家の中にムカデがいました。
頭が朱色なので,トビズムカデでしょうか。
体長は7cmほど。
トビズムカデは大きなものでは,15cm~20cmにもなるそうです。
我が家では,ムカデ退治に殺虫剤ではなく冷却スプレーを使っています。
冷却ガスを吹きかけると一瞬でムカデの動きが止まりますし,殺虫剤のように油分で周囲を汚すこともありません。
(体が無傷なので,駆除後の観察にもむいています。)
殺虫用の冷却スプレーは,バルサンの『氷殺ジェット』が最初の商品でしたが,ガスに引火する事故が続き,突然販売中止となりました。
その後,フマキラーから『瞬間凍殺ジェット』という同様の商品が販売されているので,これを使っています。
トビズムカデについて,平凡社『世界大百科事典』(2005年)には,次のように書いてあります。
オオムカデ科の1亜種で,日本で最大のムカデで休長15cmになるものがある。頭は濃褐色(とび色)で,両側に各4個ずつの単眼がある。胴節は21対の歩肢をもち,背板は黒色を帯びた暗緑色。歩肢は黄色か淡褐色。青森~沖縄に分布し,ムカデというとこれか近縁のアオズムカデS.s.japonicaをさすことが多い。
肢の数を数えてみると,「21対の歩肢」というのは,先頭の小さな肢と,最後尾の曳航肢を含めた数のようです。
曳航肢とは最終節にある尾脚で,歩行には使用されず,触角のように動かして敵を惑わし,頭部を守る役目があります。
確かに,曳航肢が動いていると,一見どちらが頭か尻尾かわかりません。
ムカデに「刺される」とも「噛まれる」とも言いますが,「刺される」という言い方には,曳航肢で「刺される」という誤解があるようです。
曳航肢には刺も何もないので,刺されることはありません。
正確には「噛まれる」で,頭部にある顎肢(がくし)で噛んで毒を注入します。
顎肢は,肢が変化したものです。
[写真2]をみると,肢と同じ形をしていて,肢が徐々に変形していったことは想像できるのですが,毒を注入する機能まで獲得するとはいうのは,不思議ですね。