咲き誇るサクラに隠れるように,カツラの花がひそかに咲いていました。
3月下旬,サクラよりは幾分はやく花を咲かせます。
裸花で花被はありません。

『牧野新日本植物図鑑』(1961年)には,カツラの花について次のように書いてありました,

雌雄異株で5月頃葉よりも早く包につつまれた花を葉脇に1個つける。裸花で花被はない。おばなにはおしべが多数あり,花糸は極めて細く,やくは線形で紅色である。めばなは3~5個のめしべからできていて,柱頭は糸状で淡紅色である。

「5月頃」に花をつけるとあります。
毎年開花は3月下旬から4月上旬なので,ひょっとしたらこの木はカツラではないのではないかと疑ってしまいましたが,ネットで花の画像を調べてみると,西日本の開花時期は4月上旬が多いようです。

「雌雄異株」で,雌株には雌花だけが,雄株には雄花だけが咲きます。

雌花は,「3~5個のめしべからできていて,柱頭は糸状で淡紅色」。[写真2]
[写真3]は[写真2]の苞を取り除いたもの。
4本のめしべの基部に子房があります。
それぞれの子房がふくらんで,房状のバナナのような果実になります。[写真8]
[写真4]は花柱。

雄花は「おしべが多数あり,花糸は極めて細く,やくは線形で紅色」。[写真5]
[写真6]は[写真5]の苞を取り除いたもの。
[写真7」は葯。