• チビクワガタ
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家の中でチビクワガタを見つけました。

チビクワガタは,雄雌とも大顎が小さく,同じような姿をしています。
雌の大顎は雄に比べて「多少短太で基部にまで小歯がある」そうですが,この個体が雄雌どちらなのか分かりません。

チビクワガタの雄の大顎が,他のクワガタ類の雄のように大きく発達していないのは,成虫になっても朽木の中で生活していることに関係があるようです。

一般的にクワガタムシの雄の大顎が大きいのは,雄同士で戦うときに相手を挟んで投げ飛ばすためです。
雌は,産卵のために朽木に穴を開けなければならず,大顎が大きいとじゃまになるので,大きく発達していません。

チビクワガタの成虫は雄も雌も,朽木の中で生活しているので,それこそ大顎が大きいとじゃまになります。
大顎の発達していないチビクワガタの雄は,雄同士で戦うときどんな戦い方をするのでしょうか。
案外,相手を投げ飛ばすだけでない,もっと凄惨な戦いをするのかもしれませんね。

チビクワガタの生態には,他のクワガタムシと少し違う特徴があります。

一つは,肉食だということ。
クワガタムシは樹液をなめている草食系のイメージがありますが,チビクワガタは肉食なのです。
カブトムシの蛹を集団で襲うこともあるそうです。

二つ目は,集団で暮らし,アリのような(アリ程ではないですが)社会性があるということ。
幼虫は自力で朽木をかじることができないので,親が朽木をかじって与えるそうです。

保育社『原色日本甲虫図鑑(Ⅱ)』(1985年)には,チビクワガタの特徴について次のように書いてありました。

9-15mm.眼縁突起は前方で角ばり側縁は縦に裁断状で前方にひろがる.頭楯中央に深い切れこみがあり,その両側は鋭く歯状に突出.顔面の中央はくぼみ,複眼の内側に上方に向く鋭い隆起がある.大あごは♂♀の差がほとんどないが,♀は♂にくらべ多少短太で基部にまで小歯がある.前胸背板の点刻は粗大で不整一,両側と中央の縦溝部のみに集中し,他は無点刻で光沢がある.中央の縦溝は深く,粗大な点刻を中央部に集中する.側縁は上反し,両側ほぼ平行,段刻はない.前縁に沿って横に隆起し,その中央は縦溝の前で鋭く突出する.上翅の縦条は浅く,点刻列は融合しない.脛節の外刺は,中脛節3~4,後脛節2.ほぼ一年中見出され,広葉樹の朽ち木中にすむ.本州(中部以西),四国,九州,伊豆諸島.