ハマクサギタマゴタケ(仮)の過去投稿を一つにまとめました。


2026年9月19日

ハマクサギタマゴタケ(仮称)の正体がわかりました。 Amanita chepangiana (アマニタ・チェパンギアナ)のようです。既にナンヨウシロタマゴタケという和名が付されていました。

● Amanita chepangiana
『ネパールのキノコとキノコ栽培 改訂版』(渡辺和夫 2024年)に、ネパールで食用にされているAmanita chepangiana という白いテングタケの仲間についての記述がありました。

ネパールには食用キノコに Amanita chepangiana という白いテングタケの仲間がある。この白いキノコはツバおよびツボを持ち、傘には明瞭な条線があるのが特徴だが、本菌に酷似した猛毒のキノコがあり、誤食される可能性が高い。本菌は標高の低い沙羅双樹(Shorea robusta)の森に発生するそうだが、残念ながら見る機会はなかった。

● 白條蓋鵝膏
この「Amanita chepangiana という白いテングタケの仲間」が気になって調べたところ、中国では白條蓋鵝膏といわれるキノコで、食用にされていることがわかりました。
鵝膏はテングタケ属を指す中国語で、白條蓋鵝膏は「白い、スジのある傘を持つテングタケ」の意味になります。
中国雲南省の多くの地域の松林や樫林で見られるそうです。
ネパールで初めて食用キノコとして記載され、地元の先住民によって食用として利用されています。

台湾でも一般的なキノコのようで、『艾~台灣的真菌手札』というサイトに白條蓋鵝膏の解説と写真が載っていました。
写真を見るとまさしくハマクサギタマゴタケそのものです。
『艾~台灣的真菌手札』に掲載されていた写真
『艾~台灣的真菌手札』から引用
解説文を訳すと次のようになります。

【No.940】 Amanita chepangiana(白條蓋鵝膏)
夏から秋にかけて、一般的な林地や針広混交林の地上に単生または散生し、樹木と外生菌根を形成する。

子実体は大型。中国の文献によると傘の直径は8〜15cm(「Family Amanitaceae-amanitaceae.org」の記載では13〜19cm)。形状は扁半球形から、次第に平展へと変化する。色は白色で、中央部は淡い乳黄褐色を帯びる。表面は滑らかで、湿っている時はやや粘性がある。傘の縁には条線(長さは傘の半径の0.2〜0.3倍)があり、まれに白色のツボの破片が残る。

菌肉は白色または汚白色で、中央部がやや厚い。

ヒダは白色または乳白色。離生から、やや離生に近い。密度はやや細かく、通常は途中で断ち切られたような形の短いヒダがある。

柄の長さは9〜20cm、太さは1〜2cm(太いものは3.5cmに達する)。
円柱形で白色。表面は滑らか、または微細な鱗片があり、基部は膨らむ。
ツバは白色で膜質。柄の上部または頂生の近くに付き、縁は綿毛状で、脱落しやすい。ツボは汚白色から淡灰褐色。表面はよくひび割れ、やや厚みがある。大型の袋状で、高さは4〜8cm、直径は2.5〜5cm。

● 解説文との照合
採取した個体と解説文とを照らし合わせてみました。

・夏から秋にかけて、一般的な林地や針広混交林の地上に単生または散生し、樹木と外生菌根を形成する。
当地では7月~9月にシイやカシの落葉が堆積している地上に発生します。

・中国の文献によると傘の直径は8〜15cm(「Family Amanitaceae-amanitaceae.org」の記載では13〜19cm)
採取した個体の、傘の直径は15cmです。過去投稿を見ると大きいものは20cmありました。(解説文よりやや大きいか?)

