チャタマゴタケが出ていました。[写真1][写真2][写真3]
きれいな個体です。
おいしそうです。
実際おいしいらしく,図鑑には「こっくりとしたうま味のあるだしが出る」などと書いてあります。
しかし,テングタケのなかまは皆よく似ていて猛毒を持つ種類も多いので,同定誤りだった時のことを考えて,食べるのは控えています。
以前は図鑑で「可食」となっていれば,とりあえず試食してみる「方針」でしたが,今はあまり食べなくなりました。
天然のキノコであるからといって栽培されているキノコよりおいしいとは限らないこと,以外に毒をもつキノコが多いこと,虫食いのないきれいなキノコが少ないこと,土壌汚染や発生木に消毒がなされている可能性があることなどが理由ですが,キノコに対する好奇心がすこし薄れたこともあるかもしれません。
市販されていないキノコを数種類,わが家の定番として毎シーズン採取できればいいかなと思っています。
初めて,この場所でチャタマゴタケを見つけたのは6年前の2004年8月でした。(→2004年8月21日)
黄色いのでキタマゴタケだと思っていました。
キタマゴタケは,京都での発生は少なく,京都府レッドデータブックでは「絶滅寸前種」となっている稀少種です。
確認のために,キノコに関する掲示板をやっている京都府立大学の先生にメールで問い合わせたところ,わざわざ見に行ってくれて,チャタマゴタケの黄色系だという回答をいただきました。
(今回,その掲示板を探したのですが,なくなっているようです)
『山渓カラー名鑑 日本のきのこ』(1995年)には,チャタマゴタケについて次のように書いてありました。
タマゴタケの1亜種とみなされるもので,外形は基準亜種とほとんど同様であるが,色彩がいちじるしく異なる。すなわち傘は暗褐色~帯褐オリーブ色で周辺部は帯紅色,帯黄色,または蜜色,柄は黄色の地に橙色または帯褐色のだんだら模様を有する。つばは帯紅橙色~帯褐色。
夏~秋,主としてシイ・カシ林に発生するが,まれ。東南アジアから日本の暖帯にかけて分布,日本では沖縄・熊本・京都の諸府県で採集されている。
「タマゴタケの1亜種」となっていますが,現在ではDNA分析の結果,タマゴタケ,キタマゴタケ,チャタマゴタケはそれぞれ別種とされているようです。
京都府レッドデータブックには,次のように書いたありました。
タマゴタケ(A.hemibapha)は傘の色が赤色~橙赤色、チャタマゴタケ(A.similes)は傘の色が暗褐色で類似した形態からタマゴタケの亜種とされていたが、現在は互いに別種扱いとされている。
「主としてシイ・カシ林に発生するが,まれ。」と書いてありますが,九条山,南禅寺あたりで見るのはチャタマゴタケばかりで,かえって赤色のタマゴタケは見たことがありません。