• ツルウメモドキ
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ツルウメモドキの実。
この場所のツルウメモドキは数年前にバッサリと切られていたのですが,また勢いを取り戻しました。

ツルウメモドキについて「牧野新日本植物図鑑」(1960年)には,次のように書いてありました。
『雌雄異株。花は小形で黄緑色をしていて腋生した短かい集散花序に群生する。5月に開く。5個あるがく片は卵形。花弁も5個あり卵状長楕円形をしている。雄花は5本の花糸の長い雄しべをもつ。雌花は5本の短い雄しべと,柱頭が三つに分かれた雌しべをもつ。果実は球形のさく果で秋に熟して3枚のからに裂ける。種子は赤黄色の仮種皮をかぶっている。果実が裂けて黄赤色の種子が露出した枝を生花に使う。』

「種子は赤黄色の仮種皮をかぶっている。」と書いてあるように,赤い部分は「仮種皮(かしゅひ)」と呼ばれています。
「仮種皮」とは「花のときの胚珠の柄や胎座の部分などが発達して種子を包むようになったもの」です。

仮種皮が肥大化したなじみ深い植物としては,ライチやドリアンといった熱帯の果物があります。
ライチの食用としている白い果肉部分は,ツルウメモドキの赤い部分と同じく仮種皮といわれる部分です。
そういえば,ライチを食べていると,果肉がへばりつくことなく種がポロリととれますよね。食感も他の果物とは明らかに違います。

「果実は球形のさく果で秋に熟して3枚のからに裂ける。」とあるように,殻は3つに裂けていて,赤い仮種皮の部分も3つにわかれています。[写真1][写真2]
「さく果(蒴果)」とは,「子房が複数の心皮からなり,その数に合うように果皮が裂開する」ものをいいます。

[写真3]は実から取り出した,ツルウメモドキの種子です。
[写真5]は5月に咲いていた花(雌花)。
[写真4」は11月の果実。

花は目立たない小さな花です。
この場所にツルウメモドキがあることに気づいたのは,秋になって赤い実がたくさんなっているからです。実のならない雄株なら気づかなかったでしょう。
実がなっているということは,近くに雄株があるはずなのですが・・・。