ナンヨウシロタマゴタケ
ナンヨウシロタマゴタケ[ in粟田口大日山町 on2026/9/18 ]

・(傘)形状は扁半球形から、次第に平展へと変化する。

ナンヨウシロタマゴタケ
ナンヨウシロタマゴタケ[ in粟田口大日山町 on2026/9/18 ]

・(傘)色は白色で、中央部は淡い乳黄褐色を帯びる。表面は滑らかで、湿っている時はやや粘性がある。
確かに、湿っている時はやや粘性があります。

ナンヨウシロタマゴタケ(傘)
ナンヨウシロタマゴタケ(傘)[ in粟田口大日山町 on2026/9/18 ]

・傘の縁には条線(長さは傘の半径の0.2〜0.3倍)があり、まれに白色のツボの破片が残る。
この傘の縁にある条線が最大の特徴です。

ナンヨウシロタマゴタケ(傘)
ナンヨウシロタマゴタケ(傘)[ in粟田口大日山町 on2026/9/18 ]

・菌肉は白色または汚白色で、中央部がやや厚い。ヒダは白色または乳白色。離生から、やや離生に近い。密度はやや細かく、通常は途中で断ち切られたような形の短いヒダがある。

ナンヨウシロタマゴタケ(ヒダ)
ナンヨウシロタマゴタケ(ヒダ)[ in粟田口大日山町 on2026/9/18 ]
ナンヨウシロタマゴタケ(ヒダ)
ナンヨウシロタマゴタケ(ヒダ)[ in粟田口大日山町 on2026/9/18 ]

・柄の長さは9〜20cm、太さは1〜2cm(太いものは3.5cmに達する)。
円柱形で白色。表面は滑らか、または微細な鱗片があり、基部は膨らむ。

この個体の柄の長さは17cm、太さは1.8cm。

ナンヨウシロタマゴタケ(柄)
ナンヨウシロタマゴタケ(柄)[ in粟田口大日山町 on2026/9/18 ]

ツボの外被膜を取り除いた基部

ナンヨウシロタマゴタケ(柄)
ナンヨウシロタマゴタケ(柄)[ in粟田口大日山町 on2026/9/18 ]

・ツバは白色で膜質。柄の上部または頂生の近くに付き、縁は綿毛状で、脱落しやすい。

ナンヨウシロタマゴタケ(ツバ)
ナンヨウシロタマゴタケ(ツバ)[ in粟田口大日山町 on2026/9/18 ]

・ツボは汚白色から淡灰褐色。表面はよくひび割れ、やや厚みがある。大型の袋状で、高さは4〜8cm、直径は2.5〜5cm。
この個体のツボは高さ7cm、直径4cm。

ナンヨウシロタマゴタケ(ツボ)
ナンヨウシロタマゴタケ(ツボ)[ in粟田口大日山町 on2026/9/18 ]
ナンヨウシロタマゴタケ(ツボ)
ナンヨウシロタマゴタケ(ツボ)[ in粟田口大日山町 on2026/9/18 ]
ナンヨウシロタマゴタケ(幼菌)
ナンヨウシロタマゴタケ(幼菌)[ in粟田口大日山町 on2026/9/18 ]
ナンヨウシロタマゴタケ(幼菌・断面)
ナンヨウシロタマゴタケ(幼菌・断面)[ in粟田口大日山町 on2026/9/18 ]

解説文には臭いについての記述がありません。採取した個体にも気になる臭いはありませんでした。
ハマクサギタマゴタケにはハマクサギによく似た臭いがすることが特徴の一つに上げられていますが、 Amanita chepangiana(白條蓋鵝膏)には臭いがないようです。
食用とされていることからも、気になる臭いはないものと思われます。(ビニール袋に入れて1日置いたところ少し臭いがしていました。この臭いがハマクサギに似ているのかどうかはわかりません。少なくとも新鮮な個体には臭いはありません。)

● Amanita chepangiana に関する新種報告論文

Amanita chepangiana を新種として報告した際の学術論文が ResearchGate(リサーチ・ソーシャル・ネットワーク・サービス)に掲載されていました。
→ネパール中部から発見された新種 Amanita chepangiana(アマニタ・チェパンギアナ)の報告書

