道のまん中にジョロウグモが死んでいました。[写真1]
頭上に張り出しているヤブツバキの枝から,落ちてきたようです。
ジョロウグモは初冬には寿命をむかえるものと思っていたのですが,こんな寒い時期まで生きていたのですね。

ジョロウグモは卵で越冬し,5月頃孵化します。
雄は7回脱皮して8月頃に成体となり,雌は8回脱皮して9~11月頃に成体となります。
秋に産卵をおえた雌は,1~2週間後には死んでしまうそうです。
難波由城雄著『ジョロウグモ』(1986年)には,次のように書いてありました。

産卵をおわった母グモは,卵のうづくり,カムフラージュと休むことなく,ぎりぎりまで体力を使いはたします。それから1~2週間,飢えや寒さと戦いながら,卵のうを守りつづけて死んでいきます。

この本は1986年に出版されています。
それ以降,温暖化が進んでいるせいか,当時よりはもっと長生きしているように感じます。
このあたりでは,12月中旬頃までジョロウグモの姿を見かけます。(→2006年12月14日
このまま温暖化が進むと,ジョロウグモも成体のまま越冬する個体が出てくるのでしょうか。

近年,都市部では越冬している幼体が発見されているそうです。
暖かくなって長生きすると言っても種の寿命は寿命で,成体で越冬するまでにはならず,秋に孵化して,幼体で越冬する個体が増えるのかもしれません。

クモの寿命について,八木沼健夫著『原色日本クモ類図鑑』(1986年)には,次のように書いてありました。

いっぱんに夏に孵化した子グモは,冬を越し翌年夏に成体となり,卵を産んだのち秋頃に死ぬことが多い。したがってクモの一世代は満1年あまり(足かけ2年)というのが大部分である。しかし種によっては数年生きるものもあり,反対に1年に何世代かくりかえすのもある。飼育例ではアシダカグモでは8年以上の記録があり,ジグモも4年という例がある。自然状態においても,飼育した場合にも,その環境によりちがってくると思われる。

(家に持ち帰り,ケースを開けてみると,腹から内臓のようなものが飛び出していました[写真7]。そんなに押さえつけたつもりはないのですが。路上の死骸を見ても,肢の根元から体液のようなものが漏れ出て,水滴になっています[写真2]。)