タネツケバナのなかまに関する投稿を一つにまとめたものです。
2025年3月27日
ミチタネツケバナ
道脇にミチタネツケバナの花が咲いていました。


花時にも根出葉がロゼット状に残っています。

雄蕊は4個です。

ミチタネツケバナは外来植物で,在来のタネツケバナが水湿地を好むのに対して,道路際などの乾いた場所を好みます。
『日本の野生植物』(2016年)には,ミチタネツケバナについて次のように書いてありました。
ミチタネツケバナC.hirsutaL.(PL.32)は,1992年に日本新産が報告されたヨーロッパ原産の帰化植物で,現在では小笠原を除き全国的に見られるようになってきている。根出葉が花時にもロゼット状に残り,茎はほとんど無毛で直立し,茎葉が少なく,その小葉は線形で根出葉の小葉とは明らかに形が異なり,花が小さく雄蕊は4個で,果柄は直立する。染色体数2n=16(2倍体)。和名の通り乾いた道ばたの裸地を好み,水没環境では発芽できないために水湿地には見られない。

2025年3月15日
タネツケバナ
水路の土溜まりに,白い小さな花が咲いていました。ようやく季節が動き出した感じがします。

タネツケバナだと思うのですが,タネツケバナ属には似た種類が多いので紛らわしいです。
・先ず,生えている場所が湿性地なので,ミチタネツケバナではありません。
(ミチタネツケバナは道端などの乾燥した裸地を好みます。)

・茎の基部が暗紫色で短毛があるのでオオバタネツケバナではありません。
(オオバタネツケバナの茎は緑色で無毛です。)

・雄しべが6本あるので,コタネツケバナではありません。
(コタネツケバナは4本です。)

『改訂新版 日本の野生植物』(平凡社 2016年)には,タネツケバナについて次のように書いてありました。
水田や畑,道ばたなどに多い越年草,ときに一年草。茎は下部から枝を分け,多少毛があり,高さ10~30cmになる。葉は羽状複葉で,全長は2.5~9cm。根出葉はロゼット状になって茎葉よりも大きいが,一年草の生活型のものでは小さく少ない。小葉は1~8対あり,長楕円形~円形,欠刻状の鋸歯があるか,茎葉ではときに全縁に近く,無柄か有柄,頂小葉はやや大きい。花期は3~5月。萼片は長楕円状卵形,紫色をおび,長さ約2mm。花弁は白色,倒卵形で長さ3~4mm。長角果は線形,長さ1~2cm,幅は約1mm,無毛で,直立する。種子は1列,広卵形で,長さ約1mm。
・茎は下部から枝を分け,多少毛があり,高さ10~30cmになる。

・葉は羽状複葉で,全長は2.5~9cm。

・根出葉はロゼット状になって茎葉よりも大きいが,一年草の生活型のものでは小さく少ない。

・小葉は1~8対あり,長楕円形~円形,欠刻状の鋸歯があるか,茎葉ではときに全縁に近く,無柄か有柄,頂小葉はやや大きい。

・花期は3~5月。
咲き始めたのは3月に入ってからです。
・萼片は長楕円状卵形,紫色をおび,長さ約2mm。

・花弁は白色,倒卵形で長さ3~4mm。

・長角果は線形,長さ1~2cm,幅は約1mm,無毛で,直立する。

・種子は1列,広卵形で,長さ約1mm。

2024年4月5日
ミチタネツケバナ
水路の内や外に,タネツケバナ類の花が咲いていました。アスファルト舗装された道の端に叢生状に生えていたこのタネツケバナは,隣に生えているオオバタネツケバナと比べると背が低く,葉も小さく,すでに花期も終わりかけています。長角果が上向きにつんつんと伸びています。

地際で分かれて株になっているので特徴が分かりづらいです。周りを見るとぽつりぽつりと単独で生えているものもあり,こちらの方が特徴がよくわかります。根出葉がロゼット状に残っています。