AIで翻訳して読んだところ、ハマクサギタマゴタケは Amanita chepangiana ではないかという思いが一層強くなりました。

語源: ネパール中部のチトワン郡およびダーディング郡の僻地に居住する、チベット・ビルマ語系を話すチェパン(Chepang)と呼ばれる部族にちなんで名付けられた。Amanita chepangiana は、古くからこのキノコと深く関わってきたチェパンの人々の間で大変珍重されている食用キノコである。

傘(PILEUS): 直径130–190 mm、乳白色で、中央部(ディスク)は時にやや灰色がかった色からやや黄色がかった色(3A2〜4A3)、初期は半球形からまんじゅう形、やがて開いて平らになるか、老熟すると中央部がやや凹む。外苞膜の下はやや光沢があり、濡れると粘性を生じる。表皮は縁から中央に向かって剥がれる。縁は内曲し、傘の開大のかなり早い段階から明瞭な条線(0.1R〜0.15R)が現れ、時にやや疣状の条線となり、開大初期には附着物を伴うことがある。肉は純白または乳白色で厚く、変色や傷による変色を起こさず、中央部から縁に向かって均一に薄くなる。外苞膜の残片は密な白色の綿毛状物質として存在するが、成熟すると消失するか雨で洗い流される。

ヒダ(LAMELLAE): 離生し、密、薄くて脆い。ごく僅かにピンク色を帯びた白色で、乾燥すると2.5Y 8/4〜10YR 7/8、あるいは約10YR 8/3に変化する。幅最大15 mmで、縁は微細な綿毛状、一部で分岐する。小ヒダはかなり豊富で長さは様々であり、やや漸尖形から漸尖形。

柄(STIPE): 150–180 × 21± mm、上方に向かってわずかに細くなり、頂部でやや広がる。ツバより下は白色の綿毛状または繊維状〜小鱗片状の物質で覆われ、ツバより上は粉状、手で触れると淡黄色または灰色がかった色に変わる。肉は白色で傷つくと淡黄色になり、綿毛状の白色物質で満たされるか中空になり、中央の空洞は直径6–17 mm、基部の球根(塊茎)を欠く。
ツバは垂れ下がり、膜質、薄く、一時的で白色、頂部から上部に位置する。上面には条線があり、時にスカート状のツバの縁から柄に達する薄い内部縁(limbus internus)を伴う。
ツボは大型で、白色〜帯白色または淡黄色〜革色(4A4まで)の管状の袋であり、かなり厚く革質、袋の30%未満が地表下に埋まる。柄の基部からツボの先端までの距離は50–60 mm、幅35–50 mmで、ツボの縁はその長さの少なくとも3分の2が遊離している。においはない。味は穏やか。

「においはない。味は穏やか。」とあります。やはり臭いはないようです。

●ナンヨウシロタマゴタケ
仮称ハマクサギタマゴタケが Amanita chepangiana だとしたら、既にナンヨウシロタマゴタケという和名がつけられていました。
2016年発行の『南西日本菌類誌』に、西表島産のサンプルに基づいた新産種報告があり、和名をナンヨウシロタマゴタケとしています。
学名にcf.が付いているので Amanita chepangiana と確定したわけではないようですが。
妖菌図鑑というサイトに詳細が掲載されていました。

●結論
ハマクサギタマゴタケ(仮称)という名称は用いずに、これからはナンヨウシロタマゴタケという名称を使用しようと思います。
ハマクサギタマゴタケという名称はハマクサギという一般的でない植物の名を冠しているうえに、その匂いが必須の所見ではないからです。
一番的確な名称は中国語の白條蓋鵝膏(白い、スジのある傘を持つテングタケ)かもしれませんが。

ナンヨウシロタマゴタケという名称の「ナンヨウ」も南方系のキノコであることを明示していてよいと思います。
西日本各地で発見例が急増していることが、地球温暖化を暗示することになるからです。
オオシロカラカサタケが急速に分布域を拡大していることと通じます。


