• ユウゲショウ
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インクラインの線路脇にユウゲショウの花が咲いていました。
ほほ紅をさしたような,うす紅色の花は,「夕化粧」という名前と結びついて,記憶に残ります。 夏に咲く花なので,窓辺に寄りかかり,ゆっくりと団扇をあおぐ浴衣姿の女性といったものを連想させます。「夕化粧」という名前からは和風のイメージしかわかないのですが,この植物は明治になってから渡来した外来植物です。

保育社「原色日本帰化植物図鑑」(1976年)には次のように書いてありました。
『米大陸原産。別名アカバナノユウゲショウ。明治年間より観賞用に栽培されたという。本州中部以西の地に帰化,その範囲は広いが個体数は少ない。』
30年たち,個体数は増えていると思われます。

ユウゲショウの名は,夕方に花を開くことから名づけられように,花は夕方に咲くことになっています。
『夏から秋にかけて茎の上上部の葉腋に直径1.5cmほどの,淡紅色の4弁花をひとつ着ける。花は夜咲き。』(全国農村教育協会「日本帰化植物写真図鑑」)
『高さ30センチ前後になる多年草で,直径1.2センチほどの淡紅色から紫紅色の花をつけ,翌日しぼむ。』(「朝日百科 植物の世界 4」)

しかし,昼間も咲いていることが多いようです。性質が変化してきているのでしょうか。

ユウゲショウが属するアカバナ科マツヨイグサ属の花は,夕方に咲くものが多いそうです。
『マツヨイグサ属のマツヨイグサ(松宵草)や,ツキミソウ(月見草)のそれぞれの和名は,夕方に花が開くところからつけられた。英名は夕暮れに咲くサクラソウの意味の「イブニング・プリムローズ(evening primrose)」。この属の多くの種はたそがれどきに,ヒルザキツキミソウOenotbera speciosaなど一部の種は昼間に咲く。』(「朝日百科 植物の世界 4」)

雌しべの先は4つに割れていて,裂片は不釣合いなほど大きく,傘を開くようにはりだしています。 そこに雄しべからでた花粉が糸を引いて絡み合っています。(写真2)
アカバナ科の植物は,糸をひく花粉が特徴のようです。
『アカバナ科は15種約650種からなる。花粉の表面模様や発芽孔の構造が特徴的で,花粉粒が粘着糸によってゆるくつながっている。』(「朝日百科 植物の世界 4」)

雌しべの先が8つに割れているものもありました(写真3)。写真4は雌しべだけにしたもの。同じ個体についている,別の花も同じく柱頭が8つに割れていました。