キチョウ(キタキチョウ)の過去投稿を一つにまとめました。
2024年12月2日
キチョウが地面に横たわっていました。
時おり翅をばたつかせるのですが,飛べないようです。
翅に欠損はなくきれいな状態です。
羽化したばかりだったのかもしれません。
2005年以降,本土のキチョウはキタキチョウと呼ばれています。
キタキチョウは季節型がはっきりしています。
秋型は前翅外縁部の黒斑が薄くなり,翅裏に濃褐色の斑点が現れるそうです。
この個体もまさに秋型の特徴をよく表しています。
前翅を透かすと中室下部に黒い線が見えます。
これは♂を示す特徴(性標)です。
翅脈を調べるために鱗粉を取ろうとしたのですが,なかなかうまく行きませんでした。
先ず水で洗い流すことを試みたのですが,水をはじいてしまって濡れもしません。
これほど撥水性があるとは思いもよりませんでした。
鱗粉に翅が濡れるのを防ぐ役割があるのは確かですね。
物理的にこすり取るしかないようなのですが,簡単に指にもくっつくものの,全部きれいに取るとなると大変です。
下にティッシュペーパーを敷いて,上から綿棒でたたいて,地道にとりました。
翅は薄くて破れやすく,すっきりと鱗粉を取るよい方法はないものでしょうか。
2012年10月23日
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[写真1]蛹 2012/10/20
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[写真2]秋型 2012/10/20
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[写真3]秋型 2012/10/20
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[写真4]夏型 2012/10/17
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[写真5]翅表
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[写真6]翅裏
まさか,こんなに早く羽化するとは思いませんでした。
キチョウの蛹が付いているハギの枝先を折り取って来て,とりあえず机の上に置いて,ふと見ると,蛹は空になり,しわしわの翅をしたチョウが枝にぶら下がっていました。
蛹は黒ずんでいなかったので,まだ羽化は先だろうと思っていました。
急いでカメラを準備したものの,やっと撮った[写真2]は翅がもうひろがっています。
アゲハチョウなどは,濡れている翅を乾かすように翅を開いたり閉じたりして,ひろがるのに結構時間がかかります。
キチョウは,翅が小さいせいか,翅をばたつかせることもなく,あっという間に皺がのびてしまいました。
3日前に,今回蛹を採取したハギの木のまわりを,3頭のキチョウがゆらゆらと飛び交っていました。[写真4]
ひょっとしたら卵を産みつけているかもしれないと思って,今朝(10/20)捜していたところ,蛹を見つけたのでした。
[写真4]を見ると,翅表の黒斑が透けて見えます。
翅裏に斑点はありません。
それに対して,羽化したキチョウの翅裏には褐色の斑点がたくさんあります。[写真2][写真3]
翅表の黒斑は透けて見えません。
3日前のキチョウは夏型で,今朝羽化したキチョウは秋型です。
[写真5][写真6]の右側が3日前のキチョウの翅,左側が今朝羽化したキチョウの翅。
学研『日本産蝶類標準図鑑』(2006年)を見ると,従来のキチョウは2種類に分けられ,南西諸島にいるものを「キチョウ」,本土にいるものを「キタキチョウ」と呼ぶようです。
京都にいるキチョウは,正確には「キタキチョウ」ということになります。
2種類に分けるようになった経緯について,同書のキチョウの項目に次のように書いてありました。
石垣島のキチョウが日本本土産の「キチョウ」 (現在ではキタキチョウ)とは食草の選択性が違うことが報告された後に,沖縄島産のキチョウに性質の違う2通りのものが存在することが明らかになった。その一つは前記の石垣島産とほぼ同様の食性をもつ亜熱帯型(a)でこれはハマセンナを好み,他の一つは日本本土産に近い食性をもつ温帯型(b)である。この両者は季節型の発現様式が異なり, (a)では低温期型(冬型)でも前翅外縁の黒縁が細いがはっきりと残るもので,これらの季節的反応が上記の食性とリンクしていること,また電気泳動法によるアロザイム分析でも両者の差違は明瞭で,遺伝的にもかなり異なったものであることが判明した。