南禅寺参道のロープに,2頭のガガンボがとまっていました。[写真1]
オスとメスのペアのようです。
交尾を終えたあとなのか,腹端は結合していません。

体の大きさには,かなりの差がありますね。
大きい方の腹端に産卵管があることから,こちらがメスで,小さい方がオスです。
[写真8]はメスの腹端,[写真6][写真7]はオスの腹端。

2頭ともポリ袋に入れて持ち帰りました。
しばらくして中を覗いてみると,1mmほどの大きさの黒くて細長い卵のようなものが,たくさん散らばっていました。
卵でしょうか,それとも糞?

そういえばガガンボがどこで卵を産み,どうやって育つのか,全然知りません。
カならば水中に卵を産みつけ,やがてボウフラになることは誰でも知っているのですが。
姿が似ているので,なんとなくカと同じ生活史をたどっているように思ってしまいます。
平凡社『日本動物大百科 9』(1997年)には,ガガンボの生活史について次のように書いてありました。

ガガンボ科は種数が膨大なだけでなく,生活史,なかでも幼虫の生息環境がきわめて多岐にわたり,陸生,半水生,水生の幼虫がいる。

幼虫の食性も多岐にわたる。水生および土中生のものの多くは,藻類や腐敗植物質を食べるが,先に述べたキリウジガガンボのように生きたイネの根をかじるものもいる。オビモンガガンボ族や多くのクロヒメガガンボ族の幼虫は捕食性である。潮間帯や汽水に生息するものは海藻を食べる。朽ち木内,キノコ上,蘚苔類上,植物葉上にすむものの多くは生息場所そのものを餌としている。

ガガンボ科の成虫は概して短命で飛翔力に乏しいため,成虫の生息場所はふつう,その種の幼虫の生息場所近くに限られている。

一様ではなく,多種多様なのですね。
幼虫の生活場所も水の中や,土の中や,種類によって様々。
当然,卵を産みつける場所も種類によって違うはずです。
心ならずもポリ袋の中で産卵してしまったこのガガンボは,本当はどこに卵を産むつもりだったのでしょうか。

ガガンボ類は種数が膨大で,素人に同定はできないと最初からあきらめていましたが,色々調べていると,マダラガガンボかなという気がしてきました。
一応マダラガガンボということにしておきます。
北隆館『新訂原色昆虫大図鑑3』(2008年)には,マダラガガンボについて,次のように書いてありました。

体長30mm前後。翅長22mm前後。翅に比べて腹部の著しく長い大型のガガンボで,平地から低山地で5月~7月頃普通に採集される。