• クロガネモチ
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南禅寺の境内にあるクロガネモチに,赤い実がたくさんついています。[写真1]

モチノキとばかり思っていましたが,調べてみるとクロガネモチでした。
モチノキとクロガネモチは,革質の葉も赤い実もよく似ています。
一番大きな違いはモチノキの方が実が大きいことです。
モチノキの実は1cm程の大きさがあるのに対して,クロガネモチの実は半分の5mm程の大きさしかありません。

『牧野新日本植物図鑑』(1970年)には,クロガネモチについて次のように書いてありました。

 関東以西の本州,四国,九州など暖地の山地に分布する雌雄異株の常緑高木.高さは10m位にもなる。互生の葉は広楕円形で長さ5~8cm,幅3.5~4.5cm,毛はなく平滑で革質。全縁であり,先端は鈍く尖るか,あるいは鋭く尖っている。基部は鈍くとがり,葉柄は長い。葉は乾くと黒っぼい色になる。5月頃,小さく淡紫色をした花を開く。これは単性花で柄をもった集散花序をしていて,腋生。花序は葉より短かい。がく片は4~5,浅裂し,裂片は広い三角形をしている。花弁は4~5個,楕円形でがくよりも長い。雄しべは4~5本ある。これは雄花では花弁と同じ長さであり,雌花では小形である。雌花では,雌しベの子房は緑色で球形をしている。核果は小さく,集まってつき,球形で熟すと赤くなり,しばしば枝一杯になり美しい。実の直径は3~5mm位である.〔日本名〕黒鉄モチは,黒みがかった枝や葉の様子に基ずいてつけられたものであろう。あるいは乾くと鉄色になるのをいったものか。

・「雌雄異株の常緑高木」なので,実は雌株にしか生りません。
庭木には実のなる雌株が植えられることが多いようです。

・「高さは10m位にもなる」
かなり大きくなり,樹形もいいですね。[写真4」[写真5]

・「葉は広楕円形」「毛はなく平滑で革質」「全縁」「先端は鈍く尖るか,あるいは鋭く尖っている」。
モチノキの葉が倒卵状楕円形なのに対して,クロガネモチの葉は少し丸い広楕円形です。[写真3](スキャナーで読み込んだので,先端が折れ曲がってしまいました。)

・「核果は小さく,集まってつき,球形で熟すと赤くなり,しばしば枝一杯になり美しい。実の直径は3~5mm位である」
大きな木になるほど,実のつき方も良いようです。[写真2]

・「黒鉄モチは,黒みがかった枝や葉の様子に基ずいてつけられたものであろう」
「モチ」の名は,樹皮から「とりもち」をつくることからきています。
モチノキからとれる「とりもち」より品質がやや劣るため,モチノキからとった「とりもち」を「本もち」というのに対し,コガネモチからとったものを「青もち」というそうです。