雨上がりの朝,歩道上に大きなミミズがいました。[写真6]
しばらく歩いていると,また同じような大きなミミズが。[写真1]
同じ種類だろうと思っていましたが,環帯の色が違います。

図書館で図鑑を捜すと『ミミズ図鑑』(石塚小太郎著)という,そのままのタイトルの本がありました。
昨年発行されたばかりの本です。
同書の「はじめに」を読むと,この本が発刊されるまではミミズの名前を調べるための図鑑はなかったそうです。
石塚小太郎著『ミミズ図鑑』(2014年)

名前のある種は少数で名前のない種が多数であることから,日本に生息するフトミミズは種の多様性に富み,その種数は相当数になることは明らかであり,その種数は500種以上と推定できる。しかし,名前がついているフトミミズはその2割前後と推定されるのが現状である。また,名前がついたフトミミズの種名を知るための『ミミズ図鑑』の類は発刊されておらず,ごく身近に分布する名前のついた普通種の種名すら,同定困難な現状である。本書は実際に使える図鑑となるように編集したが名前のついたフトミミズでも限られた1地域のみに生息すると思われるものは多数除外してある。したがってこの図鑑に掲載したフトミミズの種数は名前がついたフトミミズ(記載種)の約半数であり,名前のない未記載種を含めれば1割にも満たか,といえる。

日本の陸生大型ミミズは主としてフトミミズ科,ツリミミズ科,ジュズイミミズ科の3科に分けられます。
さらにこの3科のうちフトミミズ科が95%以上を占めるとか。
フトミミズ科の特徴は,環帯が環状で,第14~16体節を占めること。

2匹の体節を数えてみると,どちらも口から環帯までの体節は13節です。[写真2][写真5]
2匹はフトミミズ科で間違いないようですが,種名までは写真だけで同定することは無理なようです。

一応,[写真1]~[写真3]はヒトツモンミミズ,[写真4]~[写真6]はイイヅカミミズではないかと思います。

雨上がりの朝に路上にはい出たミミズを見かける理由について,朝日百科『動物たちの地球』(1994年)には,次のように書いてありました。

ところで,雨上がりの朝,たくさんのミミズが舗装道路の上で半分乾いているのをよく見かける。これは,強い雨が降るとミミズのすみかに雨水がたまり,その雨水に二酸化炭素が増えるため地上に逃げ出すからである。付近に土があれば日の出前に再び穴を掘ってもぐりこめるが,運悪く舗装された場所であると夜が明けても逃げ場がなく,太陽の紫外線によって死につながることになる。