ヌルデの花にヤマトシジミがとまっていました。[写真1]
いかにも吸蜜しているように見えるのですが,口吻が伸びていません。
気温が低くて,体を動かすことができなかったようです。
逃げることもなく,簡単に手で捕まえることができました。
ケースに入れても動かずに,じっと底にとまっています。
ひょっとしたらこのまま成虫越冬するのかなと思っていたところ,3日程したら死んでいました。
図鑑で調べると,ヤマトシジミは成虫で越冬するのではなく,幼虫で越冬するようです。
保育社『原色日本昆虫生態図鑑(Ⅲ)チョウ編』(1972年)には,ヤマトシジミの周年経過について次のように書いてありました。
本州のやや寒冷な地域では終齢幼虫で越冬することが多いが,九州の温暖な地域では各齢の非休眠の幼虫で越冬する。南西諸島では冬にも個体数は少ないが成虫が飛んでおり,周年発生をくりかえしている。本州中部の低地では4月から11月上旬ごろまで成虫が見られ,年5~6回の発生をするものと思われる。秋に気温の低い日が訪れると急に成虫は姿を消す。
[写真2][写真3]は,翅の両面をスキャンナーで撮影したもの。(後翅の一部が切れています。)
翅表全体が暗褐色をしているので,この個体は♀です。
ヤマトシジミは翅裏は♂♀とも同じ模様ですが,翅表の模様は♂♀で大きく異なります。
♂の翅表は水色をしています。[写真4]
北隆館『新訂 原色昆虫大図鑑 第1巻』(2007年)には,ヤマトシジミの♂♀の区別点について次のように書いてありました。
♂の翅表は青色~淡青色,翅表外緑の黒帯は季節により変化する。 ♀の翅表は一様な暗褐色または基部から多少の青色鱗が広がる。裏面は白色,灰白色または淡褐色で,外縁やその内側に黒点列が並ぶ。