庭のホトトギスの葉にルリタテハの幼虫がいました。[写真1][写真2]
となりの丸裸になった茎には,蛹がぶら下がっています。[写真3]
幼虫はその日の夜に前蛹[写真4:左]となり,翌朝には蛹[写真4:右]になっていました。
[写真5]は,蛹になる際脱ぎ捨てられた,幼虫のぬけがらです。
ルリタテハの幼虫は毒々しい色をしているうえに全身に棘があります。
いかにも刺されると痛そうですが,毒はなく触っても大丈夫です。
タテハチョウのなかまには,幼虫に棘があるものが多くいます。
いずれも棘に毒はありません。
[写真6]はタテハチョウのなかまの幼虫。
上がアカタテハ,中がツマグロヒョウモン,下がミドリヒョウモン。
学習研究社『日本産幼虫図鑑』(2005年)には,ルリタテハの幼虫の特徴について次のように書いてありました。
胴部の地色は紫黒色で橙色(とうしょく)の模様があり,黄白色の棘条突起(きょくじょうとっき)が目立つ。棘状突起数は044・7,7,7,7,7,7.7,7,2,2=68本。体をJ~C字状にして葉裏にとまるさまは,サルトリイバラ類の花に擬態しているようにみえる。全幼虫期を通じ葉裏生活。若齢は孔(あな)あけ食痕(しょっこん)をつけるが,中齢(ちゅうれい)以降は葉縁から摂食する。卵は葉の表裏,新芽,若茎に1卵ずつ産みつけられ,緑色から暗緑色に変わる。縦条は10本前後。蛹(さなぎ)は頭部に1対の角状突起があり,南西諸島産はその湾曲度が著しい。
「体をJ~C字状にして葉裏にとまるさま」というのは,[写真2]の様子です。
「サルトリイバラ類の花に擬態しているようにみえる」と書いてあります。
サルトリイバラの花に見えるかどうか別として,少なくともホトトギスの花には見えませんね。
食草は,サルトリイバラやホトトギス,オニユリ,ヤマユリ,カサブランカ,サルマメなどのユリ科植物です。