えます。西日本では紅紫色の花が,東日本では白色の花が多いそうです。
『牧野新日本植物図鑑』(1961年)には,ゲンノショウコについて次のように書いてありました。
1301. げんのしょうこ(みこしぐさ) 〔ふうろそう科]
Geranium nepalense Sweet(=G.ThunbergiiSieb.etZucc.)
野外にはえる多年生草本。茎は地面に伏しあるいは多少直立し,枝を分ける。長さ50cmに達し,葉柄のある葉を対生する。葉は掌状に3~5つに裂け,葉面には常に初めは紫黒色の斑点がある。長さ2~4cm,裂片は長楕円形,倒卵形,上部には歯があり先端は尖る。葉および茎には毛がある。夏に枝先あるいは葉間に花柄を出し,2~3個の花をつける。包葉は皮針形あるいは線形。花は白色,紅紫色,あるいは淡紅色,5花弁でウメの花に似ている。花が終って後長いくちばしのあるさく果を結び,熟すると裂開して,おのおの1個の種子をもつ五つの殻片は,その柄が中軸をはなれ,ただくちばしの先で附着し,しかも外側へ巻いて種子を飛ばす。薬草で葉を乾かしてせんじると,はらくだりの薬として有名である。〔日本名〕「現の証拠」という意味で飲むとすぐ効果が現れることにより,また果実が裂開した状態は,みこしの屋根に似ていることから,ミコシグサの名がある。一般では本種をフウロソウ(風露草,漢名ではない)と呼ぶことがあるが間違いで,この名はイブキフウロの別名である。〔漢名〕牛扁。牻牛児苗というのは誤った用法で,これはキクバフウロ(Erodium Stephanianum Willd.)を指し,日本には自生しない。
・茎は地面に伏しあるいは多少直立し,枝を分ける。
・葉柄のある葉を対生する
・葉は掌状に3~5つに裂け,葉面には常に初めは紫黒色の斑点がある。長さ2~4cm,裂片は長楕円形,倒卵形,上部には歯があり先端は尖る。
・葉および茎には毛がある。
・夏に枝先あるいは葉間に花柄を出し,2~3個の花をつける。
・包葉は皮針形あるいは線形。
ここでいう苞葉とは萼のことでしょうか?
・花は白色,紅紫色,あるいは淡紅色,5花弁でウメの花に似ている。
・花が終って後長いくちばしのあるさく果を結び
茎の先端にすでに長いくちばしのあるさく果ができていました。
ゲンノショウコの学名について,平凡社『改訂新版 日本の野生植物』(2016年)では Geranium thunbergii Siebold ex Lindl. とし,次のように書いてありました。
本種はGeranium nepalense Sweetと古くから混同されてきた。G.nepalense は,萼片の外面に腺毛がなく,花弁が長さ5-6mm,分果が長さ1.4-1.8cmとともに短いことでゲンノショウコから区別できる。アジア大陸では東方にゲンノショウコ,西方に G.nepalenseというように,大まかな地理的すみわけが認められる。
2021年9月27日
小さなピンク色の花が咲いていました。見覚えのある花なのですが名前が思い出せません。前の投稿を見直してみるとゲンノショウコでした。ゲンノショウイコについては何度か書いていて,最終は2006年8月。何ともう15年もたっています。(九条山)
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[写真37]ゲンノショウコ
2006年10月1日
ゲンノショウコの実がはじけていました。この形からミコシグサの別名があります。
牧野新日本植物図鑑によると『また果実が裂開した状態は,みこしの屋根に似ていることから,ミコシグサの名がある。』
2006年8月16日
ゲンノショウコの花。ゲンノショウコは「現の証拠」で,よく効く民間薬として知られています。花が咲き,全草に勢いのある土用の丑の頃に採取します。
ツクツクボウシが鳴いていました。
2005年9月26日
ゲンノショウコの実がはじけた後の姿です。この形からミコシグサ(神輿草)の別名があります。学名のGeranium(ゲラニウム)は,ギリシャ語の 「geranos(鶴)」が語源とか。これも実の形に由来します。
2005年9月6日
ゲンノショウコの花。全草を乾燥させ煎じたものは,下痢止めの妙薬として,昔から有名です。
花には紅色と白色があり,西日本には紅色が多く,東日本には白色が多いそうです。
写真奥の方に,キャンドルのような形をしているものが実です。
2004年9月6日
ゲンノショウコの実。キャンドルのようです。熟すと5つにさけて実が飛び散ります。実がさけた後の様子がお神輿の屋根のようになるので,ミコシグサの別名があります。
2004年8月18日
ゲンノショウコ。西日本には紅色の花,東日本には白色の花が多いそうです。昔から下痢止めとして有名で,名前も「現に良く効く証拠」に由来しています。