クチベニマイマイの過去投稿を一つにまとめました。
2024年10月22日
動物園の鉄柵にいたクチベニマイマイ。
クチベニマイマイの殻には「クチベニマイマイ模様」といわれる0234型の色帯をもつものが多いのですが,以前からこの辺りで見かけるものには色帯がないものが多いです。
大触覚の間に頭瘤らしき隆起があります。
頭瘤は交尾時など,まるで鶏のとさかのように大きくなることがあります。
2007年の梅雨時に見かけた個体。
2015年6月11日
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[写真1]2015/6/6
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[写真2]2015/6/6
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[写真3]
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[写真4]
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[写真5]
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[写真6]2007/5/2
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[写真7]口
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[写真8]色帯
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[写真9]下面
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[写真10]上面
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[写真11]断面
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[写真12]0034型
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[写真13]000型(2007/7/14)
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[写真14]殻の中身
雨上がりの朝,大きなエノキの幹上で,2匹のカタツムリが寄り添っていました。[写真1][写真2]
交尾するのかなとしばらく見上げていたのですが,なかなか交尾は始まらず,観察を諦めました。
かわりに,近くにいたカタツムリを持って帰り,色々と調べてみました。
この辺りでよく見かけるクチベニマイマイです。
殻の口のふちが紅色になっているので「口紅」の名がついています。
関西地方に多い種類だそうです。
保育社『原色日本陸産貝類図鑑』(1995年)には,カタツムリの体のついて次のように書いてありました。
軟体の前端に1対の大(後)触角があり,その先端は球状で黒色の眼がある。触角のある部分は頭部で,その背面で触角の中ほどに,少し隆起するのを頭瘤という。交尾現象の時,これは著しく盛り上がる。頭の前下方に1対の小さい小触角がある。前触角とか味触角ともいう。頭を前方から見ると,小触角の間の中央で,二分した弁が垂れ下がったような大唇弁がある。その奥に小唇弁がある。これを開閉する。即ちロである。ガラス板にカタツムリをはわして,ガラス板を通して見ると,口中には褐色のものが見えたり,かくれたりする。これが顎板(がくばん)である。
[写真5]の,大きな触角と触角の間にある隆起が頭瘤(とうりゅう)です。
「交尾現象の時,これは著しく盛り上が」ります。
[写真6]は,8年前に撮ったクチベニマイマイの頭瘤。(→2007年5月2日)
トサカのように大きくなっていますね。
クチベニマイマイについては,次のように書いてありました。
殻は中形で,殻高20~24mm,殻径26~37mm,5 3/4~6 1/6層。淡い黄白色で光沢があり,ややうすい。螺塔は低い円錐形。色帯は0234型(山地に多い), 0034型, 0204型(ヒラマイマイ模様), 0000型(無帯), 0030型, 0004型, (1~3)0型など多くの型がある。周縁は円く,殻口は下降して斜位,ほとんど円形。唇縁は肥厚してひろがる。外唇は淡紅色,内部は紫紅色。臍孔は中ぐらいの大きさで開く。軟体の背部は白色で,両肩部は黒い縦条である。その上緑は顕著,下縁は次第に消失する(山地性の個体に多い)。稀に軟体の背面は白色である型,さらにその中央部に黒色の細い縦条がある型もある。関西地方に広く分布する。
マイマイ属の殻には,基本的に4つの色帯があります。
模式的に,体層の上部(上周縁帯)を「1」,肩の部分(周縁帯)を「2」,腹の部分(底帯)を「3」,底部(臍帯)を「4」で表します。
色帯がない箇所は「0」で表し,例えば[写真9]の場合は,第1帯が消失しているので「0234」と記します。
0234型はクチベニマイマイの典型的な模様のようで,0234型を「クチベニマイマイ模様」というそうです。
[写真13]は,同じ場所で採取した別のクチベニマイマイで,第2帯がほとんど消失しています。
[写真14]は,色帯がない0000型の個体です。(→2007年7月14日)
2012年8月28日
猛暑の続く昼下がり,カエデの涼しそうな木陰に,クチベニマイマイが何個もくっついて休んでいました。[写真1]
陸に上がった貝であるカタツムリは,暑さと乾燥から身を守るため,夏は休眠するのです。
夏眠(かみん)といいます。
寒い時期には冬眠もするので,活動している時季は限られています。
移動するときのゆったりとした動きといい,まさにスローライフな生き方ですね。
夏眠時も,冬眠時も,エピフラムと呼ばれる粘液を固めた物質で,殻の開口部を覆い,乾燥から身を守ります。
一個,木からはぎ取ってみました。
殻を覆う膜が確認できます。[写真4]
眠りを醒まさせてしまったのか,膜からニョロニョロと白い体が湧き出てきました。[写真4]~[写真6]
最初に出てきたのが尻尾(?)の方で,後から触角のある頭部が出てきました。
ということは,殻に入っているときは,頭が奥にあるということでしょうか。
そういえば今まで,カタツムリが殻の中にどんな風に入っているのか,考えたこともありませんでした。
それを調べるのは,かなり残酷なような気がします。
2007年7月14日
動物園近くで見かけたカタツムリ。[写真1][写真2]
これもクチベニマイマイでしょうか?
