次男が町内の道で,不思議な人物とすれ違ったそうです。
背の高い外国人のような男の人が,イノシシを担いでいたというのです。

すれ違った後,はっと気付き,ケータイで撮った後姿が[写真1]です。
古いケータイの写真なので,画像のサイズが小さくて,はっきりしません。

町内にイノシシはよく現れるものの,今までイノシシを捕まえたという話は聞きません。
私も何度もイノシシに遭遇していますが,遭うとまず身の危険を感じて,とても捕まえようという気にはならないものです。
彼は,素手でどのようにして,イノシシを捕まえたのでしょうか。

日常と非日常が一瞬交錯するような不思議な感じ。
次男が学校に着くとすぐに,この不思議な男の話をみんなにしたのは間違いないでしょう。

イノシシに遭遇した話といえば,10年ほど前にこんなことがありました。

朝のランニングの帰り,疏水脇の道[写真2]を歩いていた時のことです。
50mほど前方の斜面を,ガサガサと音をたてながら,何かが上ってきます。
立ち止まって見ていると,姿をあらわしたのはイノシシでした。

イノシシは,辺りを見回し,私に気付いたようです。
狭い道です,突進してきたらどう逃げようかと考えていたところ,イノシシは突然,反対方向へ猛烈な勢いで走りだしました。
しかし,前方に再び何かの気配を感じたのでしょうか,今度は急に直角に曲がり,水路を一気に飛び越えたのです。
水路の幅は2mほどあるでしょうか。
「猪突猛進」という言葉は,脇目もふらず真っすぐ前に突き進む例えに使われますが,イノシシもなかなか俊敏な動きをするものです。
あのスピードで,直角に曲がり,水路を飛び越えるとは。

飛び越えた先には,急な山の斜面が続いています。
イノシシの姿を探しましたが,すでにどこかに逃げ去ったのか,姿は見当たりませんでした。
ところが,ふと疏水の水面を見下ろすと,さっきのイノシシが疏水にはまっているではないですか。
水につかったイノシシが,助けてくれといった顔をして,必死に見上げています。
疏水を飛び越えるのに失敗していたのです。

と言われても,これから出勤しなければならず,かわいそうですが見捨てることに。
このまま流されると,南禅寺水路閣,哲学の道をとおって,銀閣寺のあたりまで流されることになります。
そのうちだれかが見つけて,助けるでしょう。

数日後の京都新聞に記事が載っていました。
「南禅寺で大捕り物」の見出しで,南禅寺境内の疏水に大きなイノシシが流されているのを住職が見つけ,警察官も出動して助けたという内容です。

落ちたところから200mほどしか流されずに,助けられたようです。
助けられたイノシシは山に放されたそうなので,めでたしめでたしの結末,だったのでしょうか。