ゴマダラチョウの過去投稿を一つにまとめました。


2025年8月4日

自転車で通り過ぎたところで,歩道にチョウがいたことに気づきました。
戻ってみると,ゴマダラチョウでした。
羽ばたくようにして,死んでいます。

ゴマダラチョウ
ゴマダラチョウ[ in日ノ岡鴨土町 on2025/7/16 ]

羽化直後のような,きれいな個体です。

ゴマダラチョウ(下面)
ゴマダラチョウ(下面)[ in on ]

図鑑で調べると,夏型の♀のようです。
♀ならば腹端に産卵管があるはずです。
腹端を拡大して見ると,オレンジ色の部分から細い管のようなものが出ています。
こんな細いものが産卵管ではないと思いますが,何なんでしょうか。

ゴマダラチョウ(腹端)
ゴマダラチョウ(腹端)[ in on ]

前翅長39mm

ゴマダラチョウ(上面)
ゴマダラチョウ(上面)[ in on ]
ゴマダラチョウ(下面)
ゴマダラチョウ(下面)[ in on ]

黄色い口吻がきれいです。

ゴマダラチョウ(口吻)
ゴマダラチョウ(口吻)[ in on ]
ゴマダラチョウ(口吻)
ゴマダラチョウ(口吻)[ in on ]

2016年8月8日

・死んだゴマダラチョウをアリが運んでいた。かなりの速さで動いている。


2016年5月21日

道にゴマダラチョウがとまっていました。[写真2]
翅をひろげたまま,逃げようともせず,じっとしています。
近づいてよく見ると,ひろげた翅が歪み波打っています。[写真1]
羽化の途中で翅を傷つけてしまったようです。
かわいそうですが,この翅では飛び立つことができません。

今の時期にいるゴマダラチョウは,越冬した幼虫が羽化したものです。
ゴマダラチョウはふつう年2回発生します。
5~6月に羽化したものを春型,7~8月に羽化したものを夏型といい,春型の方が翅の斑紋が白っぽくなります。

学研『日本産蝶類標準図鑑』(2006年)には,ゴマダラチョウについて,次のように書いてありました。

色彩斑紋は♂♀大差はないが,♀は翅形が幅広く丸味をおび,黒色部の発達は♂に比べて弱い。和名ゴマダラチョウは”ごまだら”模様を呈する翅斑にもとづく。

ふつう年2,3回の発生で,日本西南部の暖地では第1化(春型)は5~6月,第2化(夏型)は7~8月に,部分的な第3化(夏型)が9~10月に発生することが多い。

季節的変異は顕著で,春型は一般に大型,地色はやや黄緑をおび(夏型では白色),夏型に比べて黒色部が著しく減退することがふつうである。

[写真3]は,今回の個体の翅(春型)。
[写真4]は,夏型の翅。(→2011年7月24日
[写真5]は,2003年5月10日に採取した春型。(→2003年5月10日
こちらの方の翅裏は,今回の個体よりかなり白いです。
[写真6][写真7]は,[写真5]を標本にしたもの。
13年間の年月でずいぶん色が薄くなっています(こんなに変色しているとは!)。

性別を判定するため,腹端にある交尾器を調べてみました。
腹端を下から見ると,先端に割れ目があり,管が1本突き出ています。[写真8]
割れ目の両側には,細かい棘が無数に生えています。
まるでハエトリグサの捕虫器のようですね。

この割れ目が,交尾の際に♀を捕まえる,バルバ(把握器)と言われるもののようです。
ということは♂ですね。
突き出ている管は,エデアグスと呼ばれる,♀に精子を送る部分だと思います。

ゴマダラチョウが属するタテハチョウ科は,前足が退化しているのが特徴です。
平凡社『日本動物大百科 第9巻 昆虫Ⅱ』(1997年)には,次のように書いてありました。

「4本足のチョウが見つかった」と騒がれることがよくあるが,実態はタテハチョウ科のチョウの成虫で,前あしが退化し,体に密着しているために4本あしに見えるだけのことである。オスでは前あしの跗節が単一の節になり,長い毛でおおわれるが,メスでは跗節の各節が極端に短くなり,爪を欠き,全体として1本のこん棒のように見える。メスの跗節には微小な突起や棘(とげ)があるが,ここがにおいや味を知る感覚器官の役目を果たしていると考えられている。メスは産卵に際し,前あしで植物などを叩く行動が見られる。

[写真9]は,折りたたまれた前あし。
[写真10]は,前あしを引き出したところ。
跗節も爪もなく,ものをつかむ機能は完全に失っています。


2011年7月24日

  • ゴマダラチョウ
    [写真1]夏型
    2011年7月21日
  • ゴマダラチョウ
    [写真2]夏型
    2011年7月21日
  • ゴマダラチョウ
    [写真3]夏型
    2011年7月21日
  • ゴマダラチョウ
    [写真4]春型
    2003年5月10日
  • ゴマダラチョウ
    [写真5]春型
    2003年5月10日
  • ゴマダラチョウ
    [写真6]ゴマダラチョウの退化した前肢
     

塀にゴマダラチョウがとまっていました。

今の時分のゴマダラチョウを夏型といいます。
ゴマダラチョウは,年2回発生します。
越冬した幼虫が5~6月に蛹となり,羽化したものが春型。
春型が卵を産み,成長して7~8月に羽化したものが夏型となります。

保育社『原色日本蝶類図鑑』(1976年)には,次のように書いてありました。

〈生態〉通常年2回。春型は5~6月,夏型は7~8月に姿をみせる。個体数は少ないが,暖地では夏型の斑紋をした第3化が9~10月に現れる。北海道などの寒冷地では,年1回の発生と考えられる。

一般的にチョウの春型は夏型よりも小さいものなのですが,ゴマダラチョウは春型のほうが夏型よりも大きくなります。
春型は翅の色が白っぽく,時には,翅裏が真っ白になることもあるそうです。
[写真4][写真5]は,2003年5月に写した,春型のゴマダラチョウです。
2003年5月10日
[写真5]を見ると,翅裏がかなり白っぽいですね。

ゴマダラチョウの属するタテハチョウのなかまは前肢が退化しているため,肢の数が左右2本ずつの4本にしか見えません。[写真1][写真5]

[写真6]を見ると,小さいながらも,前肢があるのがわかります。


2006年8月2日

ゴマダラチョウ
昨日に続いて,今日はゴマダラチョウが死んでいました。長い梅雨も明け,ようやく夏本番というところですが,虫たちにとってはもう終わりの時のようです。


2004年7月24日

ゴマダラチョウ
ゴマダラチョウの羽が落ちていました。


2003年5月10日

ゴマダラチョウ
子供がゴマダラチョウを捕まえてきました。羽化したてだったらしく,木に止まってじっとしていたそうです。