調べると,これは外来種のミチタネツケバナでした。
『日本の野生植物』(2016年)には,ミチタネツケバナについて次のように書いてありました。
ミチタネツケバナC.hirsutaL.(PL.32)は,1992年に日本新産が報告されたヨーロッパ原産の帰化植物で,現在では小笠原を除き全国的に見られるようになってきている。根出葉が花時にもロゼット状に残り,茎はほとんど無毛で直立し,茎葉が少なく,その小葉は線形で根出葉の小葉とは明らかに形が異なり,花が小さく雄蕊は4個で,果柄は直立する。染色体数2n=16(2倍体)。和名の通り乾いた道ばたの裸地を好み,水没環境では発芽できないために水湿地には見られない。
・根出葉が花時にもロゼット状に残り

・茎はほとんど無毛で直立


・茎葉が少なくその小葉は線形で根出葉の小葉とは明らかに形が異なり



・花が小さく雄蕊は4個



・果柄は直立する


2023年12月27日
冬に咲いたオオバタネツケバナ
12月も終わろうとする今の時期に,オオバタネツケバナに花が咲いていました。本来の花期は4月~6月です。
今年は秋に気温の高い日が続いたせいで,各地で植物が狂い咲きしているようです。近くの水路にはミズタビラコも花を咲かせていました。






2023年4月26日
コタネツケバナ
タネツケバナの種子として一度アップしたものです。水辺に生えていて,茎が暗紫色だったので,周辺のものと同じタネツケバナだろうと思っていたのですが,疑問のメールをいただきました。もう一度,現物を確認したところ,確かにタネツケバナではありません。茎に毛が生えていないのです。



ならば何なんでしょうか。茎が暗紫色で無毛な種類といえば,外来種のミチタネツケバナが該当します。しかし,生息環境が違います。ミチタネツケバナは乾性地に生えますが,本種が生えているのは湿性地(水路の石垣)です。雄しべの数も,ミチタネツケバナは4個ですが,本種は6個あります。
色々調べていると,コタネツケバナにたどり着きました。特徴的には合うのですが,コタネツケバナならば種子に翼があるはずです。1mmほどの小さな種子は肉眼で見ても翼があるように見えません。写真を拡大してみると,種子の外縁に薄っすらと膜状のものが見えます。これが翼ならばコタネツケバナで決まりなのですが。ネットの画像などではもっと立派な翼をつけている写真があり,断定してよいのか迷います。


平凡社『改訂新版 日本の野生植物4』(2016年)には,コタネツケバナについて次のように書いてありました。
コタネツケバナ(コカイタネツケバナ) は本州(関東~近畿地方)の低地の湿った場所に生える越年草で,茎は株立ちとなり,無毛かときに基部にわずかに毛があり,葉の裂片が細く,花が小さく,果柄が短く,種子の縁に膜質の翼がある。花期は3月下旬~4月で,同所的に生育するタネツケバナよりも早い。従来,ヨーロッパの C.parviflora L.に当てられ,帰化植物とみなされてきたが,工藤ほか(<分類> 6(1) 41―49.2006)が明らかにしている通り別種である。河川の氾濫原に生じる型では花弁が退化して閉鎖花となる傾向があり,これに発見地の茨城県小貝川にちなんでコカイタネツケバナC.kokaiensis Yahara et Soejima の学名が用意されているが,正式に発表されていない。近畿地方では第2次大戦前から採集されており,帰化植物ではない可能性が高い。
コタネツケバナの特徴としてあげられているのは次のとおりです。
・低地の湿った場所に生える
・茎は株立ちとなり,無毛かときに基部にわずかに毛がある
・葉の裂片が細い
・花が小さい
・果柄が短い
・種子の縁に膜質の翼がある
・花期がタネツケバナよりも早い
全国農村教育協会『日本帰化植物写真図鑑』(2001年)には,コタネツケバナの特徴について次のように書いてありました。
茎は無毛,基部からよく分岐して高さ20cmほどになる。葉はダイコンの葉のように羽状に深裂し,下部のものでは裂片に鋸歯があり,ほぼ無毛で互生する。春に茎の頂に短い花序を出し,花弁の長さ2mmほどの白色の4弁花をややまばらに着ける。果実は長さ1.5cmほどの棒状,種子は長さ0.8mmほどで,縁に翼がある。1954年に奈良県での帰化が報告された。
順番に検討してみます。
・茎は無毛
茎は無毛です。

