ヒグラシの過去投稿を一つにまとめました。


2026年8月10日

玄関横の壁にヒグラシがとまっていました。
逃げないように慎重に捕まえましたが、その必要はありませんでした。
寿命のようです。
微かに肢を動かすだけで、しばらくすると肢も動かなくなりました。

ヒグラシ(♂)
ヒグラシ(♂)[ in夷谷町 on2026/8/4 ]

腹部が長く太いので♂です。
ほとんど空っぽで、鳴き声を大きくするための共鳴室になっています。

ヒグラシ(♂)
ヒグラシ(♂)

北隆館『日本昆虫図鑑』(1956年)にはヒグラシについて次のように書いてありました。

 体長雄38mm内外、同翅端まで50mm内外。雌25mm内外、同翅端まで45mm内外。体は栗褐色に緑色および黒色斑を有する。頭部は緑色、複眼の内側および単眼の周囲に不規則な黒斑がある。顔は黄緑色、中央は黒褐、両側には同色の横縞がある。複眼は暗褐色、単眼は淡紅色、触角は黒色であるが末端は黄色。前胸背は中央の縦条・側縁・後縁は緑色、その他は栗褐色、緑色部との境界は黒色。中胸背は前半の両側および十字突起の両側のみ緑色、中央は黒色地に褐色紋があるがその大小は変化する。腹背は主に栗褐色、雄では最後の腹節の背面は白粉を被ることが多い。体の下面は主に緑色、腹部は淡褐色、雄では半透明、腹弁は腹節の基部を超え、先端丸く、淡緑色であるが内縁部は褐色を帯びる。雄の第1腹節の下面両側に顕著な疣状突起がある。翅は透明であるが、末端はやや暗色を帯び、翅脈は主に褐色、基部および中央部には緑色および黒色の部分がある。又前翅には前種(クマゼミ)におけると同様の褐斑を有する。本種は北海道南端部・本州・九州・四国の山地に普通な種で、主に7-8月に出現し、その声キッキッキッキッに近く(俗にカナカナと称する)主に早朝および夕刻に鳴く。(旧字体を新字体に修正)

・体は栗褐色に緑色および黒色斑を有する。

ヒグラシ(♂)
ヒグラシ(♂)

・頭部は緑色、複眼の内側および単眼の周囲に不規則な黒斑がある。顔は黄緑色、中央は黒褐、両側には同色の横縞がある。複眼は暗褐色、単眼は淡紅色、触角は黒色であるが末端は黄色。

ヒグラシ(♂)
ヒグラシ(♂)

・前胸背は中央の縦条・側縁・後縁は緑色、その他は栗褐色、緑色部との境界は黒色。中胸背は前半の両側および十字突起の両側のみ緑色、中央は黒色地に褐色紋があるがその大小は変化する。

ヒグラシ(♂)
ヒグラシ(♂)[ in on ]

・腹背は主に栗褐色、雄では最後の腹節の背面は白粉を被ることが多い。

ヒグラシ(♂)
ヒグラシ(♂)

・体の下面は主に緑色、腹部は淡褐色、雄では半透明、腹弁は腹節の基部を超え、先端丸く、淡緑色であるが内縁部は褐色を帯びる。

ヒグラシ(♂)
ヒグラシ(♂)

・雄の第1腹節の下面両側に顕著な疣状突起がある。

ヒグラシ(♂)
ヒグラシ(♂)

・翅は透明であるが、末端はやや暗色を帯び、翅脈は主に褐色、基部および中央部には緑色および黒色の部分がある。又前翅には前種(クマゼミ)におけると同様の褐斑を有する。

ヒグラシ(♂)
ヒグラシ(♂)

2016年8月6日

・ヒグラシが死んでいた。[写真2]


2015年9月16日

一月ほど前,道にヒグラシが死んでいました。[写真1][写真2]
背中に白い綿毛の塊がくっついています。
セミヤドリガの幼虫です。

一見,ヒグラシが死んだのは,セミヤドリガの寄生が原因のように見えますが,そうではありません。
寄主のお腹の中で成長する寄生バチや寄生バエと違い,セミヤドリガの幼虫は,セミの体の外側にしがみついて体液を吸っているだけです。
セミヤドリガに寄生されても,セミは普通に生活し,特に害を与えることはありません。

通常,終齢に達したセミヤドリガの幼虫は,寄主であるセミから離脱し,地面近くの草むらに降りて蛹となります。
この幼虫は,急に寄主が死んでしまい,離脱の機会を失ってしまったようです。

そのままシャーレに入れておいたところ,3日後にヒグラシから離れていました。
幼虫の口から細い糸が出て,セミとつながっています。[写真3][写真4]

白い綿毛状のロウ物質で覆われているということは,終齢(5齢)幼虫なのですが,蛹化することなく,そのまま死んでしまいました。
セミヤドリガの成虫を見たかったのに,残念です。

ところが後日,運よく,セミヤドリガの繭が歩道わきのロープに付着しているのを見つけました。[写真5]
採取して,シャーレに入れておいたところ,4日後に羽化しました。[写真7]

