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オオオナモミの棘

2016年10月4日

オオオナモミが大きな実をたくさんつけています。[写真1]
実に生えているあのトゲトゲは,一体どんな風にしてでき上がってゆくのでしょうか。
以前から気になっていました。
蕾から観察して,確かめてみました。

[写真2]は,葉腋から頭を出したばかりの蕾。(9月6日)
[写真3]は,その10日後。(9月16日)
花軸が伸びて,上部に丸いボール状になった雄花,下部に筆先のような小さな雌花がついています。
[写真4]は,さらに9日後。(9月25日)
雄花から,ところどころ葯が飛びだしています。
雌花も大きくなり,棘に覆われています。
すでにこの時期から,あのトゲトゲを身にまとっているのですね。。

[写真5]は,2日後。(9月27日)
雌花というか,実が急速に大きくなっていて驚きました。
大きさは,すで成熟した実と同じ程度になっています。

[写真1]は,今日の状況。(10月4日)
雄花は役割を終えて,もうまばらにしかついていません。
実はふくらみ,棘の一本一本が際立ってきています。
しかしまだ棘は柔らかく,つまんでも痛くありません。

オオオナモミは「大」オナモミで,大きなオナモミの意です。
オオオナモミは昭和の初め頃に国内で初めて記録された,メキシコ原産の外来種です。
日本に古くからあったオナモミも有史前外来種だったのですが,現在では全国的に姿を消し,新しい外来種のオオオナモミが取って代わっています。(京都府レッドデータブックでは,オナモミは「絶滅種」とされています。)

清水建美編『日本の帰化植物』(2003年)には,オオオナモミについて,次のように書いてありました。

野原や市街地の空き地,河川敷,路傍に生える一年草。茎は短毛があってざらつき,高さ50 – 200cm,紫褐色を帯び,稜がある。葉は広卵形で,長さ5 – 15cm,幅4.5 – 15cm,ふつう3個,ときに5個に中ほどまで裂け,基部は心形,縁は不規則な重鋸歯状で裂片の先は尖り,表面は細かい毛があり,裏面は突起状の短毛があってざらつく。花期は9 – 12月。雌雄同株。雄頭花は葉腋から出る短い円錐花序をなし,雌頭花は雄花序の下の葉腋につく。雄花は黄白色,雌花は淡緑色。いがは長さ15 – 25mm,幅10 – 18mm,頂端に長さ約5mmの2個の角があり,表面に先が曲がった長さ3 – 6mmの刺が密生し,果体の表面とともに細い毛がまばらにあって,鱗片状の毛はない。秋~冬に褐色に熟し,内部は2室,各室に1個の種子がある。

メキシコ原産といわれ,世界に広く分布している。 [渡来] 1929年に岡山県金光町大谷で吉野善介が記録した(備中植物誌)。 [メモ]オナモミⅩ.strumarium L.は,いがが長さ8 – 14mm,黄緑色~灰褐色に熟し,刺は長さ1 – 2mm。古くから知られているが,アジアから帰化したものとする考えもある。かつてオナモミが生えていたような所は,ほとんどオオオナモミばかりになり,姿が見られなくなっている。

・茎は短毛があってざらつき,高さ50 – 200cm,紫褐色を帯び,稜がある
[写真6]

・葉は広卵形で,長さ5 – 15cm,幅4.5 – 15cm,ふつう3個,ときに5個に中ほどまで裂け,基部は心形,縁は不規則な重鋸歯状で裂片の先は尖り
[写真7]は葉表面,[写真8]は葉裏面。

・表面は細かい毛があり,裏面は突起状の短毛があってざらつく
[写真9]は葉裏面の拡大。

・雄頭花は葉腋から出る短い円錐花序をなし,雌頭花は雄花序の下の葉腋につく
頭花(とうか)というのは,小さな花(小花しょうか)が集まって一つの花のように見えているものをいいます。
キクやタンポポの花のように,キク科の花の特徴です。
(意外なことに,オナモミのなかまはキク科なのです。)
ただ,オオオナモミの花は,風媒花であり,頭花は単性花であるところが,多くのキク科の花と異なります。
[写真3]を見ると,雄頭花は「円錐形の花序をなし」,雌頭花は「雄花序の下の葉脇」についているのがわかります。

・雄花は黄白色,雌花は淡緑色
[写真5]

[写真10]は,雄頭花。
[写真11]は,雄頭花断面。
[写真12]は,葯部分の拡大。
合生した花糸が筒状になり,そこから葯が出てきています。

[写真13]は,雌頭花。
[写真14]は,雌頭花断面。
[写真15]は,雌しべ部分の拡大。
雌頭花は,花冠のない,雌しべだけの雌小花2個からなり,合生した総苞片に包まれています。
表面のイガイガは,総苞片が変化したものです。

[写真16]は同じキク科のタンポポの総苞。
一見萼にみえるものが,花序を包む総苞です。
総苞の個々を総苞片といいます。
タンポポの総苞片も結構,細くて先が尖っていますね。
タンポポの総苞が花全体をすっぽりと包み,総苞片の一つひとつが棘に変化したと想像すれば,オオオナモミのトゲトゲの成り立ちも納得できます。

ネットに,茎の先端につくのは両性花だと書いてあるものがありました。
確かめようと思ったのですが,今の時期,先端の花はほとんど落ちてしまっています。
葉腋に小さく出ている花序をいくつか調べてみると,[写真17]のような花がありました。
雄性花と雌性花が混ざって生えているように見えます。
[写真18]は,その断面。
しかし,これを両性花といえるのでしょうか。

調べ始めると分からないことだらけ。
時間がかかりすぎるので,この辺でアップします。
後は宿題です。

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