砂利道の上で,カミキリがもがいていました。頭部をこすりつけるように,ぐるぐると回っています。割と大きなカミキリで,シロスジカミキリに似ていますが,体色は黄色です。

クワカミキリ
クワカミキリ[ in南禅寺下河原町 on2024/8/15 ]
クワカミキリ
クワカミキリ[ in南禅寺下河原町 on2024/8/15 ]

口の周りに何かがくっついて固まっています。砂利の上でもがくものだから,小さな砂粒がこびりついています。

口が塞がったクワカミキリ
口が塞がったクワカミキリ
口が塞がったクワカミキリ
口が塞がったクワカミキリ

何なんでしょうか。ピンセットで剥がすと,樹脂のようなものがぽろりと取れました。

取れた樹脂様のもの
取れた樹脂様のもの

剥がした後の口器に異常はありませんでした。

クワカミキリ(頭部)
クワカミキリ(頭部)

図鑑で名前を調べると,クワカミキリでした。
名前のとおり,クワを食害する害虫です。
クワ以外にもイチジクやケヤキなども食害するそうですが,私はクワカミキリを見たのは初めてです
養蚕業が盛んな頃は,もっとたくさんいたのかもしれません。

北隆館『日本昆虫図鑑』(1956年)には,クワカミキリについて次のように書いてありました。

 黒地に褪黄灰色の密毛を被い,やや青味のある黄灰色を呈する.觸角は黒色で第3節以下の基半は青灰色,翅鞘の周縁及び會合線は青白色の短毛によつて縁どられ,腹面は黄色長毛を被覆してビロード状の光澤があり,脚は黄灰色短毛を装い,前脛節は内面に,中脛節は外面に夫々褐色の毛塊を有する.頭は垂直,正中線は溝状をなす.觸角は體より長く,第3節乃至末端節は圓筒状を呈する.前胸兩側には鋭い歯状突起を具え,背面に深い横縮刻を有し,後方部に数個の顆粒を伴い,又正中部は黒色を呈する.翅鞘は圓筒狀で,翅端は狭く截断され,各2棘を有し,肩の頂端に1小突起を出し,翅底に顕著な黒色顆粒多數を散布する.前脛節は弓状に彎曲し,中脛節の端部に截痕がある.體長32-44mm.本州・伊豆大島・佐渡ヶ島・四國・九州・天草・甑島等で極めて普通にみられ,6-8月にかけて出現し,クワの害蟲として著名であるが,又イチジク・柑橘・ビワ・リンゴ・ヤナギ・その他多數の濶葉樹の幹枝に穿孔する.一名ビワムシ・クワノミドリカミキリという.

・觸角は黒色で第3節以下の基半は青灰色

クワカミキリ(触覚)
クワカミキリ(触覚)

・翅鞘の周縁及び會合線は青白色の短毛によつて縁どられ

クワカミキリ(翅鞘)
クワカミキリ(翅鞘)

・腹面は黄色長毛を被覆してビロード状の光澤があり

クワカミキリ(腹部)
クワカミキリ(腹部)

・脚は黄灰色短毛を装い,前脛節は内面に,中脛節は外面に夫々褐色の毛塊を有する

クワカミキリ(前脚)
クワカミキリ(前脚)

・頭は垂直,正中線は溝状をなす

クワカミキリ(頭)
クワカミキリ(頭)

・觸角は體より長く,第3節乃至末端節は圓筒状を呈する

クワカミキリ(触覚)
クワカミキリ(触覚)

・前胸兩側には鋭い歯状突起を具え,背面に深い横縮刻を有し,後方部に数個の顆粒を伴い,又正中部は黒色を呈する

クワカミキリ(前胸)
クワカミキリ(前胸)

・翅鞘は圓筒狀で,翅端は狭く截断され,各2棘を有し,肩の頂端に1小突起を出し,翅底に顕著な黒色顆粒多數を散布する

クワカミキリ(翅鞘)
クワカミキリ(翅鞘)

・前脛節は弓状に彎曲し,中脛節の端部に截痕がある

クワカミキリ(脚)
クワカミキリ(脚)

・體長32-44mm

クワカミキリ(体長)
クワカミキリ(体長)