ミョウガの葉の上にゴマダラカミキリがいました。[写真1][写真2]
たまたま居ただけで,ミョウガの葉を食べているわけでありません。
ゴマダラカミキリの成虫はヤナギ,イチジク,ミカンなどの木の樹皮や葉をかじって食べます。
幼虫はこれらの木の幹の中で材を食べて育ち,羽化して外へ出た後もこれらの木の樹皮をかじります。
果樹栽培をしている人にとっては,ゴマダラカミキリは大悪人のようです。
保育社「樹木病害虫図鑑」には,ゴマダラカミキリの食害について次のように書いてありました。
『柑橘類の害虫として古くから知られ,幼虫が樹幹基部の材部に侵入し,内部を食い荒らし,食入孔より木屑をつぎつぎに外部へ排出する。蛹化がちかずくと下方の地際に移動し,樹幹の形成層を食害するので被害は急増し,樹勢がいちじるしく衰える。そのため葉は黄変し始め,落葉が増加し枯死することもある。また樹幹内部を食害されるため,幹は中空となり,強い風が吹くと折れやすい。
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本種の成虫による被害も幼虫に劣らず大きく,とくにヤナギ類ではしばしば大被害をこうむる。成虫が葉や細枝を食害するほか,枝の樹皮を環状に食害するので,その部分より先の枝は枯死する。』
子どもの頃,近所にあるイチジクの木にゴマダラカミキリがいました。
夏休みの朝,その木を見に行くのが日課でした。
行くと必ずゴマダラカミキリがいるのです。(そんなはずはないのですが,記憶としては行くと必ずいました。)
ある日,捕まえたカミキリを家に持ち帰り眺めていると,いつものゴマダラカミキリとすこし違う感じがします。
同じように黒い翅に斑点がありますが,どこか変です。
それに気づいた時,どういうわけが気持ち悪い感じがしたのを覚えています。
今から考えると,あれはキボシカミキリだったのではないかと思います。[写真3]
一匹のゴマダラカミキリに食害されるだけで枯れる木もあるそうです。
このイチジクの木もいつの間にかなくなっていました。
2007/8/2 追記:
阿達直樹著「昆虫の雑学事典」に,ゴマダラカミキリがアメリカで猛威をふるっているという記事が載っていました。
『遠く離れたアメリカで,このゴマダラカミキリは大変な問題になっています。
ニューヨークのセントラルパークで繁殖したゴマダラカミキリが発見された1996年以来,4000本もの木を枯らしてしまいました。
広いアメリカならではの言葉に”coast to coast”というのがありますが,まさにこの言葉があてはまるようにアジアから梱包材とともに移入して10年間で,ニューヨークからカリフォルニアまで,すなわち西海岸まで14州にも及んで被害を与えています。』