[写真3]は九条山のクチベニマイマイ。
殻の模様が違います。
しかし,殻の大きさや形,殻の口が紅色をしている特徴は同じです。
カタツムリの殻にある線を色帯(しきたい)といいます。
保育社「原色日本陸産貝類図鑑」には,色帯について次のように書いてありました。
『マイマイ属の色帯は,基本的には4つの色帯がある。上周縁帯,周縁帯,底帯,臍帯で,上から1234と呼称する。そのうちの1,2,3がない時は,それぞれ0234,1034,1204という。色帯がすべてない型は,0000と記す。色帯でなく成長線にそって黄褐色班が現れるものを火炎型,それが顕著に区分けている場合をトラマイマイ模様という。色帯が1234あるものは完帯型で,その区画が明瞭なものをコガネマイマイ模様という。
—————–
第1帯の消失するものを0234型(クチベニマイマイ模様)という。—— 』
[写真3]は0234型で,[写真1]は0000型です。
0234型をクチベニマイマイ模様ということは,この型がクチベニマイマイの標準的な模様らしいですが,
同じ種でも個体により変異するそうです。
同じく保育社「原色日本陸産貝類図鑑」の「クチベニマイマイ」の項には次のようにありました。
『色帯は0234型(山地に多い),0034型,0204型(ヒラマイマイ模様),0000型(無帯),0030型,0004型,(1~3)0型など多くの型がある。』
どうやら[写真1][写真2]は,0000型(無帯)のクチベニマイマイのようです。
家の周りでは,0234型以外のクチベニマイマイを見たことがありません。
0234型は「山地に多い」とあり,やはり我が家のあるところは山なんだと,あらためて思いました。
2007年5月2日
今朝は雨上がりで,カタツムリがよく目に付きました。
その中で,このクチベニマイマイは,からだを伸ばしているせいか,びっくりするくらい大きく感じました。
思わず写真に撮りましたが,よく見ると頭に鶏のとさかのようなものが付いています(写真1)。 これは「頭瘤(とうりゅう)」というもので,大触覚の間の背側にある瘤状の隆起です。生殖期に大きくなるそうです。通常は気づかないほどの大きさなので,こんなに目立つほど大きくなっているということは,今は生殖期ということになりますね。
で,この個体がさがし求めているのは雄なのか雌なのか。実はカタツムリは雌雄同体で,同一個体内に雄の機能のある部分と雌の機能のある部分をもっています。この個体は雄であり雌でもあるわけです。
雌雄同体であるものの,自家受精することはまれで,多くの場合は交尾によって精子の交換をします。首筋に生殖門という穴があり,ここにお互いに石灰質でできた管を差し込み,精子の入った袋を交換するそうです。私はまだ見たことがありません。
生殖門が写っているアングルの写真はないか探していると,首筋の辺りが白くぼやけたように写っているものがありました(写真3)。多分この白くなっているところが生殖門ではないかと思います。
交尾の時期は初夏から入梅ごろということなので,これから見る機会があるかもしれません。
もし人間が雌雄同一だったら,どんな文化が生まれているか。興味があるところです。
2021年10月26日
(30)擬木にクチベニマイマイ。(南禅寺)
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[写真30]クチベニマイマイ
2021年9月13日
(37)久しぶりにクチベニマイマイを見ました。カタツムリは暑い時期は休眠しています。少し涼しくなって活動を再開したようです。(九条山)
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[写真37]クチベニマイマイ
2021年6月24日
(22)久しぶりに見るクチベニマイマイ。(インクライン)
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[写真22]クチベニマイマイ
2020年7月1日
(4)塀をはうクチビルマイマイ。(九条山)
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[写真4]クチベニマイマイ
2020年3月28日
(56)クチベニマイマイを久しぶりに見た。冬眠から目覚めたようだ。(九条山)
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[写真56]クチベニマイマイ
2019年10月19日
(20)ブロック塀にいたクチベニマイマイ。カタツムリはブロックをかじってカルシウムを補給している。(九条山)
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[写真20]クチベニマイマイ
2019年7月8日
(15)殻に縞模様はないが,クチベニマイマイと思う。(南禅寺)
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[写真15]クチベニマイマイ
2019年4月26日
