• ツマグロヒョウモン
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スミレのまわりに,羽化したツマグロヒョウモンが飛び回っています。

ツマグロヒョウモンの幼虫は各種スミレ類を食草として育ちます。
野生種のスミレだけでなく,パンジーなどの園芸種のスミレにも卵を産むので,人目によくつきます。

幼虫は[写真5]のように,一見毒のありそうな毛虫なので,退治されてしまうことも多いと思います。
刺には毒はなく,刺すこともありません。

[写真1][写真2]は,ツマグロヒョウモンの翅を雄と雌で比較したもの。
雌は,前翅の先半分ほどが紫黒色で,その中に白い帯が横切っています。
この翅模様はカバマダラにそっくりで,毒のあるカバマダラに擬態しているといわれています。

ツマグロヒョウモンの「ツマ(褄)」とは「着物の端(つま)」の意で,羽の両端が黒くなっていることに由来するそうです。
「着物の端(つま)」とは,着物の裾(すそ)の両端をいいます。
花嫁さんや花魁が着物の裾をつまみあげている姿を想像してください。
あのつまんでいる部分がツマです。

私は今まで,雌の前翅の先が黒くなっていることから「ツマグロ」というのだろうと思っていましたが,よく考えてみると,蝶の翅を着物に例えるとしたら,前翅は袖(そで)にあたりますよね。
裾(すそ)に当たるのは,後翅の縁です。

そう思って,あらためて[写真2]を見ると,確かに雄も雌も,後翅の縁が黒くなっています。
「ツマグロ」の名は,雌の前翅先端が黒くなっているからではなく,雄も雌も後翅の縁が黒くなっているからのようです。
雄も「ツマグロ」だったのです。