バショウの花が咲いていました。雌花もまだ残っています。

バショウは雌性先熟で,花茎上部の雌花が先に開花したのち,雄花が開花します。
今までは気づくのが遅くて,雌花が咲いているところを見たことがありませんでした。
今回はバナナのような形をした子房の先に,雌しべがまだ残っています。


地面には抜け落ちた雌しべが散らばっていました。
花柱は太く,柱頭が白い蝋状の物質に覆われています。
いかにも粘着質で下向きに垂れ下がっているので,風媒花かなと思いましたが虫媒花だそうです。


雄花も落ちていました。
花被は唇形で,5個の雄しべと退化した雌しべがあります。
(雌花も開花直後には同じような唇形の花被片があったはずです。)

今回雌花を見て,今まで勘違いしていたことに気づきました。
花序の根元にあるバナナ状の果実らしきものは,受精した子房が成長したものではないということです。
雌花が開花した時から子房はバナナの形をしているのです。
バショウが結実することはまれだとされているのに,毎回実がなっているのはその「まれ」なケースだと思っていました。
稀なことは常には起こらないようです。

今回は2年続けて咲いたので,昨年の花序が枯れた状態で残っています。
地面から伸びた花茎は,葉鞘(偽幹)の中央を突きぬけて先端から顔を出します。
同じ葉鞘に花茎が伸びることはできないので,今年の花序は昨年とは異なる葉鞘に出ています。
