スギ花粉の飛散状況が気になる季節になりました。
周辺のスギを見て回りましたが,まだ花粉は飛ばしていないようです。
枝先にはたくさんの雄花がついているものの,まだ堅く閉じられた鱗片に覆われています。[写真3]

スギには雄花と雌花があります。
スギに限らず,マツやイチョウなど裸子植物の花は,雄性と雌性のどちらか一方の機能しかもたない単性花です。
雄花と雌花が別の株につけば雌雄異株,同じ株につけば雌雄同株。
スギは雌雄同株です。
雄花も雌花も小枝の先に1個ずつつきます。

未熟な雄花は,密着した鱗片に覆われています。
切断してみると,中には花粉がたくさん詰まっていました。[写真4]
暖かくなり成熟すると,外側の鱗片が緩み,花粉が放出されます。
[写真5]は,去年の雄花の残骸。

枝についている松ぼっくりのようなものは,去年の球果です。[写真6]
中に種子が一つ残っていました。[写真7]
薄く平べったい形をしています。[写真8][写真9]
縁には翼のようなものもあります。
風にのって,できるだけ遠くへ種子散布する工夫です。
裸子植物には種子に翼があるものが多くあります。
小林正明著『花からたねへ-種子散布を科学する-』(2007年)には,次のように書いてありました。

 裸子植物は子房をもたないが,種子散布にさまざまな工夫をしている。被子植物は子房を変化させて種子散布をすることができるのに,裸子植物には子房がないので,その分だけ工夫の余地が少ないといえよう。
 裸子植物に種子の翼をもつものが多いのは,選択の幅が狭いためと思われる。

雌花を捜したのですが,よくわかりませんでした。
まだ大きくなっていないようです。
4月頃には,[写真10]のような球形の雌花が枝先についています。

[写真2]の葉は赤く変色しています。
これは枯れているわけではなく,スギの葉は日当たりがよいとオレンジがかった赤色を帯びるそうです。
春にはもとの濃い緑色に戻ります。