・基部からよく分岐して高さ20cmほどになる
基部からよく分岐していて,高さは20~30cmほどです。タネツケバナより小さい感じはしません。


・葉はダイコンの葉のように羽状に深裂し,下部のものでは裂片に鋸歯があり,ほぼ無毛で互生する
羽状に深裂していて葉の形は色々です。無毛で互生しています。




・春に茎の頂に短い花序を出し
タネツケバナはまだ花を咲かせていますが,本個体はすでにほとんど開花を終え,結実しています。

・花弁の長さ2mmほどの白色の4弁花をややまばらに着ける
花弁の長さは2mmほどの小さな花です。花は確かに小さいですが,株全体の感じはタネツケバナより大きく感じました。


・果実は長さ1.5cmほどの棒状
長角果は1.7cmほど,果柄は3~4mmです。

・種子は長さ0.8mmほどで,縁に翼がある
種子の長さは1.1mmほど。一見,翼があるように見えません。写真を拡大し,画質調整すると周縁に膜状のものが見えます。これが翼だと思うのですが。




2023年4月5日
オオバタネツケバナとタネツケバナの比較
サクラの花びらが埋め尽くした水路に,タネツケバナとオオバタネツケバナが並んで花を咲かせていました。よく似ている両者ですが,こうやって並んでいると違いがよく分かります。名前に「大葉」とついているだけに,オオバタネツケバナの葉はタネツケバナの3倍くらい大きいですね。



両者を比較してみました。
・花,総状花序の大きさ,形はよく似ています。花だけで見分けるのは困難だと思います。


・果実(まだ未熟ですが)も形,大きさがよく似ています。

・葉はどちらも羽状に分裂していますが,オオバタネツケバナは「小葉の数が少なく2~5対で,葉面が円形,頂小葉が最大で特に大きく,幅2.5cmにも」なります。タネツケバナは「頂小葉が大きく,下部の小葉は小さくなる。小葉は円形,卵形,長楕円形等で一定しない。」