これらの結果から,南西諸島には2種いると推測され,石垣島型のものはキチョウ,本土型のものはキタキチョウとして分離されたC次種キタキチョウとの区別点は, 1)本種の縁毛は黒と黄色が混ざるのに対して,キタキチョウでは黄色のみ, 2)外縁の黒色部の発達がキタキチョウよりよく,特に低温期型では次種がほとんどなくなるのに対して,本種では黒縁として残る, 3)裏面前翅にある赤褐色紋は一般的に本種の方が発達する,などの差があるが,区別するのには熟練を要する。すべての季節型を通じて♂の翅表は鮮黄色,♀では淡黄色。また♂では前翅裏面中脈(中室下線の翅脈の)両側に沿って光沢をもつ性斑があり,これはふつうの形の展翅標本では後翅の前縁が重なっているので見え難いが,透過光線ですかして見ると,この性斑が明瞭な暗斑となって見えるので,性の判定は容易である。夏型では翅表の黒縁は強く発達し, ♂♀ともに前週第2,3室において黄色の地色は黒縁中に膨出して特異な形を呈する。なお,本種はミナミキチョウの名で呼ばれることもあるが,種 hecabe が本種を指し,また同時にキチョウを指していたことより,本書ではキチョウの和名を使用する。
日本産のキチョウのうち,日本全土から見れば一部である,南西諸島にすむものを従来通り「キチョウ」と呼び,その他の大部分の地域にすむものを「キタキチョウ」という名前に改めています。
それならば,本土にすむものを従来通り「キチョウ」と呼び,南西諸島にすむものを「ミナミキチョウ」と呼ぶ方が影響が少ないように思えます。
しかし,上記の経緯を読むと,キチョウに2種類いることが発見されたのは沖縄で,沖縄に多いキチョウがEurema blanda (Boisduval,1836)(従来のキチョウの学名)ならば,沖縄から見て北に生息する別の種類のキチョウはキタキチョウとなるのは当然かもしれません。
キタキチョウは新種というわけではなく,Eurema mandarina (de l’Orza,1869)という学名があるようです。
普通種の知見を一変させるような,こういう影響力のある大きな発見をすると,うれしいでしょうね。
2023年4月21日
急激に冷え込んだ朝,キチョウ(キタキチョウ)が道の真ん中にとまっていました。寒さで体が動かないようです。付近をセグロセキレイがウロウロしていたのはこんな虫を狙っていたのかもしれません。鳥たちにとっては,寒暖差の激しい春の朝は絶好の採餌チャンスですよね。
キチョウの斑紋には夏型と秋型があります。今の時期にいるキチョウは,秋に羽化し成虫で越冬した個体なので秋型になります。前翅表面の黒斑が薄く消えかかっています。
2022年9月17日
●ハギの周りをキチョウがゆらゆらと飛び回っていました。産卵場所を探しているのか,交尾相手を探しているのか。キチョウはハギやネムノキなどマメ科の植物に産卵します。しかしアレチヌスビトハギなど外来種のマメ科植物に産卵しているのは見たことがありません。除草されることが分かっているのでしょうか。
●ハギの木で羽化したばかりのメスと交尾するオス。(2005年9月21日)
2022年7月8日
草の葉にとまったキチョウ。翅にビークマーク(鳥のくちばしの痕)があります。左右対称なので翅を閉じている時に食いつかれたようです。これだけ大きな欠損があっても普通に飛べるのですね。
2011年9月17日
[写真1]蛹につかまるキチョウ
2011年9月12日 »»拡大
[写真2]キチョウ(♂)
2011年9月13日 »»拡大
[写真3]キチョウ(♂)
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[写真4]キチョウ幼虫
2011年9月7日 »»拡大
[写真5]キチョウ蛹2011年9月13日
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[写真6]交尾するキチョウ
2005年9月21日 »»拡大
ネムノキの周りを数頭のキチョウがゆらゆらと飛び回っていました。
どういう訳か,どのチョウも枝に付いている1個の蛹をねらっているようです。
1頭が蛹にとまって,自分のものだとばかりに,抱きつきました。[写真1]
他のチョウは,羨ましいげにまわりを飛び回っています。
(といっても,攻撃的でなくて,のんびりとしたものです。)
以前に,羽化したばかりの雌と交尾している雄がいました。[写真6]
→2005年9月21日
このキチョウも雄で,雌が羽化するのを,待ち構えているのかもしれません。
この蛹が雌だとしたら,外見からは雌かどうかはわからないので,フェロモンか何かを放出しているのに違いありません。
