歩道脇に見慣れないピンク色の花が咲いていました。
穂状の花序に下から順番に花が開いています。

ツルボ
ツルボ[ in南禅寺草川町 on2025/10/3 ]
ツルボ
ツルボ[ in南禅寺草川町 on2025/10/3 ]

道路際に咲いている見慣れない花はたいてい外来種ですが,この花は違いました。
名前はツルボで,全国に自生する在来種でした。
蔓に穂で蔓穂(ツルボ)。
穂は花穂を指すとして,蔓は何をさすのでしょう。
姿はまったく蔓状ではありません。

『牧野新日本植物図鑑』(1961年)にはツルボについて次のように書いてありました。

北海道から九州を経て,支那や台湾にまでひろく産する種類で原野にはえる多年生草本.鱗茎は卵球形で長さは2~3cm,外皮は黒褐色,下部には短かい根茎があって細い根を束出している.葉は春秋の2季に出て春のものは夏に枯れる.2個向いあった葉は広線状の倒皮針形で紫緑色,直立して内面はとい形に凹み,先端は鋭尖形をして下に向って細くなっている.初秋になると葉の間に直立した30cm内外の茎を1本出し,先に4~7cmくらいの少し密な穂のような総状花序を出して淡紫色の花を開く.花被6片は平開し,倒皮針形背面は濃色である.雄しべ6個,花糸は紫色で糸状であるが下の方で皮針形に広がっている(附図右)雌しべは1本,子房は楕円体,短毛の3縦列がある.花柱は長さ1.5~2mmで短柱形に立つ.さく果は楕円体で長さ5mmあり,上向いて上部で胞背裂開して中からつやのある真黒色の細長い種子を出す.〔日本名〕ツルボ,スルボは共に意味が不明である. サンダイガサは参内傘の意味でその花穂の状態が丁度昔公卿が参内する時,供人がその後から差しかける長柄傘のたたんだ形に似ているためである.

・鱗茎は卵球形で長さは2~3cm,外皮は黒褐色,下部には短かい根茎があって細い根を束出している.

根元をナイフで掘ってみたのですが,鱗茎を確認することはできませんでした。
探し方が悪いのか,開花の時期には膨らんでいないのかどちらでしょうか。

・葉は春秋の2季に出て春のものは夏に枯れる.2個向いあった葉は広線状の倒皮針形で紫緑色,直立して内面はとい形に凹み,先端は鋭尖形をして下に向って細くなっている.

ツルボ
ツルボ

・初秋になると葉の間に直立した30cm内外の茎を1本出し,先に4~7cmくらいの少し密な穂のような総状花序を出して淡紫色の花を開く.

ツルボ(花序)
ツルボ(花序)
ツルボ(花)
ツルボ(花)

・花被6片は平開し,倒皮針形背面は濃色である.雄しべ6個,花糸は紫色で糸状であるが下の方で皮針形に広がっている雌しべは1本,子房は楕円体,短毛の3縦列がある.花柱は長さ1.5~2mmで短柱形に立つ.

ツルボ(花)
ツルボ(花)
ツルボ(花)
ツルボ(花)
ツルボ(花)
ツルボ(花)