• ウスキツバメエダシャク
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このところ,モンシロチョウ程の大きさをした白いガを,よく見かけます。
翅をひろげて壁に止まっている姿[写真3」は,いかにも「蛾」という感じですが,翅をたたんで地面に止まっていると,一見チョウに見えます[写真1]。

翅が薄くて,全体的にガ特有のぽってり感がありません。
触覚も櫛状ではなく,ひげ状といわれる長細くて先が膨らんでいない形をしています。[写真2]

小学館の図鑑NEOを見ると,ウスキツバメエダシャクのようです。
さらに詳しく調べようと,保育社『原色日本蛾類図鑑(上)』(1971年)を見ると,ウスキツバメエダシャクに似た種類がいくつも載っています。

フトスジツバメエダシャク,ウスキツバメエダシャク,ノムラツバメエダシャク,コガタツバメエダシャク,シロツバメエダシャク,ヒメツバメエダシャク。

簡単にウスキツバメエダシャクと断定はできないようです。
いろいろと見比べた中で,最終的に候補として残ったのは,ウスキツバメエダシャクとフトスジエダシャクです。

フトスジエダシャクについて同書には,次のように書いてありました。

開張♂38~50mm,♀49~52mm。顔面は灰褐色。横線も灰褐色で,太い。次種を参照。東京付近の山地では6月上旬~7月上旬及び8月中旬に出現し,第2回目のものはやや小さい。筆者の観察では,東京都高尾山では本種の第1回目の出現期には次種と混ざってとれるが,第2回目のときは次種はとれない。関東や中部山地(たとえば軽井沢)にも産する。分布:北海道・本州・四国;アムール・ウスリー・トランスバイカル・ウラル。この属では♂♀とも触角は絲状。前翅の脈10・11は一致するか又は長い柄から分れ,12と結合又は接触する。

ウスキツバメエダシャクについては,次のように書いてありました。

 開張♂37~48mm,48~52mm。顔面は燈褐色。横線は前種より細く,一層燈色をおびる。後翅の外縁部はやや黄色味をおびることが多く,縁毛は赤褐色。♂交尾器:グナトス(gnathos)の中央部にある舌状部は前種では先細で,末端がゆるやかに丸味をもつが,本種では幅広く,末端の部分は平らに近い。東京付近の平地・山地では5月下旬~7月中旬及び9月上旬~11月下旬に普通。中部山岳ではきわめて少い。食草はカシ類・サンゴジュ・エニシダ・エノキ・イヌガヤ・ソメイヨシノ・シダレヤナギ・イヌツゲ・ヒサカキなど。分布:北海道・本州・四国・九州・伊豆七島・対馬・屋久島・奄美大島・琉球(沖縄・西表島)。

フトスジエダシャクの顔面は灰褐色で,ウスキツバメエダシャクの顔面は燈褐色と書いてあります。
[写真4]に写っている顔面が灰褐色なのか燈褐色なのか。
両方を見比べたらわかりやすいのでしょうが,片方だけだとどう判断したらよいのかわかりません。

ただ東京付近の山地での出現期は,フトスジエダシャクは「6月上旬~7月上旬及び8月中旬」,ウスキツバメエダシャクは「5月下旬~7月中旬及び9月上旬~11月下旬」となっています。
東京と京都ではそんなに極端な違いはないでしょうから,今時分にいるのは,ウスキツバメエダシャクだろうと判断しました。