・茎は,オオバタネツケバナが緑色で無毛なのに対して,タネツケバナは基部が暗紫色で短毛があります。



『牧野新日本植物図鑑』(1961年)には,オオバタネツケバナについて次のように書いてありました。
843.おおばたねつけばな 〔あぶらな科〕
Cardamine scutata Thunb. (=C. Regeliana Miq. )
山地あるいは原野の水湿地に,ふつうにはえる多年生草本で,高さ10~20cmぐらい。茎は緑色でやわらかく,基部は地面をはい,やや束生するように見える。全株ほとんど無毛。葉は互生し羽状に分裂して,大体の形はタネツケバナに似ているが,小葉の数が少く2~5対で,葉面が円形,頂小葉が最大で特に大きく,幅2.5cmにもなる点で異なる。夏に枝先きに短かい総状花序をつけて,有柄で白色のごく小さい十字状花をひらく。はじめは花序の軸が短かいが,果実が熟する頃にはかなりの長さになり,長角果をまばらにつけるようになる。がく片は長楕円形,長さ2mmぐらい。花弁は広いへら形,長さ3.5mmぐらい。雄しべのうち4本が長く,雌しべは1。細長い長角果は,長さ2~3cmで斜上する。種子のある所はわずかにふくらむ。熟すると果皮が2片に裂けてそりかえり,細かい種子を放出する。四国の松山ではこれをテイレギ(??の音よみ,この漢名のものはイヌガラシ)と呼んで食用にする。少し辛味がある。〔日本名〕大葉種漬花の意味。
タネツケバナについては,次のように書いてありました。
841.たねつけばな(たがらし) 〔あぶらな科〕
Cardamine flexuosa Withering(=C. hirsuta L. var. sylvatica Gaud.)
至る所の田圃,浜の畔,水辺の湿地等にはえる越年生草本。茎は直立して高さ20~30cmぐらい。基部および下部から分枝し,暗紫色あるいは緑色で弱々しい。下方には普通,開出する短毛がある。葉は互生し,頭大羽状に分裂し,頂小葉が大きく,下部の小葉は小さくなる。小葉は円形,卵形,長楕円形等で一定しない。全縁,時には波状縁,あるいは浅い切れ込みがある。茎下部の葉は長さ7cmにもなる。 4~5月頃枝先に頂生する総状花序をつけ,白色で有柄の小形十字状花を10~20個ひらく。がく片は暗紫色をおび卵状長楕円形,長さ2mmぐらい。花弁は倒卵形,基部はせまくなり,長さ3~4mmで,がく片の約2倍。雄しべのうち4本が長く,雌しべは1,長角果は無毛,長さ2cm,幅1mmの線形。種子のあるところは,ややふくらむ。熟すると開裂し,2果皮片がそりかえり,細かい径1mmほどの種子をとばす。水辺にはえて,葉の小葉(裂片)がやや長大で緑色,やわらかくて毛のないものをミズタネツケバナ(var.latifolia Makino)といい,乾燥地にはえ,毛が深く,やせて直立する茎をもち,葉も小形なるものをタチタネツケバナ(var. fallax O.E.Schulz)という。〔日本名〕種漬花。苗代を作る直前に,米の種籾を水に漬す時期に盛んに花が咲くのでこの名がついた。田芥は田間にはえるカラシの意味である。 〔漢名〕?菜。一般に砕米薺があてられているが,これは誤りであろう。
オオバタネツケバナが多年草なのに対して,タネツケバナは越年草となっています。そのせいでしょうか,オオバタネツケバナは寄り集まってこんもりと束生し,タネツケバナは単独でポツンポツンと生えているように見えます。


