ノコギリカミキリの雌が地面の上でじっとしていました。[写真1]
何をしているのでしょうか。
ノコギリカミキリの名は,触角が鋸歯状になっていることに由来します。
雄の触覚の方が雌よりも太くて,よりノコギリを連想させます。
[写真3]の上は今回の雌の触覚。下は雄の触覚。
北隆館「日本昆虫図鑑」(昭和31年版。すこし古いですが)によると
『触覚は12節で鋸歯状,第3節最も長く,各節は点刻されるが第8節以下のものは血脈状の皺襞となる。雌の触覚は細く体半を少しこえる程度であるが雄は太くて長い。』
雄と雌の違いは,触覚のほかに
・体は雌のほうが大きい。
・雌の腹端は翅端をこえている。
ノコギリカミキリを手に持つと,キーキーと鳴きます。
シロスジカミキリなどの大形のカミキリは,前胸と中胸をこすり合わせて音を出しますが,ノコギリカミキリの音を出すしくみはすこし違います。
後肢の腿節を上翅のふちにこすって音を出します。[写真2]
でも,この音を出すしくみは自然界で役にたっているのでしょうか。
ノコギリカミキリを手にもつと,はげしく肢をばたつかせるので,後肢と上翅のふちがこすれ合わさって,偶然に音がでているような気がします。
自然界で音を出すとすれば,木にとまった姿勢で,肢を動かすか体を上下させるとかしているのでしょうか。
鳴く虫はたくさんいますが,ほとんどは雄だけしか鳴かず,雄が雌に自分のいる場所をしらせていると考えられています。
ノコギリカミキリの音は,雄も雌も出します。
なんらかのコミュニケーションの手段として音を使っているのだとしたら,音を感じる器官がどこかにあるはずですよね。
ノコギリカミキリにそうした器官があるのでしょうか。
捕まえたノコギリカミキリを少しの間タッパーにいれておいたら,いつの間にか3mm程の大きさの,黄色い長楕円形のものが2個あるのに気づきました。[写真4]
卵でしょうか。かわいそうなので,すぐに離してやりました。