2026年7月21日

ハマクサギタマゴタケ(仮称)が今年もたくさん出ていました。
発生個所が少しずつ増えている気がします。

ハマクサギタマゴタケ(仮称)
ハマクサギタマゴタケ(仮称)[ in粟田口大日山町 on2026/7/13 ]
ハマクサギタマゴタケ(仮称)
ハマクサギタマゴタケ(仮称)[ in粟田口大日山町 on2026/7/13 ]
ハマクサギタマゴタケ(仮称)
ハマクサギタマゴタケ(仮称)[ in粟田口大日山町 on2026/7/15 ]
ハマクサギタマゴタケ(仮称)
ハマクサギタマゴタケ(仮称)[ in粟田口大日山町 on2026/7/12 ]

ハマクサギタマゴタケは仮称で、正式な和名はまだありません。
ハマクサギタマゴタケと仮称され始めてから少なくとも15年以上たっているのに、まだ正式な名前がないのはどうしたことかと思っていたのですが、そうした事はキノコの世界では珍しくないようです
『千葉菌類談話会通信 34号 / 2018年3月』 に次のように書いてありました。

日本国内ではおよそ1万種類のきのこがあるといわれるが、そのうち名前がついているのは3千種ほどしかないという。「名前がついていない」というのはちゃんと種として記載されていないために学名もついていないということ。どこかできのこを3種類見つけたら、そのうち2種類は名前がない可能性もある。

わりとよく見かけるのに学名(または和名)がなく、単なる仮称で呼ばれているきのこが多くある。

例示として次の名が挙がっていました。
・キアシヤマドリタケ(仮称)
・フリルイグチ(仮称)
・キナコハツ(仮称)
・ハマクサギタマゴタケ(仮称)
・ジムチョウハツ(仮称)
・ティラミステングタケ(仮称)
・ミツイロベニタケ(仮称)

ハマクサギタマゴタケが論文発表され、学名と正式な和名がつくのはまだ先の事のようです。

ハマクサギタマゴタケ(仮称)
ハマクサギタマゴタケ(仮称)[ in粟田口大日山町 on2026/7/15 ]
ハマクサギタマゴタケ(仮称)
ハマクサギタマゴタケ(仮称)[ in粟田口大日山町 on2026/7/13 ]

ハマクサギタマゴタケが文献に載ったのは『大分きのこ会30周年記念誌 大分と九州のきのこ』(2010年7月)が最初です。
次のような解説が付けられていました。

 夏にシイ林、クヌギ林等の地上に群生する。傘は大型、周辺部に条線を有する、白色で、中心部は帯オリーブ色。ひだは白色。柄も白色で大型膜質のつばとつぼを有する。つばもつぼも2重になっている。ミヤマタマゴタケに似るが白色で、ほのかにハマクサギのような臭気を有するのが特徴。最初県南で、その後日田市等北部でも見つかり、さらには西日本各地で見られることがわかってきた。

AI(Gemini)にネット上で報告されているハマクサギタマゴタケ(仮称)の主な目撃・採集・観察情報の分布をまとめるよう指示すると、次のような回答が返ってきました。

・千葉県: 各地の雑木林など、千葉菌類談話会による観察・記録。
・京都府(京都市): 九条山など、京都の自然観察ブログ等における継続的な記録。
・愛知県(豊川市・新城市): トヨタの森、赤塚山公園、新城市総合公園(鳳来寺山自然科学博物館友の会)などでの発見報告。
・大阪府(箕面市): 箕面公園など、関西菌類談話会による観察記録。
・広島県(東広島市): 広島大学東広島キャンパスの林縁部での観察報告。
・山口県(山口市・美祢市): 香山公園、亀山公園、秋吉台など、山口県産きのこ類の採集目録における多数の記録。
・大分県・宮崎県など:九州在住の専門家によって最初に仮称が与えられた土地であり、「大分と九州のきのこ」などの文献に記録があります。
・佐賀県:伊万里市の海岸近く(イマリンビーチ周辺)や嬉野市での具体的な目撃・写真付きの報告ブログが存在します。

