• キチジョウソウ
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キチジョウソウの花が咲いています。[写真1] [写真2]

キチジョウソウとは「吉祥草」と書き,めったに花を咲かせることがなく,咲くとその家に幸福が訪れるという古事からきています。

キチジョウソウの名前の由来について,「牧野新日本植物図鑑」(1970年)には次のように書いてありました。

〔日本名〕漢名の字音をつかったものである。この草は常には花がなく,若しその栽植している家に吉事があると花が開くという伝説から,吉祥とはめでたいことをいうので,吉祥草とつけたという。〔漢名〕吉祥草

平凡社「世界大百科事典」(1988年)には,次のように書いてありました。

和名はこの植物はめったに花をつけず,花をつけたときには吉事があるという言い伝えに由来すると言われる。このような言い伝えが生まれた理由の一つは,花が秋遅くに咲き,葉にかくれて目だちにくいことによるものであろう。

花茎の長さが葉よりかなり短いので,確かに目立ちにくいですね。

花茎の上部に雄花,下部に両性花をつけます。
ということは最初に両性花を咲かせ,次に雄花を咲かせることになります。
全部両性花でもよいと思うのですが,どうしてわざわざ雌しべを退化させた雄花を咲かせるのでしょうか。
わざわざではなく,必要ないから雌しべが成熟しないだけかな?

[写真3]は雌花,[写真4]は雄花。
[写真5]は雌花の断面。

「牧野新日本植物図鑑」(1970年)には,花の構造について次のように書いてありました。

晩秋葉束の間に短い花茎を出し,まばらに淡紫色の小花を総状につけ,直立するが葉よりずっと短い。花ごとに小花柄及び小包葉をつけ,花被片6個の下半は筒になり,上半は分れて外に反っている。花序の下部にある花は両性花で雄しべ6個と3室をもつ上位子房とがある。花柱は長く糸状でやくの上に出る。花序の上部にある花は雄しべ6本だけあり,花糸は糸状,やくは長い。花のあとに紅紫色の球状液果を結び,翌年になっても残っている。