ナキリスゲに花が咲いていました。
花穂の上部に雄花が,下部に雌花がついています。
スゲ属の花には花被がなく,雌花は果胞とよばれる小さな袋の中に1個ずつつきます。
『牧野新日本植物図鑑』(1961年)にはナキリスゲについて次のように書いてありました。
3162.なきりすげ 〔かやつりぐさ科〕
Carex sendaica Franchet var.Nakiri T.Koyama
路傍あるいは林下にはえる多年草で,多数の茎と葉は密生して大株となり,地下茎はない。(命名上の母種セソダイスゲには地下茎がよく発達する)。茎の下部には茶褐色をした葉鞘が残存する。葉は線形,長さ30cmをこえ幅2.5mm位,二つに折れて断面はV型,直立して上半部垂れ,暗緑色で両面はざらつき質は硬い。 9~10月頃に葉の間に細い茎を出し,まばらに5~10穂を円錐状に着ける。花穂は狭楕円形,長さ1.5cm内外,黄褐色で上部は短かい雄花部となり,その下の雌花部には粟粒状に果実を着ける。一鱗片は卵形で先は鋭く,緑色の中脈があり質は薄い。果胞は長さ2.5mm位の卵球形,先端は嘴となりまた全面に粗毛を散生する。柱頭は2個。秋に果実を着ける普通のスゲほほとんど本種と見て良く,アキカサスゲも秋に花穂を生じるが普通の所には見られない。〔日本名〕菜切スゲの意味で,その硬い葉を軟い菜を切るのに利用したのではなかろうかと著者は考えている。
地下茎はなく,茎の下部には茶褐色をした葉鞘が残存しています。
名前について「菜切スゲの意味で,その硬い葉を軟い菜を切るのに利用したのではなかろうかと著者は考えている。」とあります。
実際に菜っ葉を切れるのでしょうか。
ほうれん草の葉を切ってみると確かに切れないことはないのですが,葉身がへろへろでとても包丁の代わり利用していたとは思えます。
茎の断面は3角形です。
果胞は長さ2.5mm位の卵球形,先端は嘴となりまた全面に粗毛を散生する。