カラムシに花が咲いていました。
カラムシの花は単性で雌雄同株。
茎の上方に雌花の穂が,下方に雄花の穂がつきます。
[写真1]が雌花,[写真2]が雄花です。
おばなは黄白色でがく片4個,つき出したおしべが4個ある。めばなは淡緑色で小球状に集まり,それぞれ筒形のがくにつつまれ,花柱が1個ある。(牧野新日本植物図鑑1970年)
雌花は球状をしていて,白い棘のようなものがたくさんついていますが,上記の説明を読むと,棘のようなもの一つ一つが花柱で,それぞれが一つの花ということです。
雄花も雌花も花びらがなく地味な姿をしていて,どう見ても虫たちを誘惑しているようにはみえません。
カラムシの属するイラクサ科は,花粉が風によって運ばれる風媒花です。
風媒花の花粉は大量に飛散すると,花粉アレルギーの原因となります。
やはり,カラムシの花粉も花粉アレルギーの原因となることがあるそうです。
長崎県に比較的多いとか。
ちなみにイラクサ科には多くの種がありますが,みな地味な姿をしており,観賞用に栽培される種はほとんどありません。
「朝日百科 植物の世界」(1997年)には,カラムシについて次のように書いてありました。
ヤブマオの仲間には,葉が対生(たいせい)する上記の種のほかに,葉が互生(ごせい)するカラムシB.nivaがある。カラムシは葉の裏に白い綿毛がある点で,他のヤブマオの仲間から容易に区別できる。日本産のカラムシは,毛が斜上するクサマオと毛が開出するナンバンカラムシに分けられることがあるが,変異は連続しており,両者は区別できない。カラムシの茎は発達した繊維組織をもつので,日本から東南アジアにかけて繊維をとるために利用される。栽培される系統は,ラミーあるいはチョマ(苧麻)とよばれる。ナンバンカラムシの一部は,栽培されたラミーが野生化し,在来のカラムシと交雑することによって生じたものと考えられる。
[写真4]はカラムシの葉の裏側です。
白い綿毛が密生しています。
[写真5]はカラムシの葉につくられた,アカタテハの幼虫の巣です。
この辺りのカラムシは年に2回,きれいに除草されてしまうのですが,すぐに伸びてきて,葉を茂らせ,アカタテハが卵を産みつけます。
[写真6]は巣の中にいた,アカタテハの幼虫です。
カラムシの語源については,「牧野新日本植物図鑑」(1970年)には次のように書いてありました。
茎蒸の意味で,皮のある茎(カラ)を蒸して皮をはぎ取るからである。一名マオは真麻で真正の麻という意味である。