(52)動物園近くの路上で見かけた,縞模様のないクチベニマイマイ。
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[写真52]クチベニマイマイ
2018年10月27日
(46)ひさしぶりにカタツムリを見た。クチベニマイマイ。(九条山)
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[写真46]クチベニマイマイ
2018年4月19日
・ヒサカキの葉にくっついていたクチベニマイマイ。(九条山)
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[写真61]クチベニマイマイ
2017年4月17日
・カタツムリが活動をはじめた。クチベニマイマイ。(九条山)
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[写真26]クチベニマイマイ
2016年8月3日
・数日前から動いていないクチベニマイマイ。夏眠中か。[写真15]
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[写真15]夏眠中のクチベニマイマイ
2016年7月27日
・雨上がり。ロープにクチベニマイマイ。[写真4]
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[写真4]クチベニマイマイ
2016年7月16日
・クチベニマイマイに,発情期であることを示す頭瘤が出ていた。[写真3]
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[写真3]クチベニマイマイの頭瘤
2012年3月3日
町内の道に,カタツムリ(クチベニマイマイ)が「落ちて」いました。
枯葉がくっついているところを見ると,落ち葉の中にもぐりこんで冬眠しているところを,何かの拍子に掃きだされてしまったようです。
本人はまだ冬眠中で,自分がこんなに目立っているとは気付いていないでしょうね。
3月に入り急に暖かくなりましたが,カタツムリが活動を開始するにはまだ早いような気がします。
しかし過去のエントリーを見てみると,2010年2月27日にカタツムリが道を歩いていたと書いています。(→ 2010年2月27日)
その時点の気温は11度ほど。
今日カタツムリを見かけた時点の気温は7度ほどでした。
2010年2月27日
クチベニマイマイが,道の真ん中をゆっくりと横切っていました。
カタツムリは冬の間,木の葉や草むらに隠れて冬眠しています。
このところ暖かい日が続いているので,動き出したようです。
今朝の最低気温は8.5度,昨日の最低気温は13.6度もありました。
平年値が1.7度ですから,かなり暖かい日が続いています。
カタツムリは陸に上がった巻貝の仲間です。
乾燥が苦手なのは分かりますが,寒さにも弱いのでしょうか。
冷たい海にも貝類はたくさん棲んでいます。
寒さに強いカタツムリがいてもよいような気がしますが。
実はカタツムリは寒さに強いということが次のサイトに書いてありました。
→低温での生と死―カタツムリを凍結させて蘇らせる方法
これによると,カタツムリを水に入れて凍らせた後,解凍するとまた動きだすとのことです。
今度,実験してみたいと思います。
2008年4月15日
クチベニマイマイがシャガの花を食べていました。
カタツムリの口の中には,歯舌(しぜつ)と呼ばれる,微小な歯がたくさん並んだヤスリのような舌があります。
これで食物を削りとるようにして食べます。
二つの大触覚の間に瘤状の隆起が現れています。[写真5]
これは「頭瘤(とうりゅう)」と呼ばれるもので,生殖期になると大きくなります。
カタツムリの生殖期は5月から6月頃です。
触ったわけではないのですが,気配に気づいて触覚を縮めました。[写真4]
カタツムリの触覚は大小2対あり,大きいほうの触覚の先に目があります。
これは切りとっても100日ぐらいで再生するそうです。
小さいほうの触覚は食べ物の味やにおいを感じます。
2007年1月29日
カエデの切り株の空洞で,クチベニマイマイが冬眠していました。殻の口に幕を張って,木の壁にへばりついています。はがしてみると,殻の中には何も入っていないように見えます。多分,殻の奥の方に縮こまっているのではないかと思います。
2005年4月11日
クチベニマイマイ。カタツムリは冬の間,殻の入り口に幕を張って冬眠します。暖かくなってようやく動き出したようです。昨日の京都の最高気温は27・0度。6月上旬から下旬並みの気温となりました。夜の間に雨が降り,一転今日は寒い一日でした。今日の最高気温18.0度。
2004年9月26日
カタツムリ(クチベニマイマイ)の触覚。小さな2本の触覚(前触覚)と大きな2本の触覚(後触覚)があります。前触覚は臭いを感じる器官。後触覚の先端には目がついています。
2003年6月10日
近畿地方が梅雨入りしました。平年より4日遅いそうです。九条山でよく見かけるカタツムリはクチベニマイマイとオオケマイマイです。