羽化したばかりの雌に交尾している雄を見たときには,気の早い雄だと思ったのですが,蛹の段階で雌が誘引物質を出しているとしたら,羽化したらすぐに交尾する習性のようです。
この蛹が雌かどうか,持ち帰って羽化を待つことにしました。
しかし,寄生されていたらしく,しらない間にペシャンコになっていました。
翌日に付近で採取した,いかにも羽化直前といった蛹[写真5]も,カメラをセットして長時間待っていたものの,結局羽化しませんでした。
終齢と思われる幼虫[写真4]も,飼育を開始して2日後に死亡。
成虫も捕えて翌日に死亡[写真2]。
他のチョウでは,こんなに死ぬことはないので,キチョウはよほど弱いのかと,ネットで調べてみると,キチョウが特に飼育困難というわけではないようです。
保育社『原色日本蝶類図鑑』(1976年)には,キチョウについて次のように書いてありました。
〈生態〉多化性。発生回数について確実な観察記録はないが,年5~6回の発生と推定される。成虫越冬。通常第1化は5月中旬,寒冷地では6月にはいって姿をみせる。飛び方はゆるやかで,好んで低山地の草原,渓流ぞいの草地,路ぱたに棲息し,多くの花で吸蜜する。湿地や汚物に群れをなして集まる。
〈食草〉マメ科のネムノキをもっとも好む傾向があるが,地域によってはハギ類を好むこともある。そのほか,ハリエンジュ・エビスグサ・ナンパンサイカチ・ハマセンナなど。クロウメモドキ科のクロウメモドキ・ヒメクマヤナギでも卵や幼虫が採集されている。
〈雌雄の区別〉各季節の型を通じて,それぞれ♂の地色は黄色,♀は淡黄色。♂には前翅裏面下縁近くに性標がある。翅表外縁に黒帯のある型の場合は♀の黒帯が♂よりも発達する。
2005年9月21日
キチョウの交尾。上が雌? 羽化したての雌に雄が交尾したようです。 もう1頭,雄が周りを飛んでいて,2頭の間に割り込もうと盛んにちょっかいを出しています。
2018年8月23日
(31)キタキチョウが交尾していた。♀は羽化したばかりのようだ。そばに抜け殻がある。
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[写真31]キタキチョウ
2016年10月8日
・ミゾソバの花にキチョウがとまっていた。〔インクライン〕[写真15]
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[写真15]10/8 ミゾソバの花
2016年8月21日
・キチョウ。[写真6]
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[写真6]キチョウ
2010年9月13日
キチョウを捕らえたカマキリ。[写真1][写真2]
まわりにはハギが生えており,産卵のためにキチョウが盛んに飛び回っていました。
ゆるい飛び方なので,カマキリにとっては絶好の獲物です。
[写真2]を見ると,頭からガブリといっています。
トンボ,アメンボ,サシガメ,テントウムシ,スズメバチなど肉食の昆虫は多いですが,カマキリほど殺し屋のイメージにぴったりのものはいませんね。
[写真3][写真4]は2009年10月18日に写したカマキリの写真で,前から気になっていたものです。
撮っているときは気付かなかったのですが,写真をよく見ると,1匹のカマキリの腹にもう1匹のカマキリがくっついています。
このまま動き回っていたのですが,交尾しているわけでもなく,どうしたのでしょう。
それと,お腹にくっついているカマキリの眼。不気味に変ではないですか。[写真4]
2005年11月2日
板塀にキチョウがとまっていました。近づいても,じっとしていて動きません。そのまま触らずに写真だけを撮ったのですが,羽の表側の模様を確認すればよかったなと,後で思いました。ツマグロキチョウということはないと思いますが。
2005年10月4日
ネムノキに青虫がくっついていました。ネムノキを食草にしていて,体側に白線がある青虫といえば,多分キチョウだと思うのですが。
2005年9月18日
ハギの葉が2枚重なって,縁が糸で綴じられたようになっていました。はがしてみると,中には2頭の幼虫がいました。ハギ類を食草にしている幼虫にはキチョウがいますが,これはキチョウの幼虫ではないようです。育てて確認したいと思います。
2005年8月19日
キチョウ。近づいても逃げないので,手でつかめる様な気がしました。手を伸ばすと,さすがに逃げました。
2002年11月4日
紅葉したカエデにキチョウがとまっていました。じっと動きません。指で触っても動こうとしません。これは越冬準備中のキチョウです。
10月に発生したキチョウは成虫で越冬します。このままじっとして冬を越し,春になると活動を始めます。