苔の地面が,そこだけこんもりと盛り上がっていました。[写真1]
苔をはがすと,中は空洞で,白いキノコが2本はえていました。
地中からはえるキノコの傘が,地表を覆っていた苔をそのまま持ち上げてしまったようです。

シロハツでしょうか。
それともシロハツモドキか。
両者はよく似ていて,よくわかりません。
地面から生える白いキノコとしては,ツチカブリやツチカブリモドキ,ケシロハツ,ケシロハツモドキなどもよく似ています。
いずれにしても食用にならないので,あまり積極的に調べる気がおきません。

『山渓カラー名鑑 日本のキノコ』(1988年)には,
シロハツについて,次のように書いてありました。

傘は径9~13(20)cm,中央がくぼんだまんじゅう形から生長してじょうご形となる。表面は平滑,白色,のち汚黄土色を帯びる。ひだはやや垂生し白~クリーム白色,やや密。柄は2 ~ 4cm×18~30mm,太短く,白色,ひだの付近はやや青緑色を帯びる。肉は白色でかたく,ほとんど無味であるがあと味が辛い。

夏~秋,針葉樹林及び広葉樹林内地上に発生。食。

シロハツモドキについては,次のように書いてありました。

傘は径6~20cm,中央のくぼんだまんじゅう形からじょうご形に開く。表面は粘性なく,白色,古くなると汚黄土色を帯びる。ひだはきわめて密で幅狭く白色,のちクリーム色から黄土色となる。柄は3~6cm×12~20mm,太短く,白色。肉はかたく,白色。夏~秋,シイ・カシ・コナラなどの広葉樹林内に多数が群生~散生。本州以南の暖帯林にきわめて普通にみられる。人によって多少中毒するというから要注意。

上記によると相違点は,
・ひだが,シロハツは「やや密」,シロハツモドキは「きわめて密」。
・シロハツの柄は,「ひだの付近はやや青緑色を帯びる」。
・発生場所は,シロハツが「針葉樹林及び広葉樹林内地上」,シロハツモドキが「シイ・カシ・コナラなどの広葉樹林内」

・ひだ……図鑑の写真と[写真3]を見比べると,シロハツに近いと思われます。
・柄……[写真3][写真7]を見ても,青緑色を帯びているようには見えません。
・発生場所……まわりにはアカマツが生えています。発生場所からいうとシロハツでしょうか。

全体的に考えると,柄の青緑色は確認できませんでしたが,シロハツではないかと思います。(青緑色を帯びていないのは老菌のためでしょうか)