目撃は関東以南に限られ、寒い地方では目撃されていないようです。


2024年9月24日

正体がよくわからない,ハマクサギタマゴタケと仮称されているテングタケ属のキノコ。
今年もたくさん発生しています。

ハマクサギタマゴタケ(仮)
ハマクサギタマゴタケ(仮)[ in粟田口大日山町 on2024/9/12 ]
ハマクサギタマゴタケ(仮)
ハマクサギタマゴタケ(仮)[ in粟田口大日山町 on2024/9/12 ]

毎年発生するこのキノコは,当初ドクツルタケだと思っていました(→2007年7月20日)。
その後傘の縁に条線があることに気づき(→2013年7月20日),ドクツルタケではないことが分かりました。
以来,ずっと正体が分からないままになっていました。
2年前にハマクサギタマゴタケ(仮称)ではないかと教えていただき,ネット検索してみると確かに特徴が一致しています。
南方系の外来種ではないかとされていますが,種名などは特定されていません。

今回,もうそろそろ種名が確定されているかとネットを検索してみましたが,まだはっきりしないようです。

ハマクサギタマゴタケ(仮)
ハマクサギタマゴタケ(仮)[ in粟田口大日山町 on2024/9/12 ]
ハマクサギタマゴタケ(仮)
ハマクサギタマゴタケ(仮)[ in粟田口大日山町 on2024/9/12 ]
ハマクサギタマゴタケ(仮)
ハマクサギタマゴタケ(仮)[ in粟田口大日山町 on2024/9/12 ]
ハマクサギタマゴタケ(仮)
ハマクサギタマゴタケ(仮)[ in粟田口大日山町 on2024/9/12 ]

ハマクサギタマゴタケという名前は仮称ですが,かなり拡がっていてこのまま定着してしまいそうです。
匂いがハマクサギの木に似ているかららしいのですが,ハマクサギの匂いといってもわかる人はほとんどいません。
もっと分かりやすい名前を付けてほしいものです。

傘のぬめッとした半光沢のある表面や縁の条線,全体の姿形は,近くに発生するチャタマゴタケによく似ています。

ハマクサギタマゴタケ(仮)
ハマクサギタマゴタケ(仮)[ in粟田口大日山町 on2024/9/12 ]
チャタマゴタケ
チャタマゴタケ[ in粟田口大日山町 on2010/7/9 ]

2022年9月11日

●卵のようだった幼菌が24時間でこんなになりました。タイムラプスで撮ったらニョキニョキ成長する様子が撮れそうです。毎年出るこのキノコは長い間名前が分からなかったのですが,ハマクサギタマゴタケだと教えてもらいました。といってもまだ種が確定されておらず,和名も仮称らしいですが。これから正式に標準和名をつけるとしたら「ハマクサギ」という名は避けてほしいですね。匂いがハマクサギに似ているといわれても,ほとんどの人はどんな匂いか分からないと思います。一番いいのは外観の特徴を的確に表現したものです。

ハマクサギタマゴタケ(仮))
ハマクサギタマゴタケ(仮)(A個体 9月10日)
ハマクサギタマゴタケ(仮)
ハマクサギタマゴタケ(仮)(A個体 9月11日)
ハマクサギタマゴタケ(仮)
ハマクサギタマゴタケ(仮)(B個体 9月10日)
ハマクサギタマゴタケ(仮)
ハマクサギタマゴタケ(仮)(B個体 9月11日)

2013年7月20日

毎年今の時期に同じところに生えるキノコです。[写真1]
姿形からドクツルタケだろうと思っていましたが,あるとき傘に条線があることに気が付きました。
ドクツルタケは傘に条線はないはずなので,別なキノコかなと気になっているのですが,毎年迷いながら,結局わからずじまいに終わっています。

