石垣の間から,ヒメスミレの花が顔を出していました。
ヒメスミレは全体にスミレを小さくした様な花です。
スミレに似て小形であることから姫スミレの名がついています。
今まで単に小さなスミレと思ったいたものも,ヒメスミレの名を知ってから見ると,スミレとは違う種類なのだということがよくわかります。
スミレとの違いは
・スミレより小形。花の直径は,スミレが2cm前後なのに対し,ヒメスミレは1~1.5cm。ヒメスミレの花を見てからスミレの花を見ると,スミレの花がずいぶん大ぶりに見えます。
・スミレの葉がへら形なのに対し,ヒメスミレは三角状披針形。スミレの葉の方が細長い形をしています。
・スミレの葉柄に翼があるのに対し,ヒメスミレの葉柄には翼がほとんどありません。
・スミレの葉の裏面は白っぽい緑色なのに対し,ヒメスミレの葉裏は紫色をおびるものが多い。(スミレにも紫色を帯びるものがあるそうです)
・スミレの根が褐色なのに対し,ヒメスミレの根は白色。
「牧野新日本植物図鑑」(1970年)には,ヒメスミレについて次のように書いてありました。
本州から台湾にかけての人家近くのやや日当たりの良い場所を好む多年生の小草本で,無茎種であり,ふつう植物体には毛はない。根は白色で地中に深く入っている。葉は束生,葉身はほこ形の長卵形または長三角形で長さ2~4cm,基部は矢はず状の心臓形になるものが多く,深い緑色でやや光沢がある。葉柄は狭長で葉身より短い。4月に開花し,花柄は葉むらより高く伸び長さ10cmほど,中途に皮針形の包葉を2枚つける。花は濃紫でスミレに比べると大分小形で,横向きに咲き,径は10~12mmである。がく片は狭長でとがる。花弁は狭長で,側弁の内側には毛がはえ,唇弁の距は長さ3~4mm,ほとんど白色で紫の斑点が入っている。さく果は卵形で短かくとがり,断面はほぼ三角形,毛はなく,長さ7mmぐらいである。本種はスミレに近縁であるが,全体が小形,根は白色,花は小形,葉は矢はず状心臓形になるのでたやすく区別できる。