繭から蛹の羽化殻が飛び出していて,変な感じですね。
周りの綿毛を取り除くと,硬いドーム状の繭が現れました。[写真8]。
成虫が脱出する口が開いています。
半分に割ってみると内側はすべすべしていて,まるでピスタチオの殻のようです。[写真10]

羽化した成虫は,こんな硬い繭をどうやって破るのでしょうか。
大串龍一著『セミヤドリガ』(1987年)には,次のように書いてありました。

こうして全体が白い毛で覆われると,幼虫はその下に口から出した粘液で布のような膜を作り,繭を完成させる。この繭は完成後しばらくは表面がけばだっているが,やがて毛束が風に吹き散らされてなくなったり,雨に濡れてくっついたりして目立たなくなってしまう。
 繭の内側は滑らかに仕上げられているが,桶の頭に当たる部分に繭の内張りの繊維が横に切れて,押せば開くようになっている所がある。これは桶が羽化したときに成虫の脱出する出口が,あらかじめ作られているのである。

[写真9]は,羽化殻。
[写真11]は,羽化した成虫。
黒い鱗粉がとれて,ぼろぼろの状態です。
セミヤドリガの鱗粉はとれやすいようです。
前書に次のように書いてありました。

このガは,ふつうのガに比べて翅の鱗片が剥げやすい。そしてまた飛翔の際のはばたきが強く,羽化させた個体でも飼育箱の中で飛び回ると壁などにあたって鱗片が落ちて,完全な標本を作ることが難しい。

[写真12]は,白い綿毛に覆われていない幼虫。(→2007年8月10日
3齢か4齢あたりでしょうか。
どちらにしても,飛び回るセミの体にしがみついたまま,脱皮を繰り返すのは大変なことです。


2007年8月10日

  • ヒグラシ
  • ヒグラシ
  • ヒグラシ
  • ヒグラシ

石段にヒグラシがとまっていました。
逃げるかなと思いながら,息をとめてすばやく手で押さえました。
捕まえたもののヒグラシには元気がなく,肢だけを動かしています。
もう寿命なのでしょうか。

セミの成虫の寿命は2~3週間とされています。
橋本洽二著「セミの生活史」には次のように書いてありました。
『親ゼミの寿命はだいたい2~3週間で,雄と雌では,雌の方がやや長いことがわかりました。1番長く生きたのは,糸つなぎ式で飼育したツクツクボウシの雌で,36日間。自然状態でも,マーキングされた1匹の雌アブラが,最低31日間生きているのをたしかめました。しかし平均からいうと,30日以上生きるセミは,例外的とみたほうがよさそうです。
 羽化してから成熟するまで4~5日間。そのあと雄は毎日を鳴きくらし,雌は産卵をしながら,10日あまりをすごすのです。枯枝の中で1ヶ月半あるいは10ヶ月をすごす卵の期間。数年間のひっそりとした土中生活。最後に2,3週間のはなやかな地上生活。これがふつうのセミの一生です。』

寿命だったようです。しばらくすると肢も動かさなくなりました。

頭部をよくみると,赤茶色の丸いものが額に3個ついています。[写真2]
これは単眼です。
大きな複眼に目がいって,小さな単眼にはなかなか気がつきませんが,昆虫は通常複眼と単眼をあわせ持っています。
学研「原色ワイド図鑑 昆虫Ⅰ」には次のように書いてありました。
『昆虫は,光の刺激を主に頭部の両側にある複眼と額にある単眼から得ている。単眼は,基本的には3個あり,明暗を感じる。複眼は,個眼という小さな単位が集まってできている。』

腹部背中側に,セミヤドリガの幼虫が1匹くっついていました。[写真3]
セミヤドリガは名前のとおり,セミに寄生するガの仲間です。
とくにヒグラシに多く寄生するようです。

学研「日本産幼虫図鑑」には,次のように書いてありました。
『ガの仲間としては珍しく寄生性。幼虫はずんぐりしていて,シワが目立つ。幼虫は7~8月に現れ,約7日で蛹化する。成虫は樹皮の間に産卵し,卵で冬を越す。ふ化した幼虫はセミにつき,小さい間は胸部の節間にいて,その後外に出て大きくなる。寄主のセミが生きているうちに変態を完了させるため,幼虫期はとても短い。終齢幼虫はロウ状の物質で覆われ,奇主から落ちて離れて繭を作って蛹になる。
食物:セミの体液。ヒグラシのほか,ツクツクボウシ,アブラゼミ,ミンミンゼミなどにもつく。』

[写真4]はヒグラシの雌に寄生している終齢幼虫。(2005/8/10 撮影)


2005年8月10日

ヒグラシ?の抜け殻
ヒグラシ?の抜け殻。ツクツクボウシの抜け殻にも似ていますが,ツクツクボウシはまだ鳴き始めていないので,ヒグラシだと思います。


2005年8月2日

ヒグラシ
ヒグラシが地面にとまっていました。脚を動かしているのですが,飛ぶ元気はないようです。もう寿命でしょうか。と,ここまで書いて前にも同じようなことを書いたなと,去年の日記を見ると,同じ8月2日にヒグラシのことを書いていました。


2004年8月2日

ヒグラシ
道にとまっているように見えたヒグラシですが,手にとって見るとすでに死んでいました。寿命でしょうか。羽化後のセミの寿命は2~3週間といわれています。