ひだは離生し,ツバとツボを持つところからテングタケ科には間違いないようです。
図鑑を調べてもぴったりと一致するものがありません。
一番近いのはやはりドクツルタケです。

『山渓カラー名鑑 日本のキノコ』(1988年)には,ドクツルタケについて次のように書いてあります。

全体が白色,傘は径6~15cm,柄は長さ14~24cm,傘ははじめ卵型,のち鐘形~円錐形から中高の平らに開き,表面は平滑。柄は繊維状のささくれにおおわれ,上部には膜質のつばがつき,根もとはやや球根状にふくらんで袋状の大きなつぼをそなえる。

この特徴と,発生しているキノコを比較してみました。

・全体が白色
[写真1][写真2]にあるようにキノコ全体が白色で,傘の頭頂部がかすかに褐色を帯びています。

・傘は径6~15cm
写真の4本の中で一番大きいもので,径は約14cm。
[写真7]は同じ日に,100mほど離れたところ(B地点)に発生していたキノコです。
同じようにドクツルタケに似ていますが,これにも傘に条線があります。
[写真8]は昨年にこの場所(B地点)で採集したキノコです。
傘の大きさを測ると,径は20cmほどあります。
ドクツルタケにしては大きすぎるでしょうか。

・柄は長さ14~24cm
柄の長さは12cmほどしかありません。
ツルタケの名はすらりとした形が鶴を連想させるところからきていますが,この場所(A地点)に毎年発生するキノコはすこし頭でっかちの傾向にあります。
B地点に発生していたキノコ[写真7]はすらりとしていて,ドクツルタケらしい形をしています。

・傘ははじめ卵型,のち鐘形~円錐形から中高の平らに開く
[写真9]は幼菌。
成熟すると平らに開き,中央部がすこし盛り上がっています。[写真7]

・傘の表面は平滑
傘の表面は滑らかで絹状のおちついた光沢があります。[写真2]
[写真3]を見ると,傘の縁に明らかな条線があるのがわかります。
同書には「条線はない」とは書いてありませんが,掲載されている写真には条線はありません。
ネットで調べると,ドクツルタケの傘には条線はないとなっていて,迷ってしまうところです。

・柄は繊維状のささくれにおおわれる
同書に掲載されている写真のような「顕著なささくれ」ではありませんが,[写真2]では柄にささくれがあります。

・柄の上部には膜質のつばがつく
[写真1][写真2]を見ると,立派なつばがあるのがわかります。

・根もとはやや球根状にふくらんで袋状の大きなつぼをそなえる
[写真5]は[写真2]の個体のつぼの部分。
[写真10]は[写真8]の個体のつぼの断面。

以前の記事(→2007年7月20日)でドクツルタケとしていたものも,B地点に発生していたものです。
いかにも「死の天使」の名にふさわしい優美な姿をしていますが,多分その個体にも条線があったのではないかと思います。

同書には,

水酸化カリ3%液を傘に滴下すると黄色になるのが本種の特徴である。

と書いてあります。
この方法を試してみたいと思うのですが,水酸化カリウム(化学式KOH)は劇物に指定されており,個人が簡単に購入できるものではありません。
買えたとしても,3%の溶液を一滴垂らすために,劇物を一瓶買うのも現実的ではありませんね。

(2024/9/23追記:これはハマクサギタマゴタケ(仮)のようです。)


2022年7月25日

白いすらりとした大型のキノコが出ていました。傘の径は17cmほど,ツバとツボがあります。ドクツルタケやシロタマゴテングタケに似ていますが違います。傘の縁に条線があるのです。毎年同じ場所に発生して,毎年名前を調べています。いまだに不明です。
(2024/9/23追記:これはハマクサギタマゴタケ(仮)のようです。)