2022年3月30日
オオバタネツケバナ
水路にオオバタネツケバナの花が咲いていました。
2019年5月2日
タネツケバナ
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[写真1]2019/3/28
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[写真2]花
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[写真3]花
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[写真4]花
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[写真5]2019/4/21
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[写真6]茎下部
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[写真7]茎葉
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[写真8]葉
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[写真9]茎葉
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[写真10]小葉
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[写真11]小葉の葉裏
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[写真12]茎
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[写真13]2019/4/27
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[写真14]長角果
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[写真15]めくれた果実の鞘
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[写真16]種子
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[写真17]2019/5/2
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[写真18]オオバタネツケバナ
サツキが植えられていた植え込みに,草が生い茂り,白い小さな花が咲いていました。[写真1]
タネツケバナです。
同じなかまのオオバタネツケバナは南禅寺の水路でよく見かけるのですが[写真18],タネツケバナはあまり見かけません。(オオバタネツケバナについて→2010年4月16日)
道路わきに生えている草は外来種が多いという先入観もあり,最初これはミチタネツケバナだろうと思っていました。
ミチタネツケバナは乾燥した道端などの裸地を好む外来種です。
しかし,調べてみると,意外なことに在来種のタネツケバナでした。
平凡社『改訂新版 日本の野生植物』(2016年)でタネツケバナ属検索表をたどってみました。
A.茎葉はすべて有柄で,葉柄の基部は耳状とならない。
[写真7]のように,茎葉には葉柄があり,葉柄の基部は茎を抱いていません。
次に進むと↓
B.一年草,越年草か根茎のない多年草(一部の種では短い根茎があることもある)。花弁は1.5~7mm,ときに退化する。
問題ないので,次に進みます。
C.乾性地に生える越年草まれに多年草で根出葉はロゼット状をなし,茎葉は根出葉よりも小さい。花弁は長さ2.5~4mm。
C.湿任地,まれに乾性地に生える一年草,越年草か多年草で,根出葉はふつうロゼット状にならず,茎葉は根出葉よりも大きいことが多い。
上の選択肢を選べばミチタネツケバナに,下の選択肢を選ぶとタネツケバナにたどり着きます。
・根出葉がロゼット状かどうか
根出葉というのは,根から直接生えているように見える葉のことをいいます。
本種の根出葉は,[写真6]の一番下に生えている紫色をしている葉ではないかと思うのですが,ほとんど枯れかかっていて,ロゼット状をなしているとは言えません。
・茎葉が根出葉よりも小さいか大きいか
[写真8]のように,本種の茎葉は根生葉より小さいとは言えません。
したがって下の選択肢を選び,次に進みます。
D.種子に翼がある。
D.種子に翼はない。
[写真16]のように,種子に翼はありません。
次に進みます。
E.一年草または越年草,ときに葉腋から腋芽を出して多年草状となる。茎は全体的に暗紫色をおびることが多い。葉の頂小葉は側小葉とほぼ同じ大きさか,わずかに大きい。花弁は長さ3~4mm。
E.多年草。茎に紫色をおびた部分はないか,まれに基部のみ紫色をおびる。葉の頂小葉は側小葉よりも明らかに大きい。花弁は長さ(3.5~)4~7mm。
・茎が暗紫色を帯びるかどうか
[写真5][写真6]のように,茎の下部が暗紫色を帯びています。
・葉の頂小葉は側小葉よりも明らかに大きいかどうか
[写真8]のように,頂小葉は側小葉よりもわずかに大きいか,同じ大きさです。
したがって,上の選択肢を選ぶと,タネツケバナにたどり着きます。
同書のタネツケバナの解説には,次のように書いてありました。
