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[写真1]
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[写真2]
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[写真3]
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[写真4]
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[写真5]ピン形の花
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[写真6]ピン形の花断面
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[写真7]スラム形の花
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[写真8]スラム形の花断面
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[写真9]等柱花断面
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[写真10]葉
危ないところでした。
もう少しで,サクラソウとしてアップするところでした。
道脇に生えていたこの花は,日本原産種のサクラソウではなく,園芸種のプリムラ・マラコイデスでした。[写真1]
サクラソウの花冠筒口は白色なのに対し,プリムラ・マラコイデスは黄色くなっているそうです。
[写真5][写真7]を見ると,花冠筒口が明らかに黄色くなっています。
といっても,プリムラ・マラコイデスもサクラソウ属なので,サクラソウといっても間違いではないのかもしれません。
プリムラ(Primula)はサクラソウ属の学名です。
Primula……ラテン語で「最初の」を意味するPrimusの縮小形
(Primus,どこかで聞いた名前だと思ったら,ハイブリッド車のPriusです。Priusもラテン語で「~に先だって」の意味だそうです。多分,同じ語源ですね。)
日本原産のサクラソウの学名はPrimula sieboldii(プリムラ・シーボルディー)。
sieboldiiは,シーボルトに由来します。
サクラソウは属名でもあり,ただ一つの種をあらわす種名でもあります。
紛らわしいので,日本原産種をニホンサクラソウと呼ぶこともあるようです。
今日,園芸店に行って,サクラソウとして売っている花の花冠筒口がどうなっているか,確かめてみました。
黄色でした。
ニホンサクラソウではなく,園芸種のプリムラのようです。
サクラソウ属の花は,株によって花柱の長さが異なる,異形花柱花として有名です。
北隆館『フィールドウオッチング3 早春の季節を歩く』(1991年)には,サクラソウの花について,次のように書いてありました。
花を上から見たとき,花筒口にのぞいているのが虫ピンの頭のような柱頭(めしべの頭)なのか,それとも糸くずのようにみえる葯なのかによって,花を大ざっばに2種類に分けることができる。前者をピン形の花,もしくは長柱花,後者をスラム(thrum:織端の糸)形の花もしくは短柱花と呼ぶ。ピン形の花では,葯は柱頭に比べるとずっと下方に位置し,スラム形の花ではそれとは対照的な配置をもつ。しかし,たくさんの花を調べてみると,中間的な配置のものやめしべが極端に長くて花筒口からとびだしているもの,柱頭と葯が同じ高さにあるもの(等柱花)などがあり,外見から単純にピン形あるいはスラム形と決めることが難しい花も見つかるはずである。
プリムラ・マラコイデスでも同じことが確認できます。
[写真5]は,ピン形の花。
[写真6]は,その切断面。
花柱は長く伸び,雄しべは花筒の中央部に付着しています。
[写真7]は,スラム形の花。
[写真8]は,その切断面。
花柱が短く,雄しべは花筒の先端に付着しています。
[写真9]は,柱頭と葯が同じ高さの等柱花。
私は野生のサクラソウを見たことがありません。
そもそも,京都にサクラソウは自生しているのでしょうか。
『牧野新日本植物図鑑』(1961年)には,サクラソウは
北海道南部,本州,九州の河岸の原野または山間の低湿地に自生し,また広く庭園に栽培される多年草である。
とあり,全国に分布しているように書いてありますが,ネットで検索してみても,京都での自生に関する記述が見つからないのです。
サクラソウは,環境省のレッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されているものの,京都府レッドデータブックには記載がありません。
これは京都においては絶滅の危惧がないのではなく,分布していないということではないでしょうか。
小学館『日本大百科全書』(1994年)には,サクラソウの項に
サクラソウは万葉・平安の書物には顔を出さない。
とあります。
京都には昔からサクラソウは分布していなかったことを表しているのかもしれません。