テングタケ属(不明)
テングタケ属(不明)(at南禅寺風呂山町)
テングタケ属(不明)
テングタケ属(不明)(at南禅寺風呂山町)
テングタケ属(不明)
テングタケ属(不明)(at南禅寺風呂山町)
テングタケ属(不明)
テングタケ属(不明)(at南禅寺風呂山町)

2021年7月17日

5)毎年同じ場所に出るドクツルタケに似たキノコ。傘の縁に条線があるのでドクツルタケではありません。(南禅寺)(翌日にはなくなっていました。)(2024/9/23追記:これはハマクサギタマゴタケ(仮)のようです。)

  • ドクツルタケに似たキノコ
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    [写真5]ドクツルタケに似たキノコ

2018年9月17日

(29)毎年出るドクツルタケのようなキノコ。似ているが,ドクツルタケではないと思う。(南禅寺)
(2024/9/23追記:これはハマクサギタマゴタケ(仮)のようです。)

  • ドクツルタケのようなキノコ
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    [写真29]ドクツルタケのようなキノコ

2018年7月21日

(37)毎年,今の時期に発生するドクツルタケに似たキノコ。幼菌。(南禅寺)
  →2013年7月20日


2016年9月30日

・ドクツルタケに似たキノコ。〔南禅寺〕[写真5](2024/9/23追記:これはハマクサギタマゴタケ(仮)のようです。)


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      9/30
    [写真5]ドクツルタケに似たキノコ

2015年9月3日

このところの長雨で,色々なところにキノコが出ています。
マツオウジ[写真1],アカヤマドリ[写真2],フクロツルタケ?[写真3],コガサタケ?[写真4],ドクツルタケに似たキノコ[写真5],シロソウメンタケ[写真6]と,いつもの所にいつものキノコが。
毎日同じコースをまわっていると,名前の分からないキノコはたくさんあるものの,見かけたことがないキノコが出ているのは意外に少ないものです。

そんな中で,[写真7]はこの場所で初めてみるキノコです。
ぽつんと一つだけ,白い大きな傘をひらいていました。
傘の径は16cmほど。
図鑑で調べてみると,オオシロカラカサタケではないかと思うのですが,はっきりしません。

マツオウジについては何度も書いています。
→マツオウジの記事一覧

アカヤマドリについても。
→アカヤマドリの記事一覧

「フクロツルタケ?」の記事
→2012年7月20日

「ドクツルタケに似たキノコ」の記事
→2013年7月20日


2007年7月20日

  • ハマクサギタマゴタケ

薄暗い林のなかに,白いキノコが優雅に立っていました。
ドクツルタケです。

猛毒を持っており,欧米では「destroying angel(死の天使)」と呼ばれています。
中毒症状と毒成分について,「山渓カラー名鑑 日本のきのこ」には次のように書いてありました。

『食べて10~20時間して,急に激しい腹痛,嘔吐,激しいコレラ様の下痢,肝臓,心臓,じん臓障害が起こる。1本以上食べると,病院で適当な処置を行わない限り,1~2日ないし3日以内に死亡する。毒成分はイオウを含む環状ペプチドで,アミノ酸7個からなるファロトキシン類と,8個からなるアマトキシン類からなる。前者はファロイジン,ピロイシン,後者はα-アマニチンなど多数の化合物が知られている。』

こういう毒物が野放し(?)にあるというのは,ある意味不思議な感じがします。
10年ほど前,有毒な外来生物としてセアカゴケグモが一世を風靡しましたが,それどころではないですよね。
(2024/9/23追記:これはハマクサギタマゴタケ(仮)のようです。)


2004年8月20日

ハマクサギタマゴタケ
広葉樹下の土手に生えていたキノコ。3センチほどの白いボール状。ショウロのようにコロリと手に取れます。半分に切ると中は真っ白で,おいしそうです。でも,ここにドクツルタケが生えていたのを覚えています。多分その幼菌でしょう。ドクツルタケは猛毒です。桑原桑原。
(2024/9/23追記:これはハマクサギタマゴタケ(仮)のようです。)