水田や畑,道ばたなどに多い越年草,ときに一年草。茎は下部から枝を分け,多少毛があり,高さ10~30cmになる。葉は羽状複葉で,全長は2.5~9cm。根出葉はロゼット状になって茎葉よりも大きいが,一年草の生活型のものでは小さく少ない。小葉は1~8対あり,長楕円形~円形,欠刻状の鋸歯があるか,茎葉ではときに全縁に近く,無柄か有柄,頂小葉はやや大きい。花期は3~5月。萼片は長楕円状卵形,紫色をおぴ,長さ約2mm。花弁は白色,倒卵形で長さ3~4mm。長角果は線形,長さ1~2cm,幅は約1mm,無毛で,直立する。種子は1列,広卵形で,長さ約1mm。
ミチタネツケバナについては,次のように書いてありました。
1992年に日本新産が報告されたヨーロッパ原産の帰化植物で,現在では小笠原を除き全国的に見られるようになってきている。根出葉が花時にもロゼット状に残り,茎はほとんど無毛で直立し,茎葉が少なく,その小葉は線形で根出葉の小葉とは明らかに形が異なり,花が小さく雄蕊は4個で,果柄は直立する。染色体数2n~16(2倍体)。和名の通り乾いた道ばたの裸地を好み,水没環境では発芽できないために水湿地には見られない。
・タネツケバナの茎には「多少毛があり」,ミチタネツケバナの茎は「ほとんど無毛」。
[写真12]の茎には,毛があります。
・タネツケバナ属の雄しべは6個で,まれに4個です。タネツケバナの雄しべも6個ですが,ミチタネツケバナはまれな方の「雄蕊は4個」です。
[写真2]の花には,雄しべが6個あります。
2019年4月21日
タネツケバナ
(41)岡崎の花壇脇にタネツケバナの花が咲いていた。外来種のミチタネツケバナと持っていたが,調べると在来種のタネツケバナだった。
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[写真41]タネツケバナ
2019年3月28日
タネツケバナ
(45)道路わきにタネツケバナの花が咲いていた。(岡崎)
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[写真45]タネツケバナ
2019年4月21日
オオバタネツケバナ
南禅寺の水路にオオバタネツケバナの花が咲いていた。
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[写真40]オオバタネツケバナ
2018年4月4日
オオバタネツケバナ
・水路にオオタネツケバナの花が咲いていた。
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[写真13]オオバタネツケバナ
2010年4月16日
オオバタネツケバナ
南禅寺水路の石垣に,オオバタネツケバナがひと固まりになって,這い上がるように密生していました。[写真6]
よく見ると,石垣からにじみ出る水の周辺に繁茂しているようです。
上から少しはがしてみると,わずかな土に根がびっしりとからまってシート状になっています。[写真3]
オオバタネツケバナは「大葉種漬花」で,タネツケバナより葉が大きいことから名がつけられています。
タネツケバナの名の由来については,『牧野新日本植物図鑑』(1970年)に次のように書いてありました。
種漬花。苗代を作る直前に,米の種籾を水に漬す時期に盛んに花が咲くのでこの名がついた。
オオバタネツケバナは食用になります。
タネツケバナも食用になりますが,葉が大きい分オオバタネツケバナの方がよく利用されています
四国の松山ではテイレギと呼んで,昔から刺身のつまなどに珍重されているそうです。
少し採ってかえり,食べてみました。
数枚の葉を細かく刻み納豆に混ぜ,残りはおひたしに。
病みつきになるおいしさ,という程ではないですが山菜として十分食用になります。
[写真1][写真2]は花と果実。
夏に枝先きに短かい総状花序をつけて,有柄で白色のごく小さい十字状花をひらく。はじめは花序の軸が短かいが,果実が熟する頃にはかなりの長さになり,長角果をまばらにつけるようになる。がく片は長楕円形,長さ2mmぐらい。花弁は広いへら形,長さ3.5mmぐらい。雄しべのうち4本が長く,雌しべは1。細長い長角果は,長さ2~3cmで斜上する。種子のある所はわずかにふくらむ。熟すると果皮が2片に裂けてそりかえり,細かい種子を放出する。(前出書)
[写真4]は茎。
茎は緑色でやわらかく,基部は地面をはい,やや束生するように見える。全株ほとんど無毛。(前出書)
[写真5]は葉。
左から順に,茎の根本,真ん中,先端部分の葉です。
葉は互生し羽状に分裂して,大体の形はタネツケバナに似ているが,小葉の数が少く2~ 5対で,葉面が円形,頂小葉が最大で特に大きく,幅2.5cmにもなる点で異なる。(前出書)
2005年3月15日
タネツケバナ
クレソン?と思ったらこれはタネツケバナでした。排水口の周りに群れ生えている様子は,いかにも水辺を好む植物と言う感じです。小さな白い花を付けていました。田植えの準備で種もみを水につける時期に,花を咲かせることから種漬花の名が付いています。タネツケバナとクレソンは同じアブラナ科で,姿も似ています。アブラナ科の植物に毒のあるものはなく,タネツケバナも食べられます。
2004年3月30日
タネツケバナ
ミチタネツケバナ。タネツケバナと似ていますが,タネツケバナが湿地に育つのに対し,本種は乾燥したところに育ちます。ヨーロッパ原産で,1990年代に確認されて以降,急速に分布を広げているそうです。タネツケバナは「種付け花」ではなく「種漬花」。米の種籾を水に浸す時期に,花が咲くことから。
2019/5/1 追記
雄しべが6本である,萼片が紫色を帯びている等により,これは外来種の「ミチタネツケバナ」ではなく,在来種の「タネツケバナ」のようです。