羽化に失敗したのでしょうか,セミの幼虫にアリがたかっていました。
中身だけが食べられて,抜け殻のようになっています。

それにしても大きなアリですね。
体長は1cmを超えています。
黒一色ではなく,胸の緋色がおしゃれです。
引きしまった体は,横から見るとドゥカティのよう。
ひょっとして外来種?と気になって調べてみると,名前は「ムネアカオオアリ」,主に森林にいる在来種でした。
北隆館『新訂 原色昆虫大図鑑3』(2008年)には,ムネアカオオアリについて次のように書いてありました。

働きアリは多型で体長7~12mm。体は2色性で,胸部から腹部第1節前方部までは暗赤から赤褐色,ほかは黒色。林内の木材や立木の腐朽部などに営巣。北海道・本州・四国・九州・対馬に分布。本種に似たニシムネアカオオアリC. hemichlaenaは中国地方西部・ 四国の平地・九州の全域に分布し,前胸は全く黒色。羽アリは5~8月に飛び出す。

南方新社『アリの生態と分類―南九州のアリの自然史』(2010年)には,次のように書いてありました。

 体長は7~12mmでサイズは連続的に変化する。ニシムネアカオオアリに酷似するが,本種では前胸背板が赤い。体の構造ではニシムネアカオオアリと区別できない。両種の関係については再検討を要する。(オオアリ亜属)
 標高1,000m以上の森林で採集される。
 北海道から九州までの日本全土,大隅諸島